Markの資格Hack (税理士試験)

資格試験に四苦八苦しないための資格Hack(シカクハック)情報 税理士試験の実情を発信しています

Q:不適切問題があっても全員同じ条件なので公平では? A:いいえ、違います。

「税理士試験適正化要望」の話をいろいろな方にしていて感じるのが、「「不適切問題」が含まれていても全ての受験者が同じ条件なのだから公平では」という意見が根強くあるようだということです。署名してくださった方の中にもコメントで見かけますし、この理由で署名には至らなかったという方もいるでしょう。これからするお話は、そういった考えの方に是非お聞きいただきたいです。

 

「不適切問題」により公平性が損なわれている

「不適切問題」が含まれていても全ての受験者が同じ条件なのだから公平だ、という意見があるようです。これは正しいでしょうか?

いいえ、そうではないと私は思います。「不適切問題」は合格に必要な要素のうち、運の要素を大きくし過ぎることが大変問題です。

 

ご存知の通り、税理士試験は科目にもよりますが、ミニ税法と言われる一部科目を除き、予備校の講師をもってしても2時間では到底解き切れない量の問題が出され、その中での処理能力をも問おうとしている傾向があります。「時間をかけ過ぎるべきでない問題を判断するのも実力のうち」という考え方も確かにあります。

過去未出題・予備校などで未学習の論点を含んでいるような問題、解けるけど時間のかかり過ぎる問題であれば、その考え方でいいと思います。簿記論などのように、小問が明確に分かれていて、例えば問3は丸ごと捨て問というならまだ取捨選択もできるでしょう。しかし、今言ったような問題は、「不適切問題」ではありません。

 

この「適正化要望」キャンペーンの中で「不適切問題」と呼ぶのは、次のような問題です。資料不足で解答が不可能な問題。矛盾した資料があり答えが一意に定まらない問題。法解釈に議論があり別解が考えられる問題。次いで、解答欄に不備があり出題意図を図りかねる問題。解答欄が狭過ぎたり、解答を要求する空欄が多過ぎて、問題全体のバランスから見て時間内に解答箇所を判断することが著しく困難な問題。これらの「不適切問題」は、合格に必要な要素のうち、運の要素を大きくし過ぎることから公平性を損ないます。

 

上級者ほど陥りやすい罠

税法科目では計算問題が全部繋がっていて合計で配点50点、という問題もあるのです。資料不足で解けない問題や、矛盾した資料があって別解が考えられる問題等は、十数ページの問題を全部読み切って初めてそのことが判断できる、ということもあるでしょう。

しかもその科目をよく理解している上級者ほどこの罠に陥りやすいということがあります。つまり、問題を見た瞬間「解答するにはあの資料とあの資料とあの資料が必要だ」と思い浮かぶ人ほど、「その資料がどこかにあるはず」もしくは「自分の見落としかもしれない」と思って探してしまうので余計に時間を使うはずです。その論点をあまり得意としていなかった人は、的当な答えをとりあえず埋めて次の問題に行くという選択をしますから、ここで本来の実力で取れるはずの得点と逆転が生じる可能性があります。

受験生は緊張状態の中、初見でまさか問題に不備があるとは思わず試験に望むわけです。その問題に不備があることを瞬時に判断して関連する部分を解答から外すということができるしょうか?

それがわかったときにはもう数分消費してしまっているのではないでしょうか。つまり、そこに手を付けたら負け、ということです。

そうなってくるとその問題を解くべきか、そうでないかを判断するのは、直感がものをいう、ということになってきます。それはただの運です。運で点数が4点、5点変わってしまうのを許せるでしょうか?

 

たまたま試験委員と合致した人にだけ点がある運

もう一つの問題点は、別解が考えられる場合ですが、模範解答・配点が発表されないため、どの解答が丸になっているのか、あるいは点がないのか、それもわかりません。合理性のある考え方に基づく解答が、試験委員の考えと違ったという理由で、独断でバツにされている可能性があります。考えられる解答のうち、 たまたま試験委員の想定と合致した一方を書いた人には点があり、他方は有無を言わさず0点。そうなっている可能性がありますが、それも最後の最後までわからないので、抗議することも質問することすらも一切できないのです。時間をかけて考えて埋めた上に、点があるかどうかは運。このような理不尽なことはありません。

 

運によって合否が決まることは機会の均等を失わせる

税理士試験は1分1秒を争う過酷な試験、1点の差がとても大きな意味を持ちます。普段から相当優秀な人でも、上位10%に滑りこめなければ容赦なく落ちる試験です。その試験で不適切問題が出て、連係して5点10点も変わってしまえば合否が大きくひっくり返ります。努力や能力よりも運によって合否が決まる要素が大きくなれば、機会の均等を失わせます。

 

試験から完全に運の要素を排除することはできません。人によって得意・不得意があり、直前に見た問題がたまたま本番で出るということは、人智によってコントロールできない運です。しかし、不適切問題による運の要素は、問題を事前にチェックすれば0にできるのです。試験実施前のチェックで要望1の「適切な問題の出題」が実現します。また万が一不適切問題が出題されてしまったとしても、要望2の「模範解答の公表」と適切な措置(採点の配慮)の発表を行えば、運による不確実性を最低限に抑えることができます。これら試験を実施する上で当然の対策をせず放置している国税庁には瑕疵があります。瑕疵は改めさせましょう。

 

不適切問題が試験の合否にどう影響を与えているか、というこの話の続きは、次の記事で。

  • 【図解】今の税理士試験・不適切問題によって起きていること