Markの資格Hack (税理士試験)

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税理士が税理士試験の異常さに口をつぐむワケ

前々回、「税理士試験適正化要望」今後の予定の記事を更新した直後に、twitterで興味深いつぶやきを拝見しました。税金マニア②さん(@taxmania12)は、税理士実務について参考になる知見や、ためになる税金クイズを更新されていらっしゃる税理士の方です。これらのつぶやきは私に向けたものではないのでしょうが、今私がやっていることに響くことがありましたので、勝手ながらまとめさせて頂きます。

目次

税理士は税務署に逆らえない。税理士試験についても。

税理士の懲戒権者は財務大臣。税理士は税理士監理官(税務署)に逆らえないのです。税理士試験は(真っ当な)試験ではない。それがわかっていても、税理士が表立って声を上げないのは、これを恐れているからでしょう。正式な懲戒処分までいかなくとも集中的に税務調査をされ、又はされるかもしれないと思わせるだけで萎縮効果があります。弁護士や会計士にはあって、税理士にはないもの。それは自治です。税理士は「独立した公正な立場で」と税理士法には高らかに謳われていますが、実際は両足に鎖を結ばれているようなものです。

税理士法
(税理士の使命)
第一条  税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。


私の直接知っている税理士の方数名に「適正化要望」への協力を求め、また親交のない方にも何名かメールを送りました。ですが皆、二言目には黙ってしまうのは、国税庁に目をつけられたくないという意識が働いているのではないでしょうか。それとも考えすぎでしょうか?



※税理士はOBの天下りを前提とした資格……官公署における税務職員として10年~15年勤務すると、税理士試験科目のうち、税法科目が免除される。また、23年〜28年以上税務職員として勤務し、指定研修を受けたものは会計学の科目が免除され、無試験で税理士となれる。




勉強して早く受かった方がいいのでは、という意見

「ベンキョーすれば合格できます。」その通りだと思います。
税理士試験の一部科目には正解が確定できないような不適切な問題があり、全く不透明な採点がされているせいで、本来合格できる人とそうでない人の番狂わせが生じている、というのが今私が一番問題にしている点です。税理士試験の合格率は概ね13%前後ですが、上位5~30%前後の人はでたらめな採点のせいで入れ替わりが起きている可能性があります。ただ本当に優秀な方で上位2~3%に入るようなぶっちぎりの成績を残している方は、でたらめな採点をされてもまず合格圏に残るでしょう。


その点、自分が受かることだけを考えるなら、せっせと勉強することが正直に言って一番合格への近道だと思います。上位2%に入れば確実に受かるのです。私のように、税理士試験の問題点について調べて行動を起こしている間に合格から遠ざかっていると思います。

「署名とか開示請求とかやっている暇があったら、勉強して早く受かったら?」実際に何人にも言われました。ただ、税理士試験について調べるほどに、欺瞞だらけで、どうしても放っておけなかったんですよね。これは性格の問題だと思います。私はめんどくさく、しつこい人間ですから。他に誰もやらないんだったら私がやる、ということです。代わりにやってくれる人が出てきたらさっさと渡しますよ、こんな大変なこと。


税理士は気を付けないとすぐ逮捕される








世の中、理不尽なことばかりで、どーしようもないことはありますよね。でも本当に「どーしょーもねえ。」んでしょうかね。ガンで死ぬのはしょうがなくても、税理士試験の理不尽は人災ですから。ただの試験委員のしょうもないミスと、それをチェックしない国税庁の怠慢ですから。なんらかの陰謀があって不正をわざとやっているなら、もうそれは知りませんが、ミスなら防げるものは防ぎましょうよ、ちゃんと対策しましょうよ、というのが私の意見です。


飯塚事件(1963年)

国税庁という組織は、意向に逆らう税理士を弾圧してきた歴史があるのも事実です。国から免許を与えられて仕事をしている者としては、声を上げるのもなかなか勇気がいることかもしれません。飯塚事件(1963年)では、税理士の飯塚毅が当時の税法上合法的に行っていた節税対策(別段賞与)に対し、国策捜査がされ会計事務所の職員4名が逮捕されました。最初の税務調査開始から無罪判決が確定するまでに7年かかりました。


ちなみに、冒頭に掲げた税理士法第一条に「独立した公正な立場において」の一節が入ったのは、飯塚毅先生の尽力だそうです。


『不撓不屈』は、飯塚事件をモデルにした(TKCのプロパガンダ)映画です。

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角川ヘラルド映画 ( 2007-01-26 )

おかしなことには「おかしい」と声を上げたい

私はそこまでの気概があって一連の活動を行っているわけではありませんが、誰が考えてもおかしなことにはちゃんと「おかしい」と声を上げたいと思います。税理士業界の常識は、外の世界では非常識です。

試験が終わって予備校の講師がどれだけ考えても、正解がはっきりしない、自分が間違えたのかどうかも、点数もわからない、そんな国家試験が他にあるでしょうか?

国税庁から届いた「開示決定明細書」と次の一手を公開

国税庁からの通知を公開します

先日、速報で「一部開示」とお伝えした「税理士試験の採点済み解答用紙」の国税庁からの開示決定の内容ですが、書類を郵便で受け取りましたのでここに公開します。

最初に申し上げます。今回の決定による開示では、こちらが意図した情報は全く開示されません。紙面のほとんどが黒塗りのいわゆる「のり弁」状態での開示となります。これは私が開示請求書に記載した「請求する個人情報」の表記の判断を間違えたことによるものです。皆様にはこれで税理士試験の答案が開示されると期待をさせてしまい、また他の方にも開示請求を呼びかけたにも関わらず同じ結果を招くことになってしまいました。申し訳ございませんでした。

この結果を踏まえて次の一手を既に考えております。次は狙い通りに開示されると見込んでいます。この記事の後半に記載していますので、どうぞ最後までお読みください。

目次

開示決定通知の内容

これが国税庁から届いた「保有個人情報の開示を決定する旨の決定について(通知)」1枚目及び3枚目です。(2枚目は省略。)
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「不開示とした部分」からわかること

開示決定明細書の「不開示とした部分」を見ると、「解答欄、解答欄右側の余白部分、評点欄」と、ほとんど全てが不開示とされたことがわかります。これで開示して出てくるのは、受験番号くらいでしょうね。評点欄の記載のある、解答用紙1枚目が理論の最初のページ、7枚目が計算の最初のページ、でしたでしょうか。

「(項目部分を除く。)」とあるのが意味がよくわかりませんが、「評点」と書かれたタイトルの部分のことでしょうか。

「不開示とした理由」からわかること

「不開示とした理由」を見ると、次のように記載があります。

①開示された答案の内容と当該答案に与えられた得点との分析や同様の開示請求を行った他の開示請求者との情報交換が行われることなどにより、機械的、断片的知識しか有しない者が高得点を獲得する可能性があり、税理士試験の目的が達せられなくなるおそれがある
②答案の採点について、試験委員及び事務局職員への質問や照会等が増加し、それぞれの有する業務に支障が生じるおそれがある

など、税理士試験事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、当該部分は法第14条第7号柱書きの不開示情報に該当するため、不開示とする。

国税庁の言うように、採点を全て開示してしまうと、どの部分にどのように点を振っているかまでわかってしまい、点のある箇所だけを効率的に解答しようとする者が出て不公平を招くということでしょう。しかし反論するとすれば、一部科目(例えば相続税法)で求められる膨大な量の記述に対し、試験時間内に解答欄の全てを埋めることは合格水準にある者でも不可能であり、既に現実に、点がないと思われる箇所を省略することが解答テクニックとして言われているため、意味がない理由付けでしょう。むしろ、配点が公表されないことで、問題の指定通り丁寧に解答している者と思い切って省略している者との間で不公平を招いているとも言えます。

もう一つは、裏を返せばそれは、全ての答案の全ての箇所を厳密に採点しているわけではないことがばれてしまうので困る、ということでしょうね。全問が記述式で膨大な分量になる税理士試験においては、完全に厳密な採点は不可能ということで、ある程度まではこの理由は理解できるものです。

②の質問や照会等が増加する、というのは理由になっていません。質問や照会等が多いのは、試験の採点に関わる全てが不明瞭で、正解すらはっきりしない不適切な問題を出題しているからです。適切な問題で試験を実施し、模範解答や採点基準が公開されれば必要なくなるものです。それでも来る質問は、試験を実施する以上当然に業務として真摯に回答すべきものでしょう。ここで開示しないことの理由にはなり得ません。



しかしながらこの理由で、解答欄だけでなく、評点すらも不開示としてきたのには驚きます。部分部分の点に限らず、大問ごとの点すら開示しないものと思われます。点数を開示することで生じる、「税理士試験事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」とは一体なんなんでしょうか。


法第14条第7項柱書きの不開示情報とは

前の記事で、

なおも不開示の決定を行う余地があるとすれば保護法14条第7号に該当する場合くらいでしょうが、

と、予想していましたが、まさに、その通りでしたね。

しかしこれをそのまますんなり受けれ入れられるかというと、そうではありません。上記の通り、不開示とする理由としては不十分であることがいくらでも反論できます。

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国税庁「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく処分に係る審査基準」より

次の一手

開示の実施の申出

今回の部分開示決定では黒塗りだらけで得られる情報はなく、ほとんど意味はないと思いますが、一応何らかの手がかりになるかもしれないので開示の実施手続きは進めます。

新たに「採点前解答用紙」を開示請求します

今回は「採点済み解答用紙」の開示を求めた私の判断が誤りでした。開示請求を行うにあたり参考にした会計士試験の開示請求では、「採点前の答案」としているのです。ここをあえて「採点済み」としたのは、あわよくば出てこないかという、私の判断でした。申し訳ありません。


ここで新たに別の開示請求として「採点前解答用紙」の開示を求めます。こちらは、主に2つの理由から開示が認められるはずです。

  • 採点前であれば今回の「不開示とした理由」に当てはまらないこと
  • 会計士試験で開示実績があること
採点前なら今回の「不開示とした理由」に当てはまらないこと

法律の趣旨としては、請求された個人情報は、基本的に開示しなければいけないものです。不開示とするには法律に則った相応の理由が求められます。今回、上記のような理由で不開示にしたということが引き出せたので、これはこれで成果がありました。

今度の「採点前」であれば、同じ理由で不開示とすることはできません。

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国税庁「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく処分に係る審査基準」より

会計士試験で開示実績があること

前述した通り、会計士試験では「採点前答案」の開示が実際にされています。

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Part518 答案開示(企業法)|公認会計士試験合格を目指す テレビっこのブログから引用

審査請求

当然ですが、この「部分開示」では到底納得できるものではないので、審査請求に進みます。審査では、処分庁(国税庁)の決定が妥当であるかどうか、外部の委員により審議されます。処分庁、請求人双方から意見を提出しますので、より詳しい答弁がされるはずです。

外部といっても、処分庁よりの決定が出される傾向があるようですが、提出する意見の内容にもよるでしょう。


まだ序章です

ここであっさり採点済み答案が出てくれば急展開でしたが、やはりそう甘くはないようです。しかし第一段階として十分です。


そして、これら一連の開示請求も全て、国税庁から税理士試験の実施事務についてどのような見解を持っているかを引き出すために行っています。判明した事実を材料に各方面に働きかけていきます。当初から目的は、税理士試験を今よりまともに変えさせることです。どうか皆様その点ご理解ください。

結果は「一部開示」!税理士試験の開示請求を実行した人はお知らせください

明けましておめでとうございます。というのにはもう遅くなってしまったのですが、皆さま新しい年をどのようにお過ごしでしょうか。


この記事の更新を準備していた、つい今しがた新しい情報が入ってきました!先に行っていた「税理士試験解答用紙の開示請求」について、そろそろ原則の期限である30日が経ちますので、どうなりそうか国税庁に問い合わせました。税理士試験の担当部署において「一部開示」の決裁が下りたようだと電話で確認しました。詳しくは、郵便が到着次第、更新します。

目次

「税理士試験適正化要望」今後の予定

解答用紙の開示請求 今後の見通し

署名サイトの方にも記している通り、今後の流れは次のようになります。

開示請求のプロセス

1. 開示請求

2. 開示/不開示決定(原則30日以内)

A. (開示決定の場合)
3. 閲覧・写しの交付の申出

4. 解答用紙の開示



B.(不開示決定の場合)
3. 国税庁長官に対し 審査請求(決定から60日以内)

4. 情報公開・個人情報保護審査会に諮問 → 裁決

5. 行政訴訟の提起(決定から6ヶ月以内)

税理士試験不適切問題集の充実

税理士試験が現状のままではダメな理由として最も端的に示す根拠となる、「不適切問題集」の作成を行っています。協力頂いている方から送っていただいた原稿もあるにも関わらず、体調を崩してしばらく更新を休んでいた間に止まってしまいました。申し訳ありません。できるだけ早くに更新を行っていきます。昨年の試験から年も変わって、皆様今年の試験に向けて勉強に忙しいことと思いますが、これはしつこく行っていかなくてはなりません。これを具体的に示すことが税理士試験の問題を追及する根幹と考えております。引き続き協力者は募集しています。

模範解答・採点基準・問題作成要項についての開示請求

解答用紙の開示請求の方が実現可能性が高そうだと判断して先行していましたが、こちらも忘れていません。税理士試験の問題を明らかにするための情報を入手するため開示請求を実行していきます。

税理士会へ提言の提出

明らかになった税理士試験の問題点について、要望・提言を、税理士の登録や啓発を行っている日本税理士会連合会へ送付します。以前に業界紙で読んだところによると、日税連は、税理士試験の受験者減少に問題意識を持っているようですし、マンガの公開なども行って税理士をアピールしているのですね。しかし、残念ながら日税連が考えている現状の認識はちょっとずれていると思いますので、きちんとした文書にまとめて働きかけていきます。


実はこちらの記事を書いた際に、日税連へ電話で問い合わせをしていまして、署名活動が動いていることもそれとなく伝えてあります。日税連に聞く耳があれば動くはずです。

署名を国税庁へ提出

署名サイトに頂いたコメント、皆様の税理士試験に関する意見は、最終的に印刷して国税庁へ送付します。一人ではなかなか行動に移せないという方も、この機会に署名サイトを利用してください。

国会議員に問題にしてもらうよう陳情

先に弁護士に相談に行った際に言われたことですが、問題点を具体的に指摘して、なお、税理士試験の運営が改まる気配がないのならば、国会で追及してもらうために国会議員への陳情を行います。国家試験の不透明でずさんな実施体制が放置されているということは、回り回って国民の利益に反することとなるからです。



現状についてただ不満を書き散らしているだけでなく、どうすれば相手が動くか(動かざるを得ないか)を考えてこれからも行動していきます。この「税理士試験適正化要望」に少しでも賛同できる部分があるのならば是非参加してください。現状手いっぱいなのもあり、私自身の試験はこの一年は捨てることになるかもしれないとの思いもあります。それくらいの覚悟を持って望んでいます。皆様のご支援をお願いします。


開示請求を実行した人はお知らせください

私が解答用紙の開示請求を行ったと報告したのを皮切りに多数の方が追随してくださったようです。blogに書いてくださったSKYさん始め、掲示板で「合格していても必ず開示請求する」と力強く宣言してくださった方、twtitterで「私もやります」と声をかけてくださった方もいらっしゃいます。この年末年始の休みに書類を用意した方もいらっしゃるのではないでしょうか。少なく見ても10名くらいの方が実際に動いてくださっているのではないかと見ているのですが、詳細は私も把握していません。

開示請求を行った方は、是非この記事へのコメント又はメールで「何日に」「何の科目を」開示請求したかお知らせください。多くの科目で、多様なパターンの答案の開示が行われることとなれば、模範解答の公開を得ずとも、別解の考えられる問題についての正否、配点の検証が可能になります。


いきなり全ての情報が開示されるかどうかは、正直五分五分です。前代未聞の事態に、国税庁の担当者がいま一生懸命検討しているところだと思います。ただ、どっちに転ぶかわからない今の時点で、多くの受験者が情報開示を望んでいると、数で示すことは非常に意味があることだと思っています。一人の盲信的な人間が行ったことは無視されるかもしれませんが、背景に多くの支持があることを目で見てわかるよう示せばそれは無視できないからです。



今回、十分な情報が開示されなかった場合には、その先の審査請求や、場合によっては訴訟などの対応は、私が引き受けます。ですのでまず、今の税理士試験に問題があると感じている方は行動に移して頂きたいと思います。もし今回が失敗したら2度目はありません。よろしくお願いします。


shikaku-hack.hatenablog.com

税理士試験の悪問出題は、戸田奈津子の字幕誤訳問題と同根である

目次

戸田奈津子字幕誤訳問題とは

映画の字幕翻訳・通訳として有名な戸田奈津子の名前を聞いたことのある方は多いでしょう。有名な作品も多く手がけていますが、誤訳や珍妙な言葉が多いことでも知られています。映画の翻訳は時間的やフォーマット上の制約があり難しいことを差し引いても、ストーリーの理解に関わる根本的な部分でのミスが目につきます。『アポロ13』ではオンとオフを全部逆に訳したとか、後述する『ロード・オブ・ザ・リング』の件は根が深いです。


そんな彼女へのあるインタビュー記事がネットで話題になっています。具体的に問題となった部分を上げて問題の核心に触れてはいないものの、彼女が誤訳との批判に対しどのように考えているか、ということがよくわかるインタビューとなっています。字幕の作成の仕事というのは全てを一人が担っており、彼女が他者からの真っ当な批判に聞き入れる耳を持たないため、全く改善される見込みがないということがわかります。御歳80歳になる彼女が業界で重宝されるのは、仕事が早く、ギャラが安いからだという噂もあります。

この記事に対する反響は、はてなブックマークに寄せられたコメントを見てみるとよくわかります。

『ロード・オブ・ザ・リング』で起きた問題というのは、こちらの記事が詳しいです。

『ロード・オブ・ザ・リング』(1作目)字幕版公開時には、「あまりに誤訳が多すぎる」「文字数の制限を考慮しても、訳のセンスがない」「人物の口調、敬称が統一されていない」「作品の世界観を破壊している」「原作者、監督の翻訳指示を無視している」「文字数の制限を考慮しても、不適切な字幕が多すぎる」などと、原作ファンが中心になって字幕版の翻訳を激しく非難。同時公開された同作日本語吹き替え版の翻訳が優良と評価されたことも、相対的に字幕版の翻訳の評価を落とすことに繫がった。
その結果、ついには「戸田奈津子を『ロード・オブ・ザ・リング』の字幕翻訳から外すべき」「字幕を修正すべき」という抗議・署名活動がおこり、署名は主にネット上で活動する有志によって、日本配給担当の日本ヘラルドへ送られる。

だが戸田は第2部以降でも降板せず、ヘラルドは誤訳があったとは認めないものの、劇場版に比べて、DVDでは字幕の制約が緩和されるためという名目により、1作目のDVD版字幕はかなりの修正が行われた。

( 中略 )

『二つの塔』劇場公開版以降でも田中明子の監修などの元、字幕翻訳体制の全面的な改善が見られ(まず田中明子が全文を訳し、それを戸田奈津子が字幕用に修正するという形になったという)、以後の字幕の質は大幅に改善した。

戸田奈津子 - 中つ国Wiki

税理士試験の問題は実質一人で作っている

一人の仕事に全体が左右される部分が大きく、外からの批判にも聞く耳を持たないため、改善を求める署名活動が起きている。驚くことに、税理士試験で起きているのは、これと同じことだと考えます。


税理士試験の問題は、国税庁・国税審議会から任命された21名の試験委員が作成しています。


これだけ見ると、それなりに多くの試験委員が共同で作っているのだと思いがちです。しかし、税理士試験は11科目が独立してそれぞれ別の試験として実施されます。会計科目である簿記論と財務諸表論は4名の試験委員が共同で作成していますが、税法科目は2名ないし1名の試験委員が作成しています。しかも試験委員が2名いる科目は、1名が国税庁の課長級の職員で理論問題を担当、もう1名は実務家である税理士が計算問題を担当している、と慣例的に言われています。つまり税法科目では、実質的に一人の試験委員がそれぞれの問題作成の全ての職責を担っていることになります。それぞれの試験委員の担当は正式に発表されていません(試験委員の名前のみ官報で公表)が、過去の試験委員経験者から漏れ伝わってくる話を聞いて予備校などが発表していますから、おそらく正しいものでしょう。


極めて重要な国家試験の問題作成を、実質的に一人で行っているというのは、妥当性や公平性の観点から問題があると言わざるを得ないでしょう。
というのは、単純な計算や事実を知っているかどうかで白黒つくマークシートのような問題ならまだしも、法律解釈の論点が分かれる問題や記述の方法が多様に取れる筆記試験では、試験委員一人と考え方が一致するかどうかで左右される部分が大きいからです。会計士試験の試験委員や、司法試験の考査委員についても調べましたが、一つの問題に対して多数の委員が関与するのが常識的です。私がこの問題を弁護士に相談に行った時にも「信じられない」と言われました。

ちなみに日商簿記検定の関係者に話を聞いたことがあるのですが、あちらは試験委員一人で作っているようなことを聞きました。ただ、それなりのキャリアのある大学教授が作っていますから、日頃から論文執筆などで他者からの批判の目にさらされることには慣れているでしょう。国税庁の職員が職務の片手間に作ったり、税理士会で役が回ってきただけのぽっと出の税理士が作るのとはわけが違います。

そんなお粗末な状況ですから、税理士試験では明らかな資料不足や不可思議な問題が出題されてしまうのですが、過去60年に渡って、問題の訂正や採点上の特別の措置が発表されたことも一度もありません。他の国家試験、看護師や、薬剤師、社労士の試験では行われていることです。万全を期して問題を用意してもミスは起こり、それについては事後的に得点調整の対応を発表します。それに対し、税理士試験では問題の作成から採点まで一人で行って出題のミスすら認めません。いかに税理士試験がずさんで閉鎖的な体制で行われているかがわかります。



この点について、当初から書こうと思ってずっと書けていないのですが、追及していかなくてはいけないと思っています。

  • 諸悪の根源は国税審議会・試験委員にあり(編集中)

問題の根源はミスをチェックしていないシステムにある

今回はインパクトを重視してタイトルに戸田奈津子氏の名前を持ってきましたが、この記事の主旨として御大を糾弾するものでないのは言うまでもありません。同様に、「税理士試験適正化要望」活動で訴えている目的は、悪問を作成した特定の試験委員の名前を論うことではありません。その道の大家と言えど、膨大な仕事の中の極一部に限った話ならば、ミスをしてしまうことだって、きっと、あることですよね。試験委員の名前を挙げて責任を取らせようだなんてことは私は考えていませんよ。特定の試験委員の名前で検索すれば、恨んでいる人は相当いることがわかりますけどね。例えそれがプロとしてあり得ないミスだとしても。ミスをしない人間なんていないですものね。


何より問題は、そのミスをそのまま製品としてリリースしてしまうプロダクション(悪問を試験で出題してしまう国税審議会)にあるのだと思います。その原因が、仕事を発注したプロダクションが大先生に対し物申すことをできないからなのか、単に仕事をチェックする手間とコストを惜しんでいるからなのか、それは私にはわかりません。しかし、その一手間をかけてさえいれば、防げた悲劇が現実にそこにあります。趣味で見る映画の字幕がおかしかった。それとは比較にならない、並々ならぬ思いが税理士試験の受験者にはあります。

回答欄がない、償却率がない、資料の矛盾、この様な試験を受けて適正な合格者を選抜することは不可能ですし、第三者が解答すれば事前に発見できることです。

坂大 直也 さんからのコメント · Change.org


受験者が人生をかけて挑む試験です。問題にミスがないよう万全の体制で試験を実施するのは義務ではないでしょうか。そのことを私は繰り返し申し上げています。−−−「税理士試験への要望1.適切な問題の出題」。試験の実施前に複数の試験委員による問題の相互チェックを行い、適正な試験が実施されるよう改善提案を行っていきます。

なぜ私が税理士試験の不適切性を問題にしているか 匿名希望さんへの返答

匿名希望さんからこちらの記事にコメントを頂きました。

一通り記事を読みました。
お考えになっている事は非常によく分かります。
ところで、まあく様は税理士試験を5科目終えて登録しているのですか?まあく様が理不尽で苦しい試験を乗り越えて、今後税理士となる人達に同じ苦しみをさせたくないという思いで今回の活動をしているのであれば賛同します。

まだ登録がお済みでないなら、まあく様がどれだけ税理士試験に人生を賭したのか客観的に判断出来ませんので賛同出来ません。

どこかで、まあく様の試験の経歴等を公開しているようでしたら拝見させて下さい。


匿名希望


この問題に興味を持って頂き、また、コメントを頂きありがとうございます。

質問に答える前に一つお伺いしたいのは、私が「税理士試験に人生を賭したかどうか」、でこの活動に賛同するかどうかを決めるというのはどうなんでしょうか?大事なのは、私が指摘している内容が正しいかどうか、現状の税理士試験に問題があるかどうか、ではないでしょうか?仮に、私がどれだけ苦しい思いをして試験に受かっていたとしても、試験に対する指摘や要望が全く的外れなのであればそれは汲むに値しないと思いますが。



とはいえ、発起人の私がどういう経歴なのかは気になるところではあると思いますので、正直にお話しします。私は税理士試験の勉強を本格的に始めて最初に受けたH25年に簿財に合格しました。その後はといいますと芳しい成績を残していません。H26相酒A,H27相A,そして今年も残念なことに、H28相Aでした。私自身の今年の総括、そして来年に向けてはちゃんと書いておかねばならないと思っているのですが、後回しになっていてまだ手が回っていません。



ただ、はっきりと言っておきたいのは、これは別に私が試験に受からない腹いせにこの活動をやっているわけではないということです。問題を簡単にしろとか、合格人数を増やせとか、そういう試験の難易度に関することは全く要望に含めていません。ただ、調べていくうちにこの試験にあまりに多くの問題が山積していることがわかりました。特に受験者の実力や出来を大きく逆転させる採点がなされており、本来の順位から行って合格すべき人とそうでない人の入れ替わりが相当程度生じていると推認されることは、看過できない問題です。このまま改善されずに試験が行われていくことは、多くの人を不幸にするだけでなく、この試験に受かった税理士の真正性をも傷つけることとなります。問題がわかった以上、誰もやってくれないのであれば私が動かずにはおれなかったのです。



もう一つ言えば、なぜ一受験生の立場である私が、自らの時間を犠牲にしてこの問題を追及しなければいけないのかは疑問に思っていることです。多くの方が現状の税理士試験がおかしいと思っていることはわかってきました。心理的ハードルを越えて署名してくださった方も100名超となっています。不満を持っている方は大勢いましたが、しかし、なぜ今まで誰も本気でこの試験を改善しようと動いてこなかったのか。理不尽な試験を乗り越えて税理士となってきた方はなぜ問題を指摘しようとしなかったのか。特に長年税理士試験の問題を分析し、不審な点があることについてもよくわかっている受験予備校が、国税庁に対し公開質問の一つや問題訂正の申し入れすらしなかったのか。

国税庁という組織は、意向に逆らう税理士を弾圧してきた歴史があるのも事実ですから、国から免許を与えられて仕事をしている者としてはなかなか声を上げるのは難しいのかもしれません。

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私は今年試験に受かりませんでしたが、めでたく合格された方も何名かが実際に開示請求に動いていると聞いています。例えば私が連絡を取って協力して頂いている、SKYさんは今年見事に3科目に受かりました。現に税理士である方からも賛同を頂いています。

blog.livedoor.jp



匿名希望さんにおかれましては、ここで申し上げてきたことも考慮頂き、税理士試験適正化要望への賛同をお願いしたいと思います。ありがとうございました。