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審査会答申は結論ありきの不当判断!開示請求No.1「第66回税理士試験採点済み答案」

私の一連の開示請求の中で最初に行った「第66回税理士試験採点済み答案」について、情報公開・個人情報保護審査会での最終的な結論である答申が、平成29年12月18日に出ました。blogでの報告が大変遅くなったのは、不本意な結果となりこの総括をどうしたものか、考えているうちに他の開示請求等で動きがあり、更新記事が溜まってしまっていたものです。申し訳ありません。


結論を言うと、国税庁の言い分がそのまま100%通り、不開示妥当、となりました。私はこの結論は、全くの不当判断だと思っております。以下でその理由を説明します。これを見て皆様はどのように思われるか、是非ご意見をお寄せください。

目次

税理士試験開示請求No.1「第66回税理士試験採点済み答案」これまでの経緯

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論点

税理士試験の採点済み答案の、理論問題の評点欄部分及び計算問題の解答欄部分が、行政機関個人情報保護法に定める不開示情報に該当するか否か、でした。(該当する場合は開示されません。)

Q7-7
開示請求が行われた場合、開示請求に係る保有個人情報のすべてが開示されることになるのですか。すべてについて開示されないことがある場合、どのような情報が不開示とされるのですか。

A  行政機関の長は、開示請求が行われた場合には、開示請求の対象となっている保有個人情報に不開示情報が含まれている場合を除いて、開示請求者に対し、保有個人情報のすべてを開示しなければなりません(保護法第14条本文)。


7)事務事業に関する情報(同条第7号)
 国の機関等が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを不開示情報としています。

総務省|行政機関・独立行政法人等における個人情報の保護|<7 開示請求>

答申の公開場所

答申は、総務省、情報公開・個人情報保護審査会のサイトで公開されていますのでスキャン画像は貼りません。リンク先でご覧ください。答申番号は、「平成29年度(行個)161」です。ちなみに、私の呼びかけに応じて同時期に開示請求・審査請求を行っていた方への答申が、同日、答申番号162、163にほぼ同じ文面で出されました。

答申番号「平成29年度(行個)答申第161号」とコメント

答申本文を引用しつつ、コメントします。(強調表示は筆者による。)

諮問庁:国税庁長官
諮問日:平成29年4月17日(平成29年(行個)諮問第71号)
答申日:平成29年12月18日(平成29年度(行個)答申第161号)
事件名:本人に係る平成28年度税理士試験採点済み答案用紙(相続税法)の一部開示決定に関する件

第1 審査会の結論

「平成28年度(第66回)税理士試験採点済み答案用紙(相続税法)」に記録された保有個人情報(以下「本件対象保有個人情報」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,妥当である。

答案用紙の解答欄を全て黒塗りとした国税庁の判断は妥当である、とされました。


第2 審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「法」という。)12条1項の規定に基づく開示請求に対し,平成29年1月12日付け官人6-1により国税庁長官(以下「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,不開示とされた部分の開示を求める。


2 審査請求の理由
審査請求人の主張する審査請求の理由は,審査請求書の記載によると,以下のとおりである(意見書及び資料については省略)。

私の送った24,000字の意見書は、答申書からごっそり省略されました。

第3 諮問庁の説明の要旨

省略

第4 調査審議の経過

当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成29年4月17日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同月27日 審議
④ 同年5月24日 審査請求人から意見書1を収受
⑤ 同年6月27日 審査請求人から意見書2及び資料を収受
⑥ 同年12月6日 委員の交代に伴う所要の手続の実施,本件対象保有個人情報の見分及び審議
⑦ 同月14日 審議

本件につき審議は計3回行われたようです。1回目の審議の後、私から意見書を提出しました。12月6日に委員の交代がされ、その場で本件対象保有個人情報(答案)の見分と審議が行われたようです。

第5 審査会の判断の理由

1 本件対象保有個人情報について
本件開示請求は,本件対象保有個人情報の開示を求めるものであり,処分庁は,別紙に掲げる部分(本件不開示部分)を法14条7号柱書きに該当するとして不開示とする決定(原処分)を行った。
これに対し,審査請求人は,本件不開示部分の開示を求めているところ,諮問庁は,原処分を妥当としていることから,以下,本件対象保有個人情報の見分結果を踏まえ,本件不開示部分の不開示情報該当性について検討する。

上記、論点に書いた通りです。

2 本件不開示部分の不開示情報該当性について
当審査会において本件不開示部分を見分したところ,審査請求人本人が受験した第66回試験の答案用紙に自らが記載した解答が解答欄に,当該解答に対する評点が評点欄にそれぞれ記載されているほか,配点などの採点情報や採点を行った試験委員によるメモなどの書き込み等が一部に記載されていることが認められる。

(1)諮問庁は,上記第3において,税理士試験の性格等について,税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的としていることから,試験の性格上,その採点に関しては,試験委員が,自己の専門的知見に基づき,個々の答案について,単に結果のみでなく,解答を導き出す思考過程や計算過程なども十分に考慮するなど,柔軟な評価がなされる必要があり,そのため,答案の具体的な採点は試験委員の裁量に委ねられている旨説明する。
当審査会事務局職員をして諮問庁に対しこの点について更に確認させたところ,試験委員は,採点に当たり,各受験生が独自に表現した答案について,自己の専門的知見に基づき,最終の結果(論述問題であれば結論,計算問題であれば計算結果)のみならず,途中の計算過程や思考過程を十分反映させるよう配意して採点し,受験生が出題のポイントを正しく理解しているかどうかの判定を行っているとのことである。税理士試験の目的が達せられなくなるおそれ
諮問庁の上記各説明に不自然,不合理な点はなく,これを否定するに足りる事情は認められない。

審査会の場で答案の実物を見分し、国税庁の説明を求めたようです。しかし、国税庁の言うことは不自然、不合理ではないからと、そのまま認める一方で、私が意見書に書いた指摘について、具体的に検討した様子が記録されていません。意見書3-1-1で書いた、「税理士試験の問題は正解がほとんど一義的に定まっており、〜 計算過程も含め機械的に判定できる」とした点について、国税庁や試験委員に質問して確認をしていないばかりか、触れてすらいません。検討した結果否定されたのならまだしも、私の提出した意見書をそもそも読んでいない可能性すらあります。

(2)税理士試験の性格等が上記(1)のようなものであることを踏まえると,本件不開示部分を開示すれば,答案に対する採点や問題に疑問を持つ者等が,自己又は他の受験者が開示を受けた情報に基づき,当該採点や問題の当否等について,試験委員等に対して容易に回答し難い具体的な質問等を行う事態が少なからず起こると予想されるだけでなく,採点や問題の趣旨が誤解されることによって,試験委員に対していわれなき非難がされることにもつながり得ると考えられる。
そうすると,本件不開示部分を開示すれば,個々の受験者からの苦情や非難を回避することを考慮するあまり,試験委員において,答案に対する適正な評価を行うことが困難になるおそれがある上,税理士となるのに必要な学識及び応用能力を問うような良問の作成が困難となり,事後の問合せ等に対して画一的に回答できるよう,形式的な採点が可能な問題作成に陥るおそれがあるほか,試験委員の負担が増すことで,優秀な学者や実務家が試験委員の就任に応じてくれなくなること等から,税理士試験の目的が達せられなくなるおそれがあるとする諮問庁の上記第3の説明は,これを否定し難い。


現状でも、質問や問い合わせがあるとしていますが、それは他の試験とて同じことでしょう。正当に試験を実施し、妥当な採点をしているのなら、開示して困ることは何もないはずです。「試験問題に間違いはない」「採点は正しい」と説明すればいいだけのことです。「採点や問題の趣旨が誤解される」とは問題に不備があるからではないでしょうか?「いわれなき非難」などと言っていますが、開示されると非難が殺到するような後ろめたいことがあるからではないですか?


私が判例、答申事例を引用して、「試験委員には問い合わせに対する受忍義務がある」「おそれは、抽象的な可能性ではなく法的保護に値する蓋然性が必要とされる」とした点、についても全く触れていません。会計士試験、司法試験で開示されることになった判例があるのに、それを全くスルーして、異なる判断を行うのが許されるのでしょうか。

(3)そして,合否のみならず不合格科目に係る得点のランクが各受験者に通知されていることや,持ち帰られた問題文に基づき再現答案が広く作成されていると考えられること等を踏まえると,試験委員による個別具体的な採点情報等はもとより,大問ごとの評点や,解答欄の記載を部分的に開示することについても,上記(2)のおそれの存在があることは否定できない。

私が意見書で最終的に求めたのは、「理論問題は大問の評点と問ごとの部分点、計算問題は解答欄の全て」の開示でした。審査会の結論は、大問ごとの評点を開示することすら、「税理士試験の目的が達せられなくなるおそれ」があるとするものでした。「おそれ」ばかり。何をそんなに恐れているのでしょうか?自らが正当な試験を実施したと開示することにそんなに自信がないのでしょうか?

(4)以上のことから,本件不開示部分は,これを開示すると,税理士試験事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められ,法14条7号柱書きに該当し,不開示とすることが妥当である。

3 審査請求人のその他の主張について
審査請求人のその他の主張は,当審査会の上記判断を左右するものではない。


4 本件一部開示決定の妥当性について
以上のことから,本件対象保有個人情報につき,その一部を法14条7号柱書きに該当するとして不開示とした決定については,不開示とされた部分は,同号柱書きに該当すると認められるので,妥当であると判断した。

答申番号 平成29年度(行個)162

答申番号「平成29年度(行個)162」では、審査請求書の主張が若干異なっていたため、答申の以下の記述が違っていました。

5 審査請求人の主張について
(1)審査請求人は,試験委員は豊富な実務経験と学識経験を有した者が任命されているため,機械的,断片的知識しか有しない者が高得点を獲得する可能性を排除できるので,本件不開示部分を不開示とする必要はない旨主張する。
しかしながら,本件不開示部分を開示すれば,採点済み答案の情報を収集した受験予備校等により,解答方法(解答を導き出す思考過程や計算過程など)の分析が進み,高得点を得た解答方法が広く普及することで,受験者が安易に高得点を得た解答方法を模倣し,単純な暗記に走り,いかにも自己の表現であるかのように記載するなど,受験技術に強く影響された答案が増加する可能性が高い。そうすると,豊富な実務経験や学識経験を有した試験委員であっても,解答内容を見ただけでは,それが機械的,断片的知識であるか否かを判断することは困難となり,税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定するという税理士試験の目的が達せられなくなるおそれがある。

「単純な暗記に走り,いかにも自己の表現であるかのように記載するなど,受験技術に強く影響された答案」が増加する?現状でも受験予備校の理論テキストを暗記してそのまま書いているものがほとんどでしょう!問題により作文が要求される場合はあるにせよ、理論テキストを模倣しない答案で合格した人がいるなら逆に教えて欲しいものです!

「解答内容を見ただけでは,それが機械的,断片的知識であるか否かを判断することは困難」と既になっているでしょう!これは意見書にも書いたのですが、現状認識からして間違っていますし、評点欄を開示することでその度合いが増加するとは到底考えられません。


結論ありきの不当判断

ご覧のように、答申は私が提出した意見書の内容に一言も触れることなく、具体的に検討した形跡もありませんでした。審議委員がとても公正・中立の立場で審議したとは思えず、国税庁の言い分をそのまま是認することありきで結論が作られているようにしか見えません。私はこの審議は、全くの不当判断だと思っております。許せません。

税理士試験の模範解答が存在しない、と認定された平成15年答申と同じ風が吹いたように感じます。


もはや、この決定の不当性を争うには訴訟しかないのでしょうか。