税理士試験免除の大学院を特定支出控除の対象外とする国税庁解釈はおかしい
「給与所得者の特定支出控除」(所法57の2)という制度があります。改正で平成25年分から、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も含まれることになりました。この制度について国税庁が質疑応答を公表していますが、そこで示されている「税理士試験一部科目免除のための大学院の費用が特定支出に含まれない」とする法令解釈について疑問があります。
給与所得者の特定支出控除(所法57の2)の対象として、税理士試験免除の大学院の費用は含まれない旨の国税庁解釈。
— Mark / まあく (@mark_temper) June 24, 2018
これおかしいねー。法律にそんな要件は書いてない。 pic.twitter.com/JXhLwWgQJ0
続きを読む目次
- 「 給与所得者の特定支出控除」制度の概要
- 国税庁解釈「税理士試験免除のための大学院は特定支出とならない」
- 法令にはそんな要件は書いていない
- 研修費としてなら特定支出に該当するか
- 速やかな解釈見直しを要望します
『税務弘報』7月号 増田英敏教授 税理士試験の問題点と大学院についての意見
『税務弘報』2018年7月号の増田英敏教授の連載で、税理士試験の問題点と大学院について取り上げられておりますので、ご紹介します。税理士試験の問題の傾向については、私も当blogで批判を展開してきており、このコラムにも強く首肯するものです。こうした有識者の見解が積み上がっていって試験改革に結びついて欲しいものです。
増田英敏教授が『税務弘報』2018年7月号に、税理士試験と大学院について書いてるんですが、この意見は私が主張してきたことと軌を一にしており、全面的に賛同します。
— Mark / まあく (@mark_temper) 2018年6月14日
全部載せると著作権的にあれなんで一部抜粋しておきます。 pic.twitter.com/jM3ZvLRqJH
(前略)
条文や計算方法を暗記しなければ合格できないという現行の税理士試験のあり方には大きな疑問を感じている。専門学校に通い税法の条文と通達を丸暗記しなければ合格できないという試験問題の内容は、税理士に実務上求められる能力と大きな乖離があるといえよう。(中略)
税理士には税法の解釈・適用能力が求められているにもかかわらず、法的な判断能力(リーガルマインド)を錬成する教育を受ける機会がきわめて限られているという問題に直面している。この問題を解決する1つの方法が、大学院進学であるといえよう。
(中略)
大学院進学の目的を税理士試験の科目免除のための便法と捉えるのではなく、むしろプロフェッションとしての能力の涵養にあると再確認すべきである。
『税務弘報』2018年7月号 p.80
増田教授は、国税庁で税理士試験免除の論文審査担当に任命された経験もお持ちです。大学院を単なる試験の短絡ルートでなく、そこで学ぶことに意義があるというお考えにも、私は賛同します。
全文を読まれたい方は、本紙を購入してご覧ください。
中央経済社グループパブリッシング ( 2018-06-05 )
私の大学院生活も、課題が増えてきて忙しく過ごしています。
大学院で読むべき本がどんどん増えてくし、課題も間に合ってなくてとにかく時間が足りない。ADHD的先送り癖のせいも多分にあるんだけど、持ち歩いてるPCでレポートを書いて、ゼミが始まる1分前に印刷して持ってくようなギリギリの感じ。
— Mark / まあく (@mark_temper) June 14, 2018
というわけでblogとか更新する暇がない。 pic.twitter.com/2jXSTHshIo
判例の勉強してると、税法規定を逐条的にやっていきたいし、憲法や民法からちゃんと勉強したい気持ちが強くなってくる。このペースで行ったら税法をマスターするのは何年先になるんだって気がしないでもなくて、税理士実務を身につける必要性を考えると悩ましい。
— Mark / まあく (@mark_temper) June 14, 2018
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判例評釈 最三小判H9.11.11(レーシングカー事件)「一般人の理解から違和感の残る判決」
大学院のゼミの課題として出されて初めて書いた私の判例評釈と、教授の解説を載せておきます。裁判の結論は、納税者からすると「なんでこんな理屈が通るんだ」と言いたくなるもので、多数の評者から批判がされているものですが、これが日本の税務訴訟の現実でもあります。直感的におかしいという感覚を持つのは容易だと思いますが、法解釈の勉強の題材としては、如何にその感覚を構造的に分析して論じることができるかという点が問われるのだと思います。
続きを読む目次
- 課題 判例評釈
- 1 事案の概要
- 1-1 事件番号・裁判の経緯
- 1-2 前提
- 1-3 争点
- 1-4 参照条文
- 1-5 原告の主張
- 1-6 被告の主張
- 2 裁判所の判断
- 2-1 判決理由
- 2-2 反対意見(尾崎行信裁判官)
- 3 評釈
- 3-1 所感
- 3-2 先例としての評価
- 4 参考文献
- 教授の解説
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