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審査請求書に書いた税理士試験の点数を開示すべき「理由」はこれだ

前回の記事で審査請求書を提出した報告をしました。記載した「審査請求の理由」をここに公開します。

目次

審査請求書に記載した「理由」

審査請求の理由

 第一に、原処分庁が作成した開示決定明細書に記載された「不開示とした理由」によると、原処分庁は「①開示された答案の内容と当該答案に与えられた得点との分析や同様の開示請求を行った他の開示請求者との情報交換が行われることなどにより、機械的、断片的知識しか有しない者が高得点を獲得する可能性があり、税理士試験の目的が達せられなくなるおそれがある」と主張している。しかし、上記の理由から、解答欄を不開示とする必要性はある程度理解できるものではあるものの、評点欄(試験の点数)すら不開示とするには理由として不十分である。試験の大問ごとの点数が開示されたところで、試験において高得点を獲得するための特殊な解答方法が生み出されるとは到底考えられないため、当該部分を不開示とする必要性はない。依って少なくとも、評点欄(試験の点数)は開示を行なうべき個人情報であると考える。

 第二に、原処分庁は「②答案の採点について、試験委員及び事務局職員への質問や照会等が増加し、それぞれの有する業務に支障が生じるおそれがある」と主張するのであるが、質問や照会等が増加するおそれがあることを以って情報を不開示とするのは、理由としてなり得ない。税理士試験は、正答(模範解答)、受験者の評点(点数)、具体的な採点の基準などが一切発表されていない、大変不明瞭で情報開示に対して閉鎖的な試験である。そもそも質問や照会等が多い原因として考えられるのは、一部に正解すらはっきりしない不適切な問題が出題されており、採点基準が不明瞭であることである。この情報開示を行ったことにより、「質問や照会等が増加する」蓋然性があると言うことはできず、上記の仮定を不開示とすることの理由とするのは適切ではない。

 第三に、上記②の理由について、試験を実施する以上は主催者として当然に回答すべき質問や照会というものがあり、これらは試験委員や事務局職員に期待される通常の業務の範囲内である。煩雑になるからといってこれらの業務を忌避することでは、試験の公正性が疑われることとなる。国税庁「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく処分に係る審査基準」によれば、開示請求のあった保有個人情報は、法第14条各号の不開示情報が含まれている場合を除き、開示しなければならないところである。この法律によって保護されるべき受験者個人の利益と衡量した上で、「質問や照会等が増加するおそれがある」程度のことでは法第14条第7号の不開示情報に該当するということはできない。

 以上から、原処分庁の処分は適切性を欠いており、当該情報を開示すべきである。

以上が、私の主張するところです。どうでしょうか?客観的に見て説得力があるでしょうか?この記事のタイトルには要約して「税理士試験の点数を開示すべき理由」と書きましたが、あくまで個人情報保護に関する法律に基づく処分(部分開示決定)の審査請求ですので、その妥当性の観点からの主張になります。

1時間程度で書いた1000字の簡略化した文章ですので、まだここに収まっていない理由もあります。審査請求の始まりとなる第一の矢ですのでこんなところでしょう。本格的な意見書を提出する際には、前に相談に行った弁護士にリーガルチェックをお願いするつもりです。

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「開示決定・不開示決定・開示請求に係る不作為に対する不服申立て」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000411600.pdf)から引用

行政不服審査法について勉強

さて、ここまでの手続きはネットで調べた知識でやってきたのですが、審査請求書の書式がネット上にないことからして限界を感じましたので、本屋で専門書を調べてきました。週末にジュンク堂で税理士試験関係や税務の調べ物なども合わせて4時間くらい立ち読みしてきたのですが、いろいろと収穫がありました。


法律に従ってできること、できないこと、手ぬかりのないよう知っておいた方がいいこと、誰も教えてくれないので必要な知識は持っておかないと目的を達成できないからです。こういうことを調べるのに時間がかかってしまうのが痛いのでお金を払ってでも弁護士に教えてもらおうかと思っていたのですが、やろうとしていことがニッチ過ぎてこの分野を専門的に扱っている弁護士を見つけられなかったので自力でやるしかないという結論になりました。もしいい弁護士をご存知の方がいたら教えてください。

「行政不服審査法」についてなるべく読みやすく、要点がまとまっている本を購入しました。とりあえずこの後は、国税庁から弁明書が届き、それに対して私から反論書の提出、場合によっては口頭陳述、参考人の陳述を求めることができるようです。

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私事ですが、今年税理士試験で受験する科目を決めました。こんなことをやりながらもちゃんと試験に合格してやろうと思っています。この先この件でとられる時間を考えると初学で所得税を合格レベルまで持っていくのは無理なので、国税徴収法に変えました。

新たに税理士試験解答用紙の開示請求書と審査請求書を提出しました

前の記事で書いた、開示決定通知を受け取ったのは、1月14日、土曜日でした。内容を吟味し即日、審査請求を行うことに決め、以下の書類を16日、月曜日に作成、送付しました。

目次

今回送付した書類

平成29年1月16日付で以下の書類を国税庁「情報公開・個人情報保護室」宛てに送付しました。以下、順に説明します。

  • 「国税庁 平成29年1月12日付 官人6−1 保有個人情報の開示をする旨の決定について(通知)」に係る審査請求書 1件
  • 「国税庁 平成29年1月12日付 官人6−1 保有個人情報の開示をする旨の決定について(通知)」開示の実施に係る送付料(郵便切手250円分)
  • 開示請求手数料還付請求書 1枚
  • 保有個人情報開示請求書 2件

審査請求書

審査請求書については、どういう書面を提出すればいいのか調べても出てこなかったので個人情報保護室の担当者に問い合わせました。なんと書式は公開していないのだそうで、結局他の質問と合わせて40分弱も電話で聞きながら書き取って作成しました。所管する総務省の情報公開制度のページにも、開示請求についてはイラスト付きのパンフレットやガイドブックを公開して積極的に広報しているのに、審査請求については「窓口にお問い合わせください」とあるだけで、できる限り抑制したいという意図を感じます。

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「開示決定・不開示決定・開示請求に係る不作為に対する不服申立て」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000411600.pdf)から引用


作成した審査請求書は以下の通りです。ご参考にどうぞ。

国税庁長官 殿
平成29年1月16日

審査請求書

氏名
住所
連絡先

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)に基づく処分について、下記の通り審査請求をします。

1. 審査請求に係る処分の内容
国税庁 平成29年1月12日付 官人6−1 保有個人情報の開示をする旨の決定について(通知)(部分開示)

2. 処分があったことを知った日
平成29年1月14日

3. 審査請求の趣旨
上記処分につき不開示とされた部分について開示を求めるものである。

4. 審査請求の理由
別紙添付の通り

5. 処分庁の教示の有無及びその内容
「この決定に不服がある場合は、行政不服審査法の規定により、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に、国税庁長官に対して審査請求をすることができます。」との記載があった。
以上

「審査請求の理由」については、1000字程度になったので別の紙に書いて添付しました。別記事で公開します。


開示の実施に係る送付料

今回の部分開示決定では墨塗りだらけで得られる情報はほとんどないと思いますが、一応何らかの手がかりになるかもしれないので開示の実施手続きを進めます。というわけで、郵送料250円分の切手を同封しました。書類のコピー代等は、開示請求した時の手数料300円に含まれているので必要ないとのことです。

開示請求手数料還付請求書

最初に行った開示請求では、開示を請求する情報に、私は「採点済み解答用紙」及び「合格判定の基礎となる点数」と記入しました。これで2件の扱いになると思い600円分の印紙を貼り付けして納付したのですが、点数は解答用紙上に記入されているので合わせて1件として受理する、と個人情報保護室の担当者から連絡をもらいました。納め過ぎとなった300円分を還付する必要があるので請求書を書いてください、とのことで見本が同封されていましたのでその通りに記入しました。300円は銀行振込での還付となるようで、300円返すためにいくらコストをかけるんだろうと思わないでもないですが、そこは決められた手続きを重視するお役所らしいと思いました。

保有個人情報開示請求書

新たに開示請求を行ったのは、「採点前解答用紙」と「受験者の成績(点数及び順位)の記録されたファイル(本人部分)」の2件です。これは、当初から参考にしている会計士試験で行われている開示請求と同じ内容になります。私が最初に行った開示請求もこれを意図して2件の開示と考えたのですが、一つにまとめられてしまったので、今回はそれを明確にするためにあえて2件に分けて、印紙もそれぞれ貼付して提出しました。

どちらも会計士試験では普通に開示されるもの(前の記事参照)ですが、税理士試験では「当該文書が存在しない」という理由で却下にしてくる可能性も想定しています。情報公開室の担当者もその可能性を言ってきたのですが、(開示・非開示の決定をするのはこの担当者とは別の部署の人事課であるため)電話で確認してもらって「存在しない」という答えが返ってきてしまうと、開示請求をする前に門前払いになってしまうので、あえて聞かずに提出することを告げました。口頭での答えでは、その返答すら記録に残らないからです。つまり、存在しないと主張するのであれば、それを理由とともに正式な文書に記して送ってください、という狙いです。そうすれば当然にこちらはその返答に対して審査請求を行い、議論の俎上に上げることになります。

新しく行った開示請求については、今までに当blogに頂いた報告から考えると、また期限いっぱいの30日かかるような気がします。
開示にせよ不開示にせよ、どのような答えが返ってくるか楽しみです。


審査請求 今後の流れ

審査請求が今後どのように進むかは以下の図の通りです。今、②を行ったところです。次は情報公開・個人情報保護審査会に提出する意見書を用意して待ちます。審査会の開催状況によるので何か月くらい先になるかはなんともわかりません。

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「開示決定・不開示決定・開示請求に係る不作為に対する不服申立て」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000411600.pdf)から引用

税理士が税理士試験の異常さに口をつぐむワケ

前々回、「税理士試験適正化要望」今後の予定の記事を更新した直後に、twitterで興味深いつぶやきを拝見しました。税金マニア②さん(@taxmania12)は、税理士実務について参考になる知見や、ためになる税金クイズを更新されていらっしゃる税理士の方です。これらのつぶやきは私に向けたものではないのでしょうが、今私がやっていることに響くことがありましたので、勝手ながらまとめさせて頂きます。

目次

税理士は税務署に逆らえない。税理士試験についても。

税理士の懲戒権者は財務大臣。税理士は税理士監理官(税務署)に逆らえないのです。税理士試験は(真っ当な)試験ではない。それがわかっていても、税理士が表立って声を上げないのは、これを恐れているからでしょう。正式な懲戒処分までいかなくとも集中的に税務調査をされ、又はされるかもしれないと思わせるだけで萎縮効果があります。弁護士や会計士にはあって、税理士にはないもの。それは自治です。税理士は「独立した公正な立場で」と税理士法には高らかに謳われていますが、実際は両足に鎖を結ばれているようなものです。

税理士法
(税理士の使命)
第一条  税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。


私の直接知っている税理士の方数名に「適正化要望」への協力を求め、また親交のない方にも何名かメールを送りました。ですが皆、二言目には黙ってしまうのは、国税庁に目をつけられたくないという意識が働いているのではないでしょうか。それとも考えすぎでしょうか?



※税理士はOBの天下りを前提とした資格……官公署における税務職員として10年~15年勤務すると、税理士試験科目のうち、税法科目が免除される。また、23年〜28年以上税務職員として勤務し、指定研修を受けたものは会計学の科目が免除され、無試験で税理士となれる。




勉強して早く受かった方がいいのでは、という意見

「ベンキョーすれば合格できます。」その通りだと思います。
税理士試験の一部科目には正解が確定できないような不適切な問題があり、全く不透明な採点がされているせいで、本来合格できる人とそうでない人の番狂わせが生じている、というのが今私が一番問題にしている点です。税理士試験の合格率は概ね13%前後ですが、上位5~30%前後の人はでたらめな採点のせいで入れ替わりが起きている可能性があります。ただ本当に優秀な方で上位2~3%に入るようなぶっちぎりの成績を残している方は、でたらめな採点をされてもまず合格圏に残るでしょう。


その点、自分が受かることだけを考えるなら、せっせと勉強することが正直に言って一番合格への近道だと思います。上位2%に入れば確実に受かるのです。私のように、税理士試験の問題点について調べて行動を起こしている間に合格から遠ざかっていると思います。

「署名とか開示請求とかやっている暇があったら、勉強して早く受かったら?」実際に何人にも言われました。ただ、税理士試験について調べるほどに、欺瞞だらけで、どうしても放っておけなかったんですよね。これは性格の問題だと思います。私はめんどくさく、しつこい人間ですから。他に誰もやらないんだったら私がやる、ということです。代わりにやってくれる人が出てきたらさっさと渡しますよ、こんな大変なこと。


税理士は気を付けないとすぐ逮捕される








世の中、理不尽なことばかりで、どーしようもないことはありますよね。でも本当に「どーしょーもねえ。」んでしょうかね。ガンで死ぬのはしょうがなくても、税理士試験の理不尽は人災ですから。ただの試験委員のしょうもないミスと、それをチェックしない国税庁の怠慢ですから。なんらかの陰謀があって不正をわざとやっているなら、もうそれは知りませんが、ミスなら防げるものは防ぎましょうよ、ちゃんと対策しましょうよ、というのが私の意見です。


飯塚事件(1963年)

国税庁という組織は、意向に逆らう税理士を弾圧してきた歴史があるのも事実です。国から免許を与えられて仕事をしている者としては、声を上げるのもなかなか勇気がいることかもしれません。飯塚事件(1963年)では、税理士の飯塚毅が当時の税法上合法的に行っていた節税対策(別段賞与)に対し、国策捜査がされ会計事務所の職員4名が逮捕されました。最初の税務調査開始から無罪判決が確定するまでに7年かかりました。


ちなみに、冒頭に掲げた税理士法第一条に「独立した公正な立場において」の一節が入ったのは、飯塚毅先生の尽力だそうです。


『不撓不屈』は、飯塚事件をモデルにした(TKCのプロパガンダ)映画です。

不撓不屈 [DVD]
滝田栄, 松坂慶子, 夏八木勲, 三田村邦彦, 北村和夫
角川ヘラルド映画 ( 2007-01-26 )

おかしなことには「おかしい」と声を上げたい

私はそこまでの気概があって一連の活動を行っているわけではありませんが、誰が考えてもおかしなことにはちゃんと「おかしい」と声を上げたいと思います。税理士業界の常識は、外の世界では非常識です。

試験が終わって予備校の講師がどれだけ考えても、正解がはっきりしない、自分が間違えたのかどうかも、点数もわからない、そんな国家試験が他にあるでしょうか?

国税庁から届いた「開示決定明細書」と次の一手を公開

国税庁からの通知を公開します

先日、速報で「一部開示」とお伝えした「税理士試験の採点済み解答用紙」の国税庁からの開示決定の内容ですが、書類を郵便で受け取りましたのでここに公開します。

最初に申し上げます。今回の決定による開示では、こちらが意図した情報は全く開示されません。紙面のほとんどが黒塗りのいわゆる「のり弁」状態での開示となります。これは私が開示請求書に記載した「請求する個人情報」の表記の判断を間違えたことによるものです。皆様にはこれで税理士試験の答案が開示されると期待をさせてしまい、また他の方にも開示請求を呼びかけたにも関わらず同じ結果を招くことになってしまいました。申し訳ございませんでした。

この結果を踏まえて次の一手を既に考えております。次は狙い通りに開示されると見込んでいます。この記事の後半に記載していますので、どうぞ最後までお読みください。

目次

開示決定通知の内容

これが国税庁から届いた「保有個人情報の開示を決定する旨の決定について(通知)」1枚目及び3枚目です。(2枚目は省略。)
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「不開示とした部分」からわかること

開示決定明細書の「不開示とした部分」を見ると、「解答欄、解答欄右側の余白部分、評点欄」と、ほとんど全てが不開示とされたことがわかります。これで開示して出てくるのは、受験番号くらいでしょうね。評点欄の記載のある、解答用紙1枚目が理論の最初のページ、7枚目が計算の最初のページ、でしたでしょうか。

「(項目部分を除く。)」とあるのが意味がよくわかりませんが、「評点」と書かれたタイトルの部分のことでしょうか。

「不開示とした理由」からわかること

「不開示とした理由」を見ると、次のように記載があります。

①開示された答案の内容と当該答案に与えられた得点との分析や同様の開示請求を行った他の開示請求者との情報交換が行われることなどにより、機械的、断片的知識しか有しない者が高得点を獲得する可能性があり、税理士試験の目的が達せられなくなるおそれがある
②答案の採点について、試験委員及び事務局職員への質問や照会等が増加し、それぞれの有する業務に支障が生じるおそれがある

など、税理士試験事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、当該部分は法第14条第7号柱書きの不開示情報に該当するため、不開示とする。

国税庁の言うように、採点を全て開示してしまうと、どの部分にどのように点を振っているかまでわかってしまい、点のある箇所だけを効率的に解答しようとする者が出て不公平を招くということでしょう。しかし反論するとすれば、一部科目(例えば相続税法)で求められる膨大な量の記述に対し、試験時間内に解答欄の全てを埋めることは合格水準にある者でも不可能であり、既に現実に、点がないと思われる箇所を省略することが解答テクニックとして言われているため、意味がない理由付けでしょう。むしろ、配点が公表されないことで、問題の指定通り丁寧に解答している者と思い切って省略している者との間で不公平を招いているとも言えます。

もう一つは、裏を返せばそれは、全ての答案の全ての箇所を厳密に採点しているわけではないことがばれてしまうので困る、ということでしょうね。全問が記述式で膨大な分量になる税理士試験においては、完全に厳密な採点は不可能ということで、ある程度まではこの理由は理解できるものです。

②の質問や照会等が増加する、というのは理由になっていません。質問や照会等が多いのは、試験の採点に関わる全てが不明瞭で、正解すらはっきりしない不適切な問題を出題しているからです。適切な問題で試験を実施し、模範解答や採点基準が公開されれば必要なくなるものです。それでも来る質問は、試験を実施する以上当然に業務として真摯に回答すべきものでしょう。ここで開示しないことの理由にはなり得ません。



しかしながらこの理由で、解答欄だけでなく、評点すらも不開示としてきたのには驚きます。部分部分の点に限らず、大問ごとの点すら開示しないものと思われます。点数を開示することで生じる、「税理士試験事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」とは一体なんなんでしょうか。


法第14条第7項柱書きの不開示情報とは

前の記事で、

なおも不開示の決定を行う余地があるとすれば保護法14条第7号に該当する場合くらいでしょうが、

と、予想していましたが、まさに、その通りでしたね。

しかしこれをそのまますんなり受けれ入れられるかというと、そうではありません。上記の通り、不開示とする理由としては不十分であることがいくらでも反論できます。

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国税庁「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく処分に係る審査基準」より

次の一手

開示の実施の申出

今回の部分開示決定では黒塗りだらけで得られる情報はなく、ほとんど意味はないと思いますが、一応何らかの手がかりになるかもしれないので開示の実施手続きは進めます。

新たに「採点前解答用紙」を開示請求します

今回は「採点済み解答用紙」の開示を求めた私の判断が誤りでした。開示請求を行うにあたり参考にした会計士試験の開示請求では、「採点前の答案」としているのです。ここをあえて「採点済み」としたのは、あわよくば出てこないかという、私の判断でした。申し訳ありません。


ここで新たに別の開示請求として「採点前解答用紙」の開示を求めます。こちらは、主に2つの理由から開示が認められるはずです。

  • 採点前であれば今回の「不開示とした理由」に当てはまらないこと
  • 会計士試験で開示実績があること
採点前なら今回の「不開示とした理由」に当てはまらないこと

法律の趣旨としては、請求された個人情報は、基本的に開示しなければいけないものです。不開示とするには法律に則った相応の理由が求められます。今回、上記のような理由で不開示にしたということが引き出せたので、これはこれで成果がありました。

今度の「採点前」であれば、同じ理由で不開示とすることはできません。

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国税庁「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく処分に係る審査基準」より

会計士試験で開示実績があること

前述した通り、会計士試験では「採点前答案」の開示が実際にされています。

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Part518 答案開示(企業法)|公認会計士試験合格を目指す テレビっこのブログから引用

審査請求

当然ですが、この「部分開示」では到底納得できるものではないので、審査請求に進みます。審査では、処分庁(国税庁)の決定が妥当であるかどうか、外部の委員により審議されます。処分庁、請求人双方から意見を提出しますので、より詳しい答弁がされるはずです。

外部といっても、処分庁よりの決定が出される傾向があるようですが、提出する意見の内容にもよるでしょう。


まだ序章です

ここであっさり採点済み答案が出てくれば急展開でしたが、やはりそう甘くはないようです。しかし第一段階として十分です。


そして、これら一連の開示請求も全て、国税庁から税理士試験の実施事務についてどのような見解を持っているかを引き出すために行っています。判明した事実を材料に各方面に働きかけていきます。当初から目的は、税理士試験を今よりまともに変えさせることです。どうか皆様その点ご理解ください。

結果は「一部開示」!税理士試験の開示請求を実行した人はお知らせください

明けましておめでとうございます。というのにはもう遅くなってしまったのですが、皆さま新しい年をどのようにお過ごしでしょうか。


この記事の更新を準備していた、つい今しがた新しい情報が入ってきました!先に行っていた「税理士試験解答用紙の開示請求」について、そろそろ原則の期限である30日が経ちますので、どうなりそうか国税庁に問い合わせました。税理士試験の担当部署において「一部開示」の決裁が下りたようだと電話で確認しました。詳しくは、郵便が到着次第、更新します。

目次

「税理士試験適正化要望」今後の予定

解答用紙の開示請求 今後の見通し

署名サイトの方にも記している通り、今後の流れは次のようになります。

開示請求のプロセス

1. 開示請求

2. 開示/不開示決定(原則30日以内)

A. (開示決定の場合)
3. 閲覧・写しの交付の申出

4. 解答用紙の開示



B.(不開示決定の場合)
3. 国税庁長官に対し 審査請求(決定から60日以内)

4. 情報公開・個人情報保護審査会に諮問 → 裁決

5. 行政訴訟の提起(決定から6ヶ月以内)

税理士試験不適切問題集の充実

税理士試験が現状のままではダメな理由として最も端的に示す根拠となる、「不適切問題集」の作成を行っています。協力頂いている方から送っていただいた原稿もあるにも関わらず、体調を崩してしばらく更新を休んでいた間に止まってしまいました。申し訳ありません。できるだけ早くに更新を行っていきます。昨年の試験から年も変わって、皆様今年の試験に向けて勉強に忙しいことと思いますが、これはしつこく行っていかなくてはなりません。これを具体的に示すことが税理士試験の問題を追及する根幹と考えております。引き続き協力者は募集しています。

模範解答・採点基準・問題作成要項についての開示請求

解答用紙の開示請求の方が実現可能性が高そうだと判断して先行していましたが、こちらも忘れていません。税理士試験の問題を明らかにするための情報を入手するため開示請求を実行していきます。

税理士会へ提言の提出

明らかになった税理士試験の問題点について、要望・提言を、税理士の登録や啓発を行っている日本税理士会連合会へ送付します。以前に業界紙で読んだところによると、日税連は、税理士試験の受験者減少に問題意識を持っているようですし、マンガの公開なども行って税理士をアピールしているのですね。しかし、残念ながら日税連が考えている現状の認識はちょっとずれていると思いますので、きちんとした文書にまとめて働きかけていきます。


実はこちらの記事を書いた際に、日税連へ電話で問い合わせをしていまして、署名活動が動いていることもそれとなく伝えてあります。日税連に聞く耳があれば動くはずです。

署名を国税庁へ提出

署名サイトに頂いたコメント、皆様の税理士試験に関する意見は、最終的に印刷して国税庁へ送付します。一人ではなかなか行動に移せないという方も、この機会に署名サイトを利用してください。

国会議員に問題にしてもらうよう陳情

先に弁護士に相談に行った際に言われたことですが、問題点を具体的に指摘して、なお、税理士試験の運営が改まる気配がないのならば、国会で追及してもらうために国会議員への陳情を行います。国家試験の不透明でずさんな実施体制が放置されているということは、回り回って国民の利益に反することとなるからです。



現状についてただ不満を書き散らしているだけでなく、どうすれば相手が動くか(動かざるを得ないか)を考えてこれからも行動していきます。この「税理士試験適正化要望」に少しでも賛同できる部分があるのならば是非参加してください。現状手いっぱいなのもあり、私自身の試験はこの一年は捨てることになるかもしれないとの思いもあります。それくらいの覚悟を持って望んでいます。皆様のご支援をお願いします。


開示請求を実行した人はお知らせください

私が解答用紙の開示請求を行ったと報告したのを皮切りに多数の方が追随してくださったようです。blogに書いてくださったSKYさん始め、掲示板で「合格していても必ず開示請求する」と力強く宣言してくださった方、twtitterで「私もやります」と声をかけてくださった方もいらっしゃいます。この年末年始の休みに書類を用意した方もいらっしゃるのではないでしょうか。少なく見ても10名くらいの方が実際に動いてくださっているのではないかと見ているのですが、詳細は私も把握していません。

開示請求を行った方は、是非この記事へのコメント又はメールで「何日に」「何の科目を」開示請求したかお知らせください。多くの科目で、多様なパターンの答案の開示が行われることとなれば、模範解答の公開を得ずとも、別解の考えられる問題についての正否、配点の検証が可能になります。


いきなり全ての情報が開示されるかどうかは、正直五分五分です。前代未聞の事態に、国税庁の担当者がいま一生懸命検討しているところだと思います。ただ、どっちに転ぶかわからない今の時点で、多くの受験者が情報開示を望んでいると、数で示すことは非常に意味があることだと思っています。一人の盲信的な人間が行ったことは無視されるかもしれませんが、背景に多くの支持があることを目で見てわかるよう示せばそれは無視できないからです。



今回、十分な情報が開示されなかった場合には、その先の審査請求や、場合によっては訴訟などの対応は、私が引き受けます。ですのでまず、今の税理士試験に問題があると感じている方は行動に移して頂きたいと思います。もし今回が失敗したら2度目はありません。よろしくお願いします。


shikaku-hack.hatenablog.com