Markの資格Hack (税理士試験)

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自分の経験だけで税理士試験についてわかった気になっていないか(「試験適正化」へのよくある誤解)

私が、「税理士試験がおかしい」と訴え始めてかれこれ2年ほどになります。ネットで税理士試験のことを調べたことのある極々一部の方には、「試験適正化」とか言っている奴がいる、程度には知って頂けるようになってきたようです。


しかしながら、
「問題がおかしいって言うけど、税理士試験ってそんなものだよ。」
「みんなそういう試験を乗り越えてきたんだし、変える必要なんてない。」
「どうせ試験に受からない言い訳でしょ。」

こういう意見が、税理士試験経験者である税理士の方の一部にも見られるようです。大変残念な気持ちになります。伝わっていないんだな、と。

「いやいやいや、違いますよ。そういうレベルじゃないんですよ。」と。





この記事は、税理士試験の現状と、私の訴えている「適正化要望」の本質について、今北産業(今来たから3行で説明して)の方にもこの記事を読めばわかってもらえるように書きます。まあ、3行で全部伝えるのは無理なのですが、無理矢理やってみます。

  • 「試験適正化」は試験の否定ではなく改善活動
  • H28年度、法人、消費の問題はマジでヤバイ
  • 問題点を理解した上で建設的な議論を


それでは、本編をお読みください。

目次

  • 「試験適正化」は、試験や試験に受かった税理士を全否定するものではない
  • 税理士試験を批判している私に寄せられる意見
  • 「税理士試験は適正だ」という意見について
  • 自分の経験だけで税理士試験について語っていないか
  • まずこれを見てから議論に参加してください
  • 試験の改善のために建設的な議論をお願いします
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真夏に行われる税理士試験。試験中の水分補給を認めるよう要望を出しました

連日、暑い日が続きます。真夏に行われる税理士試験では、昔と違って冷房が入っているとはいえ、熱中症の危険がないとも言えません。行き帰りの暑さと会場の冷房との寒暖差で、温度調整には悩まされるものです。

目次

  • 真夏に行われる税理士試験。さすがに冷房はあるけど、試験中の水分補給はしてもいい? - Togetter
  • 国税庁サイトから投書
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廣升健生税理士の対談動画「修了生に聴いてみた大学院免除の話」がおすすめ

税理士の廣升健生先生がYouTubeで公開している動画、「税理士試験対談第2弾「修了生に聴いてみた大学院免除の話」」を拝見し、これは税理士受験生は見るべきと思いましたのでご紹介します。動画では、廣升先生と4名の大学院を修了した方が、税理士試験免除の大学院と税理士試験について経験談を語っています。今、税理士試験を受けていて大学院を検討している方、大学院に行く気はないけどどんなものか知っておきたいという方もご覧になるといいと思います。


動画の見どころ

この動画、全編を見ると1時間26分と長いので、本試験直前期の1分1秒が惜しい今、見るべきではないかもしれません。そう思われた方は「後で見る」リストにでも入れておかれるといいと思います。しかし、せっかくこの記事をご覧になったのでしたら、私がこの動画の中で、特に傾聴すべきと思ったポイントを2点紹介しますので、ここの数分だけでも是非ご覧になって頂きたいと思います。


まず一つ目のポイントがこちらです。

13. 五科目合格にこだわる必要がない理由 (1:06:20)
(下の動画を再生すると該当箇所から始まります。)



廣升先生はここで次のようなことを仰っています。

「税理士試験の合格基準は時代錯誤。うん十年前の電卓のないような時代に正確な計算能力を問うという頃から基本的に問題の傾向が変わっていない。税法の解釈をするというような能力は問われていない。」
「合格率10%という試験を突破する方は確かに優秀な人なんだけど、その優秀な人が下積みとして10年費やすのは機会損失。」
「苦行でしかない試験は受けるべきではなく、その時間で大学院で違う勉強をした方がいいと思う。」
「税理士業界が時代に遅れている根底には、税理士試験制度があるのではないか。5年10年と苦行の試験を受けるうちに思考停止してしまう。」
「試験に費やしてきた自分を肯定したいから、物事を変えたくない、新しいものを取り入れることに抵抗がある人になってしまうのでは。」

この部分に私は甚く共感を覚えました。

廣升先生は、5科目試験合格で税理士になられているので、このようなラディカルな意見をお持ちとは意外で驚きました。予備校講師の経験もおありで試験問題を研究されているので本質を捉えた見解だと思います。

私が、大学院の入学を決めた時に書いた以下の記事の最後のパラグラフで「税理士試験の勉強は無駄が多い」としているのですが、同じ考えをお持ちだと思いました。



2つ目のポイントは以下です。

7. 大学院の情報が出てこない理由 (27:14)
これも、試験のせいで税理士業界の新陳代謝が滞っているから古い考えがいつまでも支配的なことが影響しているのではないか、と思いました。

大学院に対する意識

動画では4名の方がそれぞれ自分の大学院について語っておられましたが、大学院の特徴もそれぞれですし、大学院に対するスタンスも異なっていると感じました。

大学院は抜け道かというような話もありました。院に行くことをどこか後ろめたいように思っていらっしゃる方がいるようなのですが、本人の捉え方次第だと思います。試験も院もどちらも正規のルートですから、何も問題ありません。

よく税理士試験を、マラソンのようだと例えていう話がありますが、最近私は、「院がマラソン、試験は障害物競走」ではないかと思います。その心は、院は一歩一歩進めていけば確実にゴールが近づいてきます。ペース配分もできます。試験は何があるか、ゴールがどこにあるかもわからないし、距離が伸びる(予期せずもう1年という)ことだってあるんですから。

私は大学院はとても有意義だと思って過ごしています。もちろん大変で行くのがしんどいとも思うときもあるのですが、大学院で学ぶこと自体が楽しいです。私の大学院についての話は、また時期が来たらお話させて頂こうと思います。それでは。



P.S.
blogにコメント多数頂いておりますが承認までしばしお待ちください。

税理士試験の合格まで何年かかるのか?(開示請求により入手した統計を初公開)

税理士試験は公式に公開されている情報が少なく、不透明な点が多い試験です。私、Markは、そのことを問題視し、国税庁に対し開示請求を行い、閉ざされた闇にメスを入れる試みを行ってきました。今年(第68回)の試験から、受験者に点数が公表されるようになったのも、この成果だと思っています。

税理士試験は合格までとかく年数のかかる試験ですので、実際のところどれくらいかかるのか、多くの受験生が知りたいところだと思います。これまで税理士会の行ったアンケート調査による数字を私も主張の中で使用してきましたが、国税庁はより正確なデータを持っているはずだと睨んできました。国税庁が税理士試験の運営や成績管理のために使用している「税理士試験システム」には、公表されていないデータが保存されていることが開示請求により判明し、最近になって私の下に大量のデータが届いたところです。これらは順次、このblogで分析・公開していく予定です。


今回は、史上初めて開示された合格年数の統計を分析しわかったことを、プレゼンテーション形式でお見せします。どこの予備校も持っていない正確な情報をここで独占公開します。

目次

  • 税理士試験の合格まで何年かかるのか?
  • 税理士試験はこのままではいけない
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判例評釈 最大判S60.3.27(大嶋訴訟、サラリーマン税金訴訟)「租税とは何か」

租税訴訟の中でも最も有名な部類に入る大嶋訴訟(大島と表記するものもあり)。ゼミで判例評釈を書きましたので、blogにも載せておきます。『租税判例百選』でも、一番最初に4ページとって金子宏教授が評釈を書いておられます。元はと言えば昭和39年分の所得税について争っていたものですが、最高裁で判決が出るまでに20年もかかっています。ゼミの教授に聞いたところによれば、当時はマスコミでとてもセンセーショナルに扱われ、ワイドショー的な番組で「サラリーマンの税金は不公平だ」と連日騒がれたそうです(その中には、自営業者は私的な出費を経費で使い放題という的外れな論調もあったようですが)。判決の中で「税金とは何ぞや」という根本が論じられておりますので、必見です。

目次

  • 判例評釈
    • 1 事実
      • 1-1 事件番号・裁判の経緯
      • 1-2 概要
      • 1-3 原告の主張
      • 1-4 争点
      • 1-5 参照条文
    • 2 裁判所の判断
      • 2-1 判決及び法廷意見
      • 2-2 伊藤正巳裁判官の補足意見
      • 2-3 谷口正孝裁判官の補足意見
      • 2-4 島谷六郎裁判官の補足意見
      • 2-5 法廷意見の傍論的部分(租税の機能について)
    • 3 評釈
      • 3-1 概要
      • 3-2 先例としての評価・影響
    • 4 参考文献
  • 教授の解説
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