開示請求No.3 国税庁理由説明書「受験者の成績を開示することは支障を来たす。平成30年度以降はシステムを改修して受験者に通知する予定」
今年の税理士試験では、受験者(不合格者)の得点開示が行われる変更が発表されたことは既に記事にしました。この変更が行われることとなった理由は、どうやら私の行った開示請求が原因であるらしいことを裏付ける資料を公表します。
目次
税理士試験開示請求No.3「受験者の成績」これまでの経緯
これまでの経緯は、前の記事をご覧ください。
- 新たに税理士試験解答用紙の開示請求書と審査請求書を提出しました - Markの資格Hack (税理士試験)
- 「特定の受験者の情報のみを出力することは技術的に不可能である」平成29年(行個)諮問第120号 国税庁理由説明書 - Markの資格Hack (税理士試験)
- 「税理士試験受験者の成績」不開示決定に対する審査請求を行いました - Markの資格Hack (税理士試験)
- 平成29年(行個)諮問第119, 120号 意見書を提出しました - Markの資格Hack (税理士試験)
- 審査会答申「税理士試験の成績の記録されたファイルを不開示とした決定は、違法なものであり取り消すべきである。」 平成29年度(行個)答申第98号 - Markの資格Hack (税理士試験)
- 審査会答申から2ヶ月を経てようやく国税庁が税理士試験成績の全部不開示の方針を撤回 - Markの資格Hack (税理士試験)
- 開示請求結果:No.3 税理士試験成績管理システムの出力情報 - Markの資格Hack (税理士試験)
- 開示請求No.3「税理士試験受験者の成績」部分開示への審査請求を行いました - Markの資格Hack (税理士試験)
- 今年の税理士試験は得点を開示すると発表 - Markの資格Hack (税理士試験)
国税庁理由説明書
分析
理由説明書を読んでいきます。1から3は、これまでの経緯を述べたものであり、特筆すべき点はありません。「4 本件不開示部分の不開示情報該当性について」に国税庁が開示できない理由を書いています。(1)機械的、断片的しか知識を有しない者が高得点を獲得する可能性が高くなる、(2)試験委員の負担が増す、としていますが、これについては既に私の提出した審査請求書(過去記事参照)で否定しており、それについての再反論はありません。司法試験、会計士試験では開示が行われており何の支障もなく継続している、と指摘した点にも言及がないことから、国税庁はこの理由説明書を出した時点で分が悪いと考えていると思われます。
(3)さらに、一律に得点を通知していない平成28年度税理士試験について本件不開示部分を開示することとした場合、各々の受験者が自己の得点に係る開示請求を行うことが想定され、平成28年度税理士試験延受験者数が49,245人であることを踏まえると、その場合には、上記2の(1)のとおり2名の担当職員で実施している事務局において、たとえ開示決定等の期限を延長して対応したとしても、通常の税理士試験事務への影響がないとはいえず、税理士試験の執行に支障を来たすおそれがある。
(3)で、2名の担当職員では開示請求に対応できない旨、書いてきたのは、審査会で開示を行うよう答申が出ることを想定していると思われます。極めつけは、理由説明書の最後に「参考」として書かれたこの段落です。
(参考)平成30年度以降の税理士試験について
平成30年度以降の税理士試験においては、不合格科目に係る受験科目別得点を受験者に通知するため、予算を措置し、システムを改修する予定であるなど運用を変更しており、その旨を平成30年4月3日に国税庁ホームページで公表している。
これは開示妥当の答申が出ることは不可避と考え、今後の受験者からの開示請求に対応するためシステムを改修して対応することにしたと思われます。「改修する予定」となっていることから、以前から予定されていたものでなく、私の開示請求がきっかけで急遽、予算をつけ、システムを改修することになったことは、ほぼ間違いなさそうです。
コメント
使われるかどうかわかりませんが、この件について私は、某メディアに対し、以下のコメントを出しています。
国税庁に行った開示請求の過程で、国税庁が得点開示の必要性を認める判断を行ったものだと考えます。これは税理士試験の透明性確保に必要な改善の一歩目に過ぎず、引き続き私は、模範解答や採点基準の開示を求めていきます。税理士業界や受験生のご支援・ご意見をblogで募っておりますのでよろしくお願いします。