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平成29年(行個)諮問第119, 120号 意見書を提出しました

平成29年9月18日付で以下2件の意見書を、情報公開・個人情報保護審査会に送付しました。

目次

平成29年(行個)諮問第119号

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意見書

平成29年9月18日
審査請求人:

情報公開・個人情報保護審査会
平成29年(行個)諮問第119号
「本人に係る平成28年度税理士試験採点前解答用紙(相続税法)の不開示決定(不存在)に関する件」

1 国税庁の理由説明書について審査請求人の意見

 国税庁の理由説明書の内容について特に争う点はない。しかしながら2点、苦言を呈したい。
 処分庁が開示請求に係る保有個人情報を保有していない理由が、理由説明書によって明らかになったが、この程度のことは不開示の決定通知書に最初から書いておいてもらいたい。
 処分庁の説明によれば、鍵のかかったキャビネットで保管していた、採点前の答案用紙の画像データを記録したDVDは既に廃棄されていたとのことであるが、いつ、誰の判断で廃棄を行ったのか。1年未満の短期間で重要な情報の保存されたDVDの廃棄を行うのは妥当であるのか、有識者の判断を仰がれたい。

平成29年(行個)諮問第120号

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意見書

平成29年9月18日
審査請求人:

情報公開・個人情報保護審査会
平成29年(行個)諮問第120号
「本人に係る平成28年度税理士試験(相続税法)の成績の記録された文書の不開示決定に関する件」

1 国税庁の理由説明書について審査請求人の意見

1-1 法第14条第7号柱書きの不開示情報該当性について

 受験者の得点は、法第14条第7号柱書きの不開示情報に該当するとしている点について、国税庁の主張は失当である。その理由については、平成29年(行個)諮問第71号「本人に係る平成28年度税理士試験採点済み答案用紙(相続税法)の一部開示決定に関する件」について審査請求人が提出した意見書中、3-1、3-2において述べた。よって本件は、上記事件と内容が密接に関連したものであるので、審議を併合して行われるよう求める。

1-2 法第15条第1項該当性について

 税理士試験業務のために使用しているシステムは、「本件システムのプログラムでは、入力した受験者の得点をその他の情報と分離することが技術的に不可能である。」と国税庁が説明している点について、本当にそれが不可能な仕様であるのかは、審査会において十分にシステムの仕様書、取扱説明書等の現物を見分して確認されるようお願いしたい。
 本件システムが、外部業者に委託し、専用に設計され、納入されたものであるならば、そのシステムをどのような仕様で調達したのか、どこの業者が製作したのか、仕様書が存在するはずである。審査請求人において国税庁サイト上の公開情報を検索した限りでは、当該仕様書や入札情報を発見することができなかったので、国税庁に資料として提出するよう求める。平成22年に税理士試験結果通知書の表示形式の変更が行われているので、少なくとも同年には、システムの更新があったと考えられる。国税庁が当該仕様書を提出しないのであれば、審査請求人から改めて開示請求を行うこととなる。

1-3 情報を紙媒体に出力することが可能な一定期間とは何か?

 国税庁理由説明書3(4)において「一定期間において受験者の情報を紙媒体により出力することが可能」としているが、一定期間とは何か?期間を過ぎるとどうなるのか?

1-4 特定の受験者の情報のみを抽出し出力することが不可能としている点について

 理由説明書で「当該情報は、開示請求者以外の特定の個人を本人とする保有個人情報部分(対象外部分)と一体不可分となっており、特定の受験者の情報のみを抽出し出力する機能が備わっていないことから、全受験者の情報を全て出力せざるを得ない。」としているが、なぜそのような著しく不便な設計のシステムを採用しているのか疑問である。国税庁の説明が真実であるとするならば、例えば、当該情報を印刷している最中に紙詰まりが発生したり、停電等のトラブルが発生したりした場合には、やはり税理士試験全受験者35,589人分を最初から印刷しないといけない、ということになるが、本当なのか。特定の範囲を指定して印刷することが可能でないのか、十分に確認をされたい。
 また、本件システムへの得点の入力は、試験係事務局において行っているとのことであるが、人が採点後の答案用紙から点数を目視して、キーボードから入力していると考えられる。それならば、入力ミスがないか確認をする必要があると考えられるが、画面上で確認するにしろ全件を印刷して行うにしろ、現在入力されている数値を画面上で確認できないことには訂正することができず、そうなっていないことは考えられない。
 本件システムの画面上に本件保有個人情報を表示することができるのであれば、その画面の表示をプリントスクリーンで保存する、写真に撮る、紙に書き写すなどいくらでも方法が考えられるのであり、国税庁の主張は、開示しないための理由を探しているとしか考えられない。

1-5 事務局の人員が不足しているとしている点について

 2名しかいないという事務局の人員では、本件開示請求に対応することで合格発表や翌年の受験案内が遅れる等主張しているが、行政庁の人員が不足していることや時間がかかることは、法的に認められた適正な権利の行使を妨げる理由にならず、当該開示を行うべきである。本当にその期間を要するのであれば期間に制限はないのだから、何か月かけてでも行うべきであり、この理由説明書を書いている間にできたのではないのか。
 開示請求が多数行われるという仮定に基づく主張は妥当でなく、仮に恒常的にそのような需要が認められるのであれば、人員を増強して対応すべきである。

2 結論

 上記の通り、国税庁の主張はいずれも誤った主張であると言うべきであり、不開示とする正当な理由はないのだから、本件開示を行うべきである。

謝辞

カズメロさん、やましさん、サイバーメガネさん(id:netcraft3) 、意見書の提出にあたって、助言を頂きありがとうございました。私だけでは、考えの至らない点について重要な示唆を頂き、意見書の中身が充実しました。諮問120号に関しては、相当な説得力があるものになったと思います。


また、前の記事でカンパを募集したところ、早速、プリンタインクとコピー用紙の寄贈を受けました。ありがとうございました。