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開示請求No.3「税理士試験受験者の成績」部分開示への審査請求を行いました

今回は、開示請求No.3「受験者の成績」の部分開示(得点部分を不開示)への審査請求を行いました。

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目次

審査請求書

審査請求書は平成30年1月4日に国税庁に出向いた際に、個人情報保護室の担当者に直接手渡しました。1枚目は省略。

審査請求の理由

 本件審査請求は、審査請求人が「平成28年度第66回税理士試験(相続税法)における受験者の成績の記録されたファイル(本人部分)」の開示を求めたのに対し、処分庁が部分開示と決定し、本人の得点が記載された部分に関しては不開示の処分(平成29年11月20日付 官人6−53)を下したものに対するものである。この処分に先立っては、平成29年2月15日付 官人6−20の処分で全部不開示の決定がなされたが、理由の提示に不備があり違法なものであったことから当該処分が取り消され、改めて本件の対象となる処分が出されたものである。

 処分庁の主張するところによると、得点部分を開示すれば、受験者の再現答案と得点の分析、受験予備校等の技術により「機械的、断片的知識しか有しない者が高得点を獲得する可能性が高くなることから、税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定するという税理士試験の目的が達せられなくなるおそれがある。」としているのであるが、これはおよそ実現不可能な仮定である。税理士試験は、科目毎に大問2問、さらにこれが無数の小問の組み合わせで構成され、答案用紙を見ればわかる通り、記述量は膨大である。それに対して開示の対象となっている得点は答案の全体に対して与えられる評価に過ぎないから、これらを如何に高度な技術を以って分析しようとも、どの問のどの記述に対し何点が与えられたのか推測するというのはできるはずがない。よって、開示をしたところで現実的には何の支障も生じない。

 また、「質問や照会が増加すること」というのは、本件開示をしないことの理由として明らかに不適切であるというべきである。本件とは別の開示請求における処分庁の説明で、「事務局には、日常的に受験者等から税理士試験に関する質問や照会等が電話等で多数寄せられており、」としているが、そのような問合せが多数あるのは、試験実施機関として当然期待される情報開示を国税庁が行っていないからだと考えられる。正解すらはっきりしない不適切な問題が出題されていること、採点基準が不明瞭であることが、質問や照会が多いことの原因であり、本件不開示部分を開示することと、国税庁のいう「質問や照会等が増加する蓋然性」との間には関係性が認められない。さらに、質問や照会に対応することは試験実施機関が当然行うべき業務として、受忍義務の範囲内である。

 ところで、法律・会計分野の国家試験である司法試験、公認会計士試験では、試験科目毎の得点はおろか、大問毎の得点、偏差値、順位、全受験者の得点分布等が試験実施機関から公表されている。長年そのような情報開示がされていても試験の実施には何の支障もなく続けられているのであるから、税理士試験でも同様の開示が行われて然るべきである。これらの試験と比較しても、税理士試験には得点情報を秘匿しなければならない理由があるというのならば、これら試験と税理士試験との性質的な違いについて合理的な説明をするべきである。税理士試験では、得点以外にも模範解答や採点基準の公表がされていない等、同種の試験と比べても、情報開示の面で明らかに劣っており、試験問題や採点の適切性について強い疑いが生じている。他の試験で前述したような情報開示を行っているのは、試験の妥当性について少しでも外部から検証できるようにして、試験が公正に実施されていることを担保しようとしているものである。適切な試験には適切な情報開示が必要であり、受験者の得点開示というのは、これらの中でも最低限のレベルのことである。

 以上のことから、処分庁の主張する不開示とした理由は失当であり、不開示とされた得点部分を開示するべきである。

 なお、本件審査にあたり付け加えるべき点として、本件処分に先行する当初の処分における処分庁の理由説明書では、「特定の受験者の情報のみを出力することは技術的に不可能である」としていたものが、本件処分では一転して部分開示が行われることとなった。この方針の転換、一貫性のなさは、処分庁が真の理由から結論を導いているのではなく、「開示したくない」という結論が先にあって、開示しないで済むような理由を後から創っているからこういうことになるのではないだろうか。審査においては、処分庁を擁護する立場に与することなく、公正な審査を行って頂けるよう要望する。

雑感

私の主張するところは上記の通りです。常識的に考えれれば、国税庁の説明が理に敵っていない点を書きましたが、これまでの決定を見る限り、個人情報保護審査会でも行政寄りの結論を出すことが多いので、釘を刺しておきました。これがどう出るでしょうか。一度出した全部不開示の理由説明を転換してきた国税庁の対応は不可解な動きでしたので、この点もこちらに有利と思いますが、結論が出るまではなんとも言えません。