Markの資格Hack (税理士試験)

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また受験者減少!科目の傾向からも税理士試験制度改革は急務

国税庁サイトで、今年の税理士試験の受験申込者の状況が発表されました。予想通りの減少傾向に変わりはありませんが、統計を詳しく見ていくと、さらにはっきりと見えてくる事実があります。今日は税理士業界の重鎮に直視してもらいたい問題を取り上げます。どこの商業サイトよりも有益な情報がここにあります。

 

目次

止まらない減少傾向

まず全体の申込者数ですが、前年の44,044人から41,242人へ変化。前年比7%のマイナスです。下記の記事で示した通り、既に受験者は過去10年で3分の1減少しましたが、傾向に歯止めが効きません。

 


受験地別に見てみると、熊本会場だけ増えていますが、前年が熊本地震の直後に申込期間がありましたから、この影響の反動と思われます。こんなところからも地震の爪痕が感じられます。被災された方も頑張ってください。試験の近づいたこの時期になると毎年私は、大きな災害が起きやしないか、試験に影響しないかと、冷や冷やしています。

税理士試験受験申込者数 受験地別


科目別では国税徴収法のみ増加

科目で見ると、やはり軒並み減少していますが、国税徴収法だけが2,886人 前年比109.8%と増加しています。数年前から唯一増加傾向にあったと思いますが、ついに所得税法の2,489人を抜きました。国徴だけ増えているのは、比較的合格しやすい科目と言われているからだと思われますが、数年前からネットスクールが独学用の教材を業界で初めて発売し講座を設けている影響もあるのではないでしょうか。

国徴の次に、酒税が98.3%、消費税が94.0%でつけており、一方で、住民税、事業税、固定資産税の地方税が前年比80%台と低迷しています。沖縄会場の住民税は受験者0人です。学習量の少ない「ミニ税法」の中でもはっきりと科目間の格差が表れていますが、これは、比較的初級者が多く競争率の低い科目を受験者が選好しているからだと私は考えます。地方税の科目については私は詳しくありませんが、満点勝負、ワンミスアウトの科目だと聞いています。自分が完成度を上げても、周りもみんなできるため、競争試験の仕組み上、合格に近づけないということが言えます。

科目選択の条件として、「実務で使える科目」「学習負担の少ない科目」というのがありますが、「実力が反映されやすい科目」にも人気が集まっているのではないでしょうか。「実力が反映されやすい科目」とは、学習して実力を身につけるほど順当に合格可能性が高くなる科目です。当たり前のことのようですけど、現在の税理士試験はその当たり前が成立していないのです。ただでさえ長期化しがちな税理士試験で、1年でも早く試験を終わらせたいと考えた受験者がリスクを嫌って合理的な選択をした結果だと考えます。税理士試験や税理士会の関係者にはこのことの意味をよく考えて頂きたいです。これは単に受験者が学習量が少なく簡単な科目に逃げているということではなく、理不尽な試験制度の中で少しでもましな科目を選んでいるということです。

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ところで、私も今年、国税徴収法を学習していますが、これはいい科目だと思っています。税を徴収する側の論理で税理士実務と関係ないなどと言われがちですが、意外と実務でも使えるのではないかと思います。なぜなら、税法の基本となる国税通則法を最も丁寧に学習する科目であり、徴収側の根拠法を知ることは、納税者側の権利を守る上でも役立つ知識を学べるからです。理論の比重が大きいながら、他科目のように丸暗記、ベタ書きでなく、事例への要件当てはめを問われるなど、ちゃんと法律の試験をやっている感じがします。民法の債権関係や登記の知識も実務に役立つと思いますし、やっていて面白いです。ということで、国税徴収法は私からもオススメの科目です。

進む高齢化 若者は税理士試験を受けない

税理士受験者のデータに戻りまして、こちらの世代別の統計をご覧ください。こちらに引用しているのは、合格発表時に国税庁から公表されるデータをグラフにしたものです。全体の受験者が減少する中で、唯一増えているのが41歳以上の層です。そして20代の落ち込み方は全体よりも顕著で、9年前からほぼ半減です。このことからはっきりわかるのが、特に若者は税理士試験を受けなくなっているということです。当然だと思います。ネットで「税理士試験」を検索すると、税理士試験は長期化するからやめたほうがいい、と書いたブログがたくさん出てくるのです。最初は、競争相手を減らしたい開業税理士が書いているのかと思っていましたが、そんなことをしても意味はなさそうですし、本心から書いているのでしょう。私も未来ある若者に貴重な時間を奪う税理士試験はおすすめできません。税理士を選ぶにしても他の手段を勧めます。

税理士試験受験者数の年齢別推移


税理士 「試験組」は希少価値 「試験免除者」は1400人時代へ : KaikeiZine | 税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

 


上記の記事で、若い優秀な学生は税理士試験より会計士試験を経て税理士になった方がリスクが低くお勧めできると書きました。さらに言うと、会計士試験で学習する内容の方が、税理士試験より税理士実務に役立つのではないかとすら思います。現行の税理士試験は税理士を目指す者のためになっていないのです。


税理士試験にこそ内因がある

こちらは、TAC株式会社の会社案内資料から、税理士以外も含めた会計系資格試験の受験者数の推移を引用しました。人口減社会の中で、受験者数が減っていくのは当然と思われるかもしれませんが、簿記検定が10年間受験者数を同水準に保っており健闘しています。会計士試験は10年前の49%になっていますが、これは制度改革で試験が変わって合格者を増やした後に、需要がないことがわかり絞っているのでその影響です。減少傾向も昨年下げ止まりました。中小企業診断士は増えています。

会計系資格受験者の推移

「TAC株式会社 会社案内 2017-2018」より
ウェブ上ではこちらに古いものがある。
TACデータファイル| 資格の学校TAC[タック]


もう一つ重要な統計を出すと、税理士の新規登録者はこの10年で別に減っていないのです。税理士試験の受験者(と合格者)だけが減っているのです。登録者数と試験合格者数の差を埋めるのは、試験免除者の存在です。税理士になりたい人は減っておらず、やはり試験受験者が減っているのは、試験を実施する国税庁の怠慢と、業界の無策故でしょう。


税理士新規登録者/試験合格者数


試験が合理的でないと考え、大学院免除を選択する人が増えている、ということでしょう。免除制度については、また別の記事で取り上げます。



このままでは税理士業界の未来はない

若者が入ってこない業界の未来が明るいはずがありません。業界はこの凋落をいつまで放置しておくつもりでしょうか。税理士会もこの傾向を危惧して、特に今の日税連会長はいろいろと対策に乗り出しているのは存じています。しかし、その方向性がずれている気がしてなりません。

税理士試験については、私以外にも下記のように、識者が問題点を指摘しています。

法律家としての素養を判定する試験になっていない

私見ですが、税理士試験は、計算問題を通して、通達学修をさせ、国税職員と同様の考え方を持つ税理士の養成であり、司法試験の租税法のように、租税法の解釈と適用を問う判例をベースとした理論問題ではないので、条文丸暗記で応用の利かないリーガルマインドなどとは無縁な職人としての税理士の養成でしかないような気がします。
「税理士は法律家たれ!」と言われて久しいのですが、判例も読むことなく、さらに重要な納税者の権利と義務が定められている「国税通則法」という手続法が試験科目から除外され、実体法のみを受験勉強するため、税務調査に弱い税理士の養成になっているのが、税理士試験のような気がしています。

名古屋商科大学大学院 会計ファイナンス研究科 専任教授 齋藤 孝一

税理士試験とは | 税理士とは | 名商大ビジネススクール - MBA/経営学修士

模範解答を公表すべき

第 62 回税理士試験 法人税法 総評

本問の出題者が本問に係る法令・通達をどのように解釈し、受験者にどのような解釈を求めているのかということは、明らかではありませんが、本問は、「法令等を正しく解釈・適用することができるかどうかという能力を問う」(国税庁HP(平成24年度(第62回)税理士試験出題のポイント))という問題として適切であるのか否かという点に疑問があるように思われます。

税理士試験の受験者は、後々、税理士として税理士業務を行うこととなり、本問のような原価となるのかあるいは販管費等となるのかという問題に取り組むこととなるわけですから、本問の解答がどのようなものとなるのかということは、後の税理士業務においても知っておかなければならない大事なことです。

税理士試験に関しても、今後は、出題者が自ら模範解答を示すことを検討していただいた方がよいように思われます。

http://zeinomachi.jp/wp-content/uploads/2012/12/8011af0bd19caf6f14608795af0e5db8.pdf
過去問題集|税理士試験 受験教室 | 税の街|税にたずさわるすべての人のための“参加型”総合税務サイト

すぐにできる対策3つ

本格的に試験の改革に乗り出すなら、私から提案できることはいくつかあります。そちらは、おいおい書いていくとして、すぐにできる改善策として前々から訴えているのが、この3つの要望です。


shikaku-hack.hatenablog.com


日税連には、私から直接、意見書を郵送させてもらいましたが、真摯に向き合ってくれるでしょうか。最近税理士登録した会員にもしっかり調査したらいいんじゃないでしょうか。