Markの資格Hack (税理士試験)

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合格率2.0%(±0.3ポイント)の怪・不可解 官報調整も都市伝説ではない!?

「ここがオカシイ!税理士試験」シリーズ01

税理士試験のおかしなところを、わかりやすく短めのネタで紹介していくシリーズ。合格発表日を明日に控えた今、触れておかなければならないのはこちら。

合格率2.0%(±0.3ポイント)の怪

まずは、1枚のグラフをご覧ください。

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税理士試験の過去10年間の合格率を示したグラフです。俗に官報合格と言われる、5科目合格に達した受験者の合格率ですが、2.0%からプラスマイナス0.3ポイント以上乖離した年はありません。ほとんどが1.9~2.2%の範囲に収まっています。受験者は一般に科目ごとの合格率に目が行きがちで、こちらは概ね10~20%と科目、年によって変動もあるのですが、それに比べるとこの5科目合格率の安定感は不自然にも思えます。

ご存知のように、税理士試験は11科目あり、試験で5科目合格、若しくは一部免除を受けて5科目に達したとき、官報合格となります。それぞれの科目は独立していて、どの科目からでも受けることができます。よって最後の科目がどれになるかも人それぞれ。意図的に特定の科目の合格率を調整することができたとしても、5科目合格の合格率は各科目での合否判定の積み上げで決まりますから直接いじることはできません。11科目全体で5科目合格に達する人の合格率を一定に保つことは、自然に任せれば極めて難しいことです。


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もう一つこちらのグラフを見れば、その不自然さは歴然です。青色(5科目合格)の合格率は先ほどのグラフと同じ数字。赤色(延科目数)は、科目ごとの延べ受験者数と延べ合格者数を単純合算して求めた合格率。緑色(含科目合格)は、5科目合格者数と一部科目合格者数を足して求めた合格率です。一人で複数科目を受験する者がいるため、単純合算と異なる数となります。

赤・緑の合格率は年によってバラツキがあるのに、青は収斂しているのがわかります。私は統計学の知識に乏しいですが、自然に任せてこのような数字に落ち着く確率は一体どれほどなのか。どなたか解説をお願いします。

「官報調整」は都市伝説?

税理士試験受験者の間では、俗に「官報調整」が行われていると真しやかに語られています。官報合格がかかった5科目の受験者は、他よりも厳しく採点されるとか、同じ点数で合格ライン上にあったら落とされるとか。4科目合格済のリーチの者は、1年伸びたところで今さら税理士試験からの撤退はできないだろうから、受験者を長く囲うための当局の陰謀だと言われているわけです。

本当にそのようなことがあるのかは誰も根拠を示せていませんから(あったら大問題です。)、結局は所詮、都市伝説だろう、と言うことで落ちを付けるしかないわけです。


しかし、2.0%という、このような不自然な数字を前にすると、強ちありえない話でもないかもしれないと思えてきてしまうのです。5科目合格の合格率を一定に保とうと思ったら、必然的に5科目合格がかかった人の合否を調整するのが一番簡単ですから。

何のために操作が行われているのか

問題は、この調整が一体何の目的で行われているのかが全く不可解なことです。

資格試験を行うにあたって、一つには、英検や漢検の様に、一定の水準に達した人を全員合格にする方針がある一方で、何らかの目的をもって合格者の数を調整する方針の試験があっても別にいいわけです。例えば、医師会は、医学部の定員を増やそうとする動きがあると反対の声明を出します。社会に供給される医師の数を絞ることで、資格の価値を高めたいわけです。ここでその是非を問うつもりはありませんが、十分な数が供給されるという前提があるのなら、まあそれも一つの考え方だと思います。

税理士は、資格(無償)独占業務ですから、税理士試験の合格者の数は、税理士として業務をする人口に直結します。社会の税理士の需要に合わせて、必要な数の合格者を供給するという考え方も、考えようによってはありです。ただ、国税庁が公式にいう「税理士試験は60点取れれば合格」という誰も信じていない基準(実際は点数ではなく上位から人数で決まる)との矛盾にぶち当たるわけですが。

 合格基準点は各科目とも満点の60パ-セントです。
 合格科目が会計学に属する科目2科目及び税法に属する科目3科目の合計5科目に達したとき合格者となります。
国税審議会


しかし、税理士試験で行われているこの調整は、将来に亘って税理士の数を増やそうとか、減らそうとか、何かの目的があって行われているわけではありません。もし仮に2.0%の基準があるとしたら、分子(合格者の数)は分母(受験者の総数)に応じて自動的に決まるわけですから、恣意的に合格者数を操作するのは最も難しいのです。医師国家試験なら全国の医学部の定員が九分九厘そのまま合格者の数になりますから、医学部の定員を調整することで数をコントロールすることができます。

しかし、税理士試験の受験資格は大学を出ていれば誰でも受けられるくらい(詳細はお調べください。)に広くとってありますから、受験者の数を意図的にコントロールすることはできません。一人が一年に何科目受験するかだけでもそこそこ変わってきます。単純に、試験に受かる知識はないが受験だけする人(会場に来て名前だけ書いて帰る受験者)を増やせば、合格者の数はどれだけレベルが落ちようが増えることになるのです。



もし、意図的に、2.0%を保とうという力が働いているとしたら、それはポリシーも戦略もない、不可解な操作ということになります。誰が何のために行っているのかわかりません。国税庁にも税理士会にもそんなことをする動機も必要性も考えられないからです。だから2.0%は、ただの「怪」ではなく「不可解」でもあるのです。


国税審議会は明快な説明を!

以上、作成したグラフの元データの出典は国税庁公式サイトです。


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税理士試験の受験者はこの10年間で3分の1減りました(延べ科目数ベース)。この急激な減少の一因に、税理士試験には不可解・非合理的な点が多く、人生をかけて挑戦するにはリスクが高過ぎることが世に知れ渡ってきたことがあると、私は考えています。

税理士試験を主催する国税審議会のメンバーには、税理士会の代表も入っています。そして税理士会は、税理士試験の受験者の減少に問題意識を持っている様ですが、受験者に戻ってきてもらうには、まずは、この不可解さを説明することからではないでしょうか。

税理士試験・解答用紙と点数の開示請求・やり方

開示請求・制度の概要

国の情報公開制度を利用して、税理士試験の「採点済み解答用紙」と「点数(素点)」を開示請求します。誰でも、国の行政機関に対して、当該機関が保有する自分の個人情報の開示を請求することができ、 開示請求された個人情報は原則として開示されます。

制度の概要や実施例は、前回までの記事でご紹介しました。

shikaku-hack.hatenablog.com
shikaku-hack.hatenablog.com


国税庁の案内はこちら。

やり方

用意するもの(郵送の場合)
  • 保有個人情報開示請求書
  • 本人確認書類(運転免許証、健康保険の被保険者証、個人番号カード等)のコピー
  • 住民票の写し
  • 手数料(収入印紙300円)


「住民票の写し」は、コピーでなく、30日以内に発行された原紙が必要です。世帯でなく本人分のみでO.K. 続柄、本籍、マイナンバーの記載は不要です。住民票は、市役所(区役所)の平日開庁時間内の他、休日窓口、地下鉄駅の窓口で取得できます。(名古屋市の場合
収入印紙は郵便局等で買えます。

あて先

上記を封筒に入れ、こちらの住所に送ります。

〒100-8978 東京都千代田区霞が関3丁目1番1号
国税庁長官官房総務課情報公開・個人情報保護室


下記でご確認ください。不明な点もこちらの電話番号へ。


普通郵便かお好みのオプションで。私は提出した記録を残したいので特定記録をつけました。

請求書の記入の仕方
  • 保有個人情報開示請求書(PDF/223KB)(国税庁のPDFへ直リンク)をA4用紙に印刷する。
  • 提出日、氏名、住所、連絡先を記入。
  • あて先は「国税庁長官」でO.K. (下の行は消す)
  • 「1.開示を請求する保有個人情報」に以下の様に記入。

平成28年度 第66回税理士試験( 科目 )における本人の
採点済み解答用紙 及び 合格判定の基礎となる点数

受験番号 **県 *****

  • 「2.求める開示の実施方法等」イに○。
  • 「3.手数料」欄に収入印紙を貼り付ける。
  • 「4.本人確認等」の該当部分にチェックする。


記入に不備があった場合は担当者から電話で補正のための確認があるそうです。

税理士試験を受験した皆様へ

2016年12月12日、私は開示請求書を国税庁に郵送しました。結果は後日報告します。

首尾よく採点済み解答用紙の開示が行われることとなった場合には、これは画期的なことだと思います。多くの科目で、多様なパターンの答案の開示が行われることとなれば、模範解答の公開を得ずとも、別解の考えられる問題についての正否、配点の検証が可能になります。

また万が一不開示とする決定になったとしても、同時に多くの開示請求が届くことにより国税庁側も詳細な成績発表の需要を理解し、来年の合格発表からは、開示請求をしなくても今よりもう少し詳しい成績発表が行われるようになるかもしれません。

多くの方が続いてくれることを願っております。よろしくお願いいたします。

採点済み解答用紙の開示請求は可能か

目次

開示請求とは

前回の記事で、税理士試験の開示請求をすると書きました。

開示請求とは何のことでしょうか。

それは、国民に対し政府の説明責任を全うする観点から、法律によって設けられている国の情報公開制度です。「情報公開」と「個人情報保護」の大きく2つの側面から法律が作られています。各行政機関ごとに担当窓口が設けられており、制度としての全体の所轄官庁は総務省です。

  • 情報公開
    • 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
    • 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律
  • 個人情報保護
    • 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
    • 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律

開示請求があったときは行政機関の長は、不開示情報が記録されている場合を除き、行政文書を開示しなければならないこととされています。

また、誰でも、国の行政機関に対して、当該機関が保有する自分の個人情報の開示を請求することができ、 開示請求された個人情報は原則として開示されます。

 

採点済み解答用紙の開示請求は可能か

前回の記事でも書いた通り、情報公開法に基づいて税理士試験の模範解答や採点基準となる文書を開示請求をした人は過去にいらっしゃり、当該文書が存在しないことを理由として不開示の決定処分が出ました。

一方で、行政機関個人情報保護法に基づいて「保有個人情報開示請求」の手続を利用して行う「採点済み解答用紙」「合格判定の基礎となる点数(素点)の記録された文書」の開示請求の方ですが、これは普通に考えれば開示されるはずです。

まず、模範解答と異なり、文書そのものが存在するのは間違いありません。

もし、仮にもですが、まさかありえないとは思いますが、国税庁が平成15年審査会で主張したのと同様に、試験問題の作成及び採点は試験委員に委任しており、国税庁として当該情報を保有していない、等と言うのであれば、国税庁・国税審議会は試験実施者としての責任・統治を放棄したものとして、追及の俎上に上げなけれなばならないのは言うまでもありません。自らの存在意義を否定するものとして後々まで禍根を残すことでしょう。

 

いわゆる合格発表の時に送られてくる成績通知書には、科目ごとの合格又はA,B,C,Dといった大まかな成績しか記載されていませんが、内部的には問ごとに点数が振られ、合否判定に用いられているはずです。そうでなければ何千枚、何万枚という解答用紙の中から受験者の公正な順位付け、合格者選出を行うことは不可能です。

そしてこれらの文書が保護法の規定する個人情報に該当することにも疑いはありません。税理士試験の解答用紙には氏名が記載されていません(代わりに受験番号を記入する)が、受験票等の情報と照合することにより特定の個人の識別が可能となるからです。このことは保護法の定義及び、総務省のQ&Aに明記されています。

Q3-1
保護法で規定している「個人情報」とはどのようなものですか。例えば、次のような情報は、「個人情報」に当たりますか。
 6) 採用試験の結果

 

A 保護法上、「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名等により特定の個人を識別することができるものをいいます(第2条第2項)。

 6)については、採用希望者の個人情報に当たります。

「他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別できることとなるもの」(第2条第2項)

以上から、国税庁における当該個人情報の存在性、該当性は明らかですから、必ずや開示が実施されるはずです。

これで大分外堀は埋めたはずですが、なおも不開示の決定を行う余地があるとすれば保護法14条第7号に該当する場合くらいでしょうが、その場合にどのような理由をこじつけてくるのか見ものです。

行政機関の長は、開示請求が行われた場合には、開示請求の対象となっている保有個人情報に不開示情報が含まれている場合を除いて、開示請求者に対し、保有個人情報のすべてを開示しなければなりません(保護法第14条本文)。
 保護法は、このような原則開示の枠組みの下で開示範囲をできるだけ広げる観点から、不開示情報について、「○○に関する情報」などの不開示により保護しようとする情報の類型的な基準に、「○○を害するおそれ」などの定性的な基準を組み合わせることにより、明確かつ詳細に規定しています(第14条各号)。不開示情報の類型は、次のとおり、7類型あります。

 

7)事務事業に関する情報(同条第7号)
 国の機関等が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを不開示情報としています。

他の試験では開示されるのが普通です

そして税理士試験では調べる限り前例がありませんが、他の多くの試験で開示が実施されています。

公務員試験

国家公務員試験の成績は、人事院サイトでその開示請求の手順が公開されています。マークシート試験や集団討論、面接試験の得点、順位等が開示されるようです。また、この制度(法律)を利用して書面での開示請求が相当数あったからだと思いますが、ネット上で試験成績を開示する専用のサイトが作られるようになりました。

行政機関個人情報保護法(平成17年4月1日施行)により、誰でも、国の行政機関に対して、当該機関が保有する自分の個人情報の開示を請求することができます。 開示請求された個人情報は原則として開示されます。

  記 載 例(試験の成績を開示請求する場合)


※ 国家公務員採用試験の個人の試験結果(成績)について
受験をインターネットで申し込んだ方(経験者採用試験を除く)は、最終合格発表後一定期間、保有個人情報の開示請求によらずとも、パーソナルレコード(インターネット申込手続に入る画面の下方)にID及びパスワードを入力することで試験結果(成績)を確認・ダウンロードできます。第1次試験の際に配布された「受験心得」の「個人の試験結果(成績)について」をご覧ください。

 人事院が実施する試験の過去の問題を開示請求する場合の記載例
※ 人事院が実施する試験の過去の問題については、現在、平成10年度以降開示しています。開示する「試験問題集」には、すべての試験科目(筆記試験)が含まれています。

 マークシートの順位及び得点と最終合格の順位及び得点が記載された紙1枚が渡され、写しの料金として10円を支払いました。

 

試験結果のほうは、マークシートの順位は最終合格者数から少しだけ漏れていましたが、集団討論及び面接で40人以上をごぼう抜きして、上位3分の1の順位で合格していました。

センター試験

センター試験のマークシート原本と読み取りデータを開示請求し、実際に開示された事例です。センター試験を実施する「大学入試センター」は独立行政法人であるため、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)が適用されます。

センター試験のマークシートの原本を、個人情報開示制度を活用して開示させた上、答案部分について、「個人情報が間違っている」として、答案の書き換えを請求した事例を発見した。 

 

独立行政法人 大学入試センター試験のマークシート答案用紙は、行政機関が取得した個人情報を含む行政文書にあたるので、原本の開示請求が可能である。実際に上記の答申例を見ると、マークシート答案本体と、そのマークシート読み取り結果の成績データとの計 2 点を、「行政文書」として開示請求したところ、きちんと、全部開示されたということである。

 

独立行政法人 大学入試センターが「成績通知」として成績 (点数) を通知するサービスを行っているが、これは、4 月中旬まで発送されない。さらに、成績通知手数料 (800 円) がかかる。一方、個人情報開示請求を、たとえばセンター試験の答案用紙が機械読み取りされるマージンを見越して 1 月末ごろに開示請求書を提出すれば、その時点での機械読み取りされた答案データのファイルと、マークシート原本のコピーが 1 ヶ月後 (2 月末ごろ) に開示される。成績通知書には成績しか記載されないが、この方法で個人情報開示請求を行えばマークシート読み取り結果まで得ることができ、かつ、迅速である (通常の成績通知よりも 2 ヶ月近く早い)。

 

登 大遊 - センター試験のマークシートの原本を、個人情報開示制度を活用して開示させた上、答案部分について、「個人情報... | Facebook

 公認会計士試験

 会計士試験では、試験成績・答案用紙の請求をすることが普通に行われており、その請求方法、体験談等の情報がすぐに見つかります。受験予備校では開示された答案用紙の提供の呼びかけも行っているようです。

 【論文試験成績開示制度】
論文式試験の大問ごとの素点・得点比率、採点前答案用紙のコピーを監査審査会に請求し、取り寄せる事ができる制度です。
取り寄せ方は、監査審議会に直接出向き請求する方法と、郵送で請求を行う方法があります。

 

  開示を請求する保有個人情報
   素点・得点率が知りたい→「平成22年度公認会計士試験受験者ファイルの全て」と記入
   加えて採点前答案もほしい→「及び論文式試験採点前答案」と記入

※30日以内に開示受諾決定を通知が届き、それを返信して初めて開示書類が送られてくる。
※不明な点があれば審査会に電話して「開示請求について問い合わせたい」と言えば担当者が丁寧に説明してくれる。 

金融庁に行って来た
と言っても、去年落ちた公認会計士試験の詳細成績開示と答案開示のため
現在、情報開示の内容が進化していて、採点前の自分の答案を開示できるらしい

 

1Fの個人情報開示用の部屋に通されて、書類を渡して終了
 
意外と簡単だった

 

税理士試験の閉鎖性は時代遅れ

会計士試験では極当たり前に開示が行われているという事実は、税理士試験で開示請求をするにあたっても後押しとなります。司法試験、司法書士試験でも開示を実際に行った方の情報を見聞きしました。

そもそも、会計士試験では開示請求をせずとも、得点比率(大問ごとの得点比率)、順位の記載された成績通知書が全員に送られてきます。

 論文式試験成績通知書について

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税理士試験では、科目ごとに独立して実施される試験であるにも関わらず、科目全体のA,B,Cの大雑把な成績通知だけ。大問ごとの出来すら発表されない税理士試験の閉鎖的・不透明な体質が異常なのです。

他の多くの国家試験で情報開示が実施されているのに、税理士試験が何らかの理由をつけてそれを行わないのであれば、今度はその非開示決定の通知書に書かれた「理由の妥当性」を以って争う余地があります。いずれにせよ前進するはずです。

 

万が一にも、今回は不開示になったとしても、同時に多くの開示請求が届くことにより国税庁側も詳細な成績発表の需要を理解し、来年の合格発表からは、開示請求をしなくても今よりもう少し詳しい成績発表が行われるようになるかもしれません。

 

税理士試験開示請求のやり方

では、具体的な税理士試験の開示請求の書類の記入方法、郵送での送り先、等々詳しい情報は、さらに次の記事へ続きます。

閉鎖的・不透明な税理士試験の現状を打開するため、多くの方が続いてくれることを願っております。よろしくお願いいたします。

税理士試験結果発表を来週に控え、採点済み答案を開示請求します

目次

音信不通となり申し訳ございませんでした

お久しぶりの更新となります。Markです。約2ヶ月もの間更新が途絶え、申し訳ございませんでした。完全に私事となりますが、この間あまりに多忙なできごとがあり、自分のキャパを超え動き続けた結果、バランスを保つことが出来なくなりダウンして休んでおりました。仕事だけは穴を開けないよう出ておりますが、残業続きで疲れも蓄積し、メンタルの病気の悪化、恋人や友人の連絡も一切シャットアウトし鬱状態、家族が当たり屋に巻き込まれる事件等々ありました。

 

初学者コースで受講していた所得税法の講座は、最早追いつくのが困難なほど遅れをとってしまったため、これから仕切り直しで科目を変更するのかどうか計画を考えたいと思います。

このキャンペーンに対する私のスタンス

私がかなり熱を入れて取り組んでいる「税理士試験適正化要望」キャンペーンが思っているほど理解を得られなかったということへの失望もありました。

この活動を始めてから多くの人に、直接会って紙を見せ話をし、メールを書き、SNSで連絡を取り、活動を広めるために力を注いできました。それ以外にも協力してくれている方々と連絡をとり戦略を練る。情報収集。2ちゃんねるやblog等を巡回し反響を見る。一人で多くのことをやり過ぎたのと、無視できない数の否定的な声を直に受け続けた結果、精神的にかなり疲弊したということが、意識/無意識下に与えた影響は大きいと考えています。

当事者以外にはどのような点で問題があるのかわかりにくいことから、簡単に賛同を得られるとは考えていませんでしたが、特に友人や、私の身近にいる税理士試験を過去に受けていた人、今も受けている人、既に税理士として活動している人からあまり良い反応を貰えなかったことが堪えました。

「税理士試験には確かに問題があるね。応援するよ。頑張って。(でも署名はしない。)」「おかしいと思うなら試験に受かってからやればいいんじゃない?(面倒なことに巻き込むなよ)」

少なくとも私が合格科目に達するまでにどんなにうまくいってもあと2年はかかりますし、受かってから、などと悠長なことは言っていられないのです。おかしな試験委員と、おかしな試験問題、不明瞭な採点がありえる、とわかった以上、お上のやることには逆らうなとばかりに大人しく我慢して受からしてもらえるのを待つなどということはできません。

実際のところ、私が過去に受けた科目の試験問題に悪質と考えらえるものはありませんでした。去年や今年の相続税法の問題は、理解力を問ういい問題だと思っていますし、受からなかったとすればそれは自分の実力不足です。(ただそれでも別解が生じるところや配点次第で点数の大きな逆転があるので解答例を明示して欲しいと考えています。)でも来年の試験では、問題の不備により解答が出せないような悪質な問題に自分が当たるかもしれない。そう思ったら、黙っていることはあり得ません。

適正な試験が行われるよう改善を求めていくのは当然のことです。そしてそれは実現可能です。

週明けに開示請求を行います

さて、いよいよ来週16日の金曜日に税理士試験の結果発表が近づいてまいりました。去年私の身近に郵便の到着が火曜日になった人がいましたが、ほとんどの人には月曜日には届いているでしょう。

このタイミングで開示請求を行うのは、既に採点済みの解答用紙が確実に存在し、かつ受験者の成績が確定している期間であると思われるからです。本当はここまでに、いくつか段階を踏んでおきたかったのですが、これ以上先延ばしにして原本を廃棄でもされたら困るという判断です。(保管期間がどれくらい定められているのかわかりませんが。)

来年以降も税理士試験を受験する立場で名前を明かして開示請求を行うことには迷いがあったのですが、二人目の弁護士とお話しして覚悟が決まりました。自分の解答用紙を開示請求する以上、こちらの情報は明かさねばなりませんので。

国税庁担当者に連絡しました

開示請求を行うことについて今週、国税庁の担当者に通告(笑)というか、電話でいくつか確認をしておきました。国税庁の情報公開室と個人情報保護室の担当者お二人とお話ししました。

開示請求の対象となる行政文書名を特定する関係上、その担当者から税理士試験の担当部署となる人事課に問い合わせてもらいましたが、既に「模範解答や採点基準となる文書が存在しない」旨の返答を頂いております。情報公開室の担当の方から折り返しの連絡を頂いた際には、最初の電話でお話ししたときよりも随分と沈んだトーンのお声であったように窺えました。担当者間でどのようなやりとりがあったかは知る由もありませんが、平成15年の審査会答申を見るにこの返答は前例を踏襲する予想通りのものです。

前回は、開示請求から不開示決定後、情報公開・個人情報保護審査会への諮問で「不開示決定は妥当である」という答申が出たところで、この請求人の方は訴訟に進まず終わったようです。今回はその先をどのように展開するかというところに、新しい試みがあります。

税理士試験の運営がまともに実施される(問題作成が妥当になり、採点・配点の透明化が実現する)ようになるまで、毎年行う予定でおります。この過程を通じ、試験の運営自体の改善を行わざるを得ない状況に持ち込むことが目的です。

採点済み解答用紙の開示請求は可能か

一方で、「保有個人情報開示請求」の手続を利用して行う「採点済み解答用紙」「合格判定の基礎となる点数(素点)」の開示請求の方ですが、これは普通に考えれば開示されるはずです。

 

その根拠は次の記事にて。

 

今後の見通し

開示請求を行ってから原則として30日以内に開示・不開示の決定が出ます。ですので年明けには国税庁側から何らかのアクションがあります。

首尾よく採点済み解答用紙の開示が行われることとなった場合には、これは画期的なことだと思います。多くの科目で、多様なパターンの答案の開示が行われることとなれば、模範解答の公開を得ずとも、別解の考えられる問題についての正否、配点の検証が可能になります。

また万が一不開示とする決定になったとしても、同時に多くの開示請求が届くことにより国税庁側も詳細な成績発表の需要を理解し、来年の合格発表からは、開示請求をしなくても今よりもう少し詳しい成績発表が行われるようになるかもしれません。

次の記事で、郵送での開示請求のやり方を説明しますので、多くの方が続いてくれることを願っております。よろしくお願いいたします。

 

 

このキャンペーンについて私は、今後は疲れてしまうので、署名の数や反応もあまり気にせず、自分一人でもやるつもりでしぶとくやっていこうと思っています。本日までにこのキャンペーンに112名の賛同者・署名を頂いております。他にメール、コメント、直接、応援くださった方にも励まされております。ありがとうございます。期待してくださっている方もいますのでやれるところまでやります。

ただ今後については私の状況次第で、ここに書いたようなことを必ずやるという保証はありませんのでご理解ください。

私が大変な思いをしてまでやるのは、他にやる人がいないからです。どなたか引き継いで頂ける方がいるのなら渡したいと思っていますので、よろしくお願いします。

Q:不適切問題があっても全員同じ条件なので公平では? A:いいえ、違います。

「税理士試験適正化要望」の話をいろいろな方にしていて感じるのが、「「不適切問題」が含まれていても全ての受験者が同じ条件なのだから公平では」という意見が根強くあるようだということです。署名してくださった方の中にもコメントで見かけますし、この理由で署名には至らなかったという方もいるでしょう。これからするお話は、そういった考えの方に是非お聞きいただきたいです。

 

「不適切問題」により公平性が損なわれている

「不適切問題」が含まれていても全ての受験者が同じ条件なのだから公平だ、という意見があるようです。これは正しいでしょうか?

いいえ、そうではないと私は思います。「不適切問題」は合格に必要な要素のうち、運の要素を大きくし過ぎることが大変問題です。

 

ご存知の通り、税理士試験は科目にもよりますが、ミニ税法と言われる一部科目を除き、予備校の講師をもってしても2時間では到底解き切れない量の問題が出され、その中での処理能力をも問おうとしている傾向があります。「時間をかけ過ぎるべきでない問題を判断するのも実力のうち」という考え方も確かにあります。

過去未出題・予備校などで未学習の論点を含んでいるような問題、解けるけど時間のかかり過ぎる問題であれば、その考え方でいいと思います。簿記論などのように、小問が明確に分かれていて、例えば問3は丸ごと捨て問というならまだ取捨選択もできるでしょう。しかし、今言ったような問題は、「不適切問題」ではありません。

 

この「適正化要望」キャンペーンの中で「不適切問題」と呼ぶのは、次のような問題です。資料不足で解答が不可能な問題。矛盾した資料があり答えが一意に定まらない問題。法解釈に議論があり別解が考えられる問題。次いで、解答欄に不備があり出題意図を図りかねる問題。解答欄が狭過ぎたり、解答を要求する空欄が多過ぎて、問題全体のバランスから見て時間内に解答箇所を判断することが著しく困難な問題。これらの「不適切問題」は、合格に必要な要素のうち、運の要素を大きくし過ぎることから公平性を損ないます。

 

上級者ほど陥りやすい罠

税法科目では計算問題が全部繋がっていて合計で配点50点、という問題もあるのです。資料不足で解けない問題や、矛盾した資料があって別解が考えられる問題等は、十数ページの問題を全部読み切って初めてそのことが判断できる、ということもあるでしょう。

しかもその科目をよく理解している上級者ほどこの罠に陥りやすいということがあります。つまり、問題を見た瞬間「解答するにはあの資料とあの資料とあの資料が必要だ」と思い浮かぶ人ほど、「その資料がどこかにあるはず」もしくは「自分の見落としかもしれない」と思って探してしまうので余計に時間を使うはずです。その論点をあまり得意としていなかった人は、的当な答えをとりあえず埋めて次の問題に行くという選択をしますから、ここで本来の実力で取れるはずの得点と逆転が生じる可能性があります。

受験生は緊張状態の中、初見でまさか問題に不備があるとは思わず試験に望むわけです。その問題に不備があることを瞬時に判断して関連する部分を解答から外すということができるしょうか?

それがわかったときにはもう数分消費してしまっているのではないでしょうか。つまり、そこに手を付けたら負け、ということです。

そうなってくるとその問題を解くべきか、そうでないかを判断するのは、直感がものをいう、ということになってきます。それはただの運です。運で点数が4点、5点変わってしまうのを許せるでしょうか?

 

たまたま試験委員と合致した人にだけ点がある運

もう一つの問題点は、別解が考えられる場合ですが、模範解答・配点が発表されないため、どの解答が丸になっているのか、あるいは点がないのか、それもわかりません。合理性のある考え方に基づく解答が、試験委員の考えと違ったという理由で、独断でバツにされている可能性があります。考えられる解答のうち、 たまたま試験委員の想定と合致した一方を書いた人には点があり、他方は有無を言わさず0点。そうなっている可能性がありますが、それも最後の最後までわからないので、抗議することも質問することすらも一切できないのです。時間をかけて考えて埋めた上に、点があるかどうかは運。このような理不尽なことはありません。

 

運によって合否が決まることは機会の均等を失わせる

税理士試験は1分1秒を争う過酷な試験、1点の差がとても大きな意味を持ちます。普段から相当優秀な人でも、上位10%に滑りこめなければ容赦なく落ちる試験です。その試験で不適切問題が出て、連係して5点10点も変わってしまえば合否が大きくひっくり返ります。努力や能力よりも運によって合否が決まる要素が大きくなれば、機会の均等を失わせます。

 

試験から完全に運の要素を排除することはできません。人によって得意・不得意があり、直前に見た問題がたまたま本番で出るということは、人智によってコントロールできない運です。しかし、不適切問題による運の要素は、問題を事前にチェックすれば0にできるのです。試験実施前のチェックで要望1の「適切な問題の出題」が実現します。また万が一不適切問題が出題されてしまったとしても、要望2の「模範解答の公表」と適切な措置(採点の配慮)の発表を行えば、運による不確実性を最低限に抑えることができます。これら試験を実施する上で当然の対策をせず放置している国税庁には瑕疵があります。瑕疵は改めさせましょう。

 

不適切問題が試験の合否にどう影響を与えているか、というこの話の続きは、次の記事で。

  • 【図解】今の税理士試験・不適切問題によって起きていること