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こちらが試験委員の掲載された官報です 問題作成はこのように

税理士試験の試験委員は、予備校が毎年発表していることはよく知られた事実です。予備校の中には試験委員の専門分野などを調べて、対策講義を行っているところもあります。ところで、この試験委員、国税庁のサイトには掲載されていませんが、予備校はどこから情報を入手しているかご存じでしょうか?


正解は、合格者発表と同じく、官報で公表されているのです。その実物を入手してきましたのでご覧ください。

目次

インターネット版官報

税理士受験者にとっては、12月の合格発表のときにお馴染みの官報ですが、つい先日、官報のサイトがリニューアルされました。国立印刷局自ら「劇的リニューアル!」と謳っている通りデザインが大幅に刷新され見やすくなりました。

インターネット版官報、官報情報検索サービスのページをリニューアルしました。


しかし、直近30日より前のものは、有料のサービスでないと見られないので、図書館まで行ってきました。

試験委員任命の掲載された官報

税理士試験の試験委員は、毎年1月初旬の官報で官庁の人事異動として発表されています。こちらがその官報です。

官報 平成28年1月12日 第6691号



掲載したのは平成28年度のものです。ご覧の通り、予備校のサイトで公表されているものよりも情報量としては少ないです。受験者にとっては、予備校の情報を見れば十分ですね。

なぜこれを確認する必要があったかといえば、今、私が行っている審査請求について、情報公開審査会に提出する資料を用意しているからです。わかりきったことでも情報源の確かなものを一つずつ集めていく必要があります。論文を書くのと同じような作業ですね。他に税理士試験について官報に掲載されているものとしては、試験実施の公告、合格者・免除者の発表、入札の情報(試験問題の印刷)、などがありました。


試験委員の担当科目と問題作成手順

上記の官報からわかることは、あくまで全員を試験委員として任命しているだけで、科目の担当を公表しているわけではない、ということです。ただ、予備校が過去の試験委員経験者から聞き取った情報をもとに予想を発表してきたことからも、科目ごとに担当を割り振っているのはまず間違いないでしょう。予備校の発表にも「担当科目は当校の予想です」とある様にあくまで予想ではあるものの、その精度は存分に高いものと思われます。国税庁(国税)と総務省(地方税)の課室長がそのまま各税法の担当者となるのは当然で、実務家・教授の担当科目は前年からの継続性や、著書等から推測しているものと思われます。




任命された試験委員は、どのように問題を作成するのか。元受験専門学校講師で税理士の尾藤武英さんのblogで明かされているところによると、次のようになっていたそうです。

税理士試験の税法科目の試験問題は、理論は国税庁の担当課の課長、計算は実務家(税理士)が作成します。

講師をしていた頃に目にした情報によると、計算問題の試験委員を担当すると決まった場合、国税審議会からその先生の事務所に向けて「問題はこれを参考に作って下さい」という感じで過去のその科目の本試験問題がどっさりと送られてくるんだそうです。
そして、試験委員の先生はそれらの問題を見て本試験の問題を作成されるとか。

(中略)

ちなみに、先日過去試験委員をされていた某先生からお酒の席で(笑)ちらっと伺ったところによると、その先生が担当されていた頃は本試験の問題は3月頃に理論の作問者(相続税法なら資産課税課の課長)の部下さんと問題のすり合わせをしていたそうです。
その時点でその部下さんに問題をザッと解いてもらった、と仰っていました。


(中略)

でも、本試験の問題は何人もの目を通すまではさすがにしていないでしょうし(もししていたら数年前の固定資産税みたいなハチャメチャな問題なんて出るわけないですし笑)、荒削り感はどうしても残ります。


これからの時期一番大切にすべき問題は過去問です - Shimogamo Zeirishi Life


国税審議会・税理士分科会の議事録によると、例年以下のようなスケジュールで行っている模様です。

12月 翌年の試験委員の推薦・決定

1月初旬 官報で試験委員の公表

     試験委員が問題作成

3月頃? 問題の大筋が完成

5月  国税審議会で試験問題の内容を審議・決定(形式的。全11科目を1時間程度で行っていると思われる。*1

6月末  試験問題の印刷・納入

実務家試験委員は、通例3年間担当することが多いですが、交代のときは前任者からの紹介でほぼ決まっていく様です。長年ウォッチしている人によると、◯◯税理士会の知り合いに頼む、というような感じで回している様です。テレホンショッキングみたいなものですね。


税法科目の試験委員は実質一人

上記の情報によれば、税法科目の試験委員は実質一人で問題の作成を行っていると言えます。税法科目(国税4税)は、国税庁課長級職員が理論問題、実務家(税理士・会計士)が計算問題を担当していると言われています。税法科目(酒・国徴・地方税)は、課税庁の職員のみ。とすれば、試験委員が一人で作成した問題の不備をチェックをする人が別にいなければ、それがそのまま本試験で出題されることとなります。


厳密に行われるべき国家試験の問題作成をそのようなチェックが不十分な体制で行っているとは普通の感覚であれば考え難いのですが、昨年の法人税法、消費税法で起きたことから状況的に考えると、恐らくそれが現実となっています。あるいはチェックする役割の人がいたとしても、その機能を果たしていないということです。これは大変な問題であると考えています。

税法科目の試験委員は実質一人


受験生の側としては、問題に不備や矛盾があることを前提に対策を行わざるを得ませんが、これが正常な状態とは思えません。

複数人作成の場合、第三者の目が入るのでそれも指摘されてそこそこの問題が出来るのですが、一人の場合だとそれを見る人すらいない。つまり問題に誤りがあっても気づかずにそれがそのまま本試験問題となる。本来であれば主管機関が確認をして指摘をすべきがどうやら形式だけの承認の場となっているようでそこもスルー。そのため、昨年の法人税法や消費税法のような別解盛りだくさんの問題になってしまうんだと思います。



問題自体が異常なので解答も異常。

そうなるともちろん多くは実力順で合格すると思いますが、大学入試や会計士試験ほどの精度はなく結構バラツキが生じます。その結果、答練では常に上位5%以内だったのに。。という方も。合格点だけど最後にくじ引きでハズレを引いたら負けてね。くらい理不尽でどうすることもできません。それくらい何が起こるかわからない試験であることを頭に入れておく。自分がその立場になっても全然おかしくない試験だな、と昨年実感しました。



以下の記事に続きます。

  • 税理士試験不適切問題の温床は国税審議会・試験委員にあり(執筆中)