開示請求結果:No.3 税理士試験成績管理システムの出力情報
年末が差し迫り一層忙しくなっている中、開示請求関係もいろいろ届いており、blogの更新待ちのネタも大量に控えております。私の税理士試験開示請求は現在、案件No.8まで行っており、整理して表にしました。今回は、開示請求No.3「受験者の成績」の結果です。
目次
税理士試験開示請求No.3「受験者の成績」これまでの経緯
本件で開示請求したのは、「平成28年度第66回税理士試験(相続税法)における受験者の成績(点数及び順位)の記録されたファイル(本人部分)」です。具体的には、税理士試験の成績管理データベースシステムの出力結果です。そもそもなぜこれを開示請求したか、おさらいしておくと、①税理士試験の得点が開示されない。→②「税理士試験等結果通知書」の印字をするためのシステムには、得点を含む成績データが収録されているはずだ。→③これを開示すれば得点をどのように管理しているかがわかる。④それ以外にも合否判定の仕組みが何かわかるかもしれない。と、いうことで行ったのでした。
本件に出された当初の処分では、成績情報をシステムから出力することは「技術的に不可能である」として「不開示」としていました。審査請求で処分が手続き上の不備により違法であるとして取り消され、再度出された処分では部分開示となりました。
- 新たに税理士試験解答用紙の開示請求書と審査請求書を提出しました - Markの資格Hack (税理士試験)
- 「特定の受験者の情報のみを出力することは技術的に不可能である」平成29年(行個)諮問第120号 国税庁理由説明書 - Markの資格Hack (税理士試験)
- 「税理士試験受験者の成績」不開示決定に対する審査請求を行いました - Markの資格Hack (税理士試験)
- 平成29年(行個)諮問第119, 120号 意見書を提出しました - Markの資格Hack (税理士試験)
- 審査会答申「税理士試験の成績の記録されたファイルを不開示とした決定は、違法なものであり取り消すべきである。」 平成29年度(行個)答申第98号 - Markの資格Hack (税理士試験)
- 審査会答申から2ヶ月を経てようやく国税庁が税理士試験成績の全部不開示の方針を撤回 - Markの資格Hack (税理士試験)
開示された出力情報
部分開示の通知を受け、私から開示の実施を請求し、その結果が12月11日頃届きました。
結果は、A4用紙2枚に印刷されて届きました。国税庁の当初の説明の通りなら、第66回の全受験申込者44,044人分のデータを印刷して、私のレコード部分以外にマスクをして出してくれたことになります。字が非常に小さく潰れているので、加工前のものは、もっと大きいものに印刷されていたのでしょう。
分析
このままでは非常に見にくいので、画像を加工して、フィールド名の行とレコードをくっつけてみました。
図1
図1、データの左半分が受験者の個人情報ですね。これは受験者が「税理士試験受験申込書」に書いたものを転記していると思われます。マークシートではないので、国税庁の職員が受験申込書を見て、手作業でシステムに打ち込んでいるのでしょうか?一番左に実施回のフィールドがありますので、システムには過去の受験回のデータも保持されていて、氏名や科目合格通知書番号を比較して、相違がないか確認しているのかもしれません。
図2
図2を見ると、データの右側に、受験した試験科目の結果が並んでいるのがわかります。案の定、得点は黒塗りにされ、非開示にされていました。わからないのは、「(科目名)判定年度」というフィールドに入っているデータの意味です。推測するに、受験していない科目が「-」、受験した科目が「1-」、受験申し込みをしたものの欠席した科目が「9-」となっているのでしょうか。*1
過去に合格した、簿・財の判定年度に「2月13日」と入っているのがわかりません。結果通知書では「合格25」と入っているはずのところです。試験は8月、合格発表が12月ですから、2月なんて関係ない日付です。excelでシリアル値を日付形式で表示したときのように、本来別の数字が入っていたものが意図せず変換されてしまった可能性を、いろいろ考えてみましたがわかりません。
図3
ここには何もデータはありませんが、一番右に、過去に廃止になった試験科目のフィールドがあるのがわかります。
開示を受けて
開示されたデータが、税理士試験の成績管理システムが保有している全てのデータ(フィールド)であるとすると、試験結果について保有しているのは科目毎の得点のみで、問別の内訳等は持っていないということになります。(順位もつけていない、ということですが、科目毎の得点を上位から並べ変えるだけでわかる話です。)
他の開示請求での国税庁の説明によれば、「答案の採点後、全ての受験生の答案用紙がそろっていることを確認するとともに、事務局において試験結果を登録した上で、廃棄することとしている。」ということです。つまり、試験委員が採点した答案に記されている「評点」を見て、国税庁人事課試験係の職員が、それを成績管理システムに打ち込んで合否を判定しているということになります。可能性の話ですが、ここで職員が評点を間違ってシステムに打ち込んだら、それが全てのようです。非常に重要なことですから、入力した後でダブルチェックする業務フローになっているのが当然ですが、もしそれが働いていなかったとすると、本来合格なのに不合格になったり、その逆もありえるということになります。
もう一つ。なぜ国税庁が得点を開示できないのか、それは私の推測では、実際の合格基準が60点ではないからです。合格者の数を調整するために、合格基準点を科目毎に上下させているのではないかと考えています。これは合格基準を定めた税理士法施行令6条に違反していますから、国税庁にとっては法令違反の証拠となってしまいます。だから得点を開示できないのではないかと私は考えています。
当然ですが、なぜ、得点を非開示にする必要があるのか、それを巡って審査請求を行います。本件もまだ続きます。それでは皆様、よいクリスマスを。
*1:これを見て初めて思い出しましたが、私は昨年、国徴も申し込みだけしていたようです。受験申し込みの5月の時点で全く勉強していませんでしたが、国徴なら3ヶ月独学してなんとかなるかもしれないと思って申し込みだけしておいたような気がします。