Markの資格Hack (税理士試験)

資格試験に四苦八苦しないための資格Hack(シカクハック)情報 税理士試験のここでしか見れない情報を発信しています

共有持分で所有していた貸家の敷地に供されていた宅地を共有持分で取得した場合の評価及び小規模宅地等の計算の特例の適用の可否

twitterで速報しましたが、諮問第120号の答申が突然出ました。国税庁の不開示決定を取り消せ、ということでインパクトのある決定が出たのですが、答申の中身を読むと、これは内容を審議する以前に、国税庁の手続きに法的な間違いがあったので違法という結論のようです。今後どうなるのか、週明けに問い合わせようと思っていますので、しばしお待ちください。



さて、今回の記事は、標題の通り相続税なんですが、業務で疑問にぶち当たりまして、数日来ずっと私の頭を離れないでおります。私の中で一応の結論は出たのですが、確信が持てないでおりますので、相続申告の経験豊富な読者の方にお知恵を拝借できないかとブログに持ってきた次第です。ご教示よろしくお願いします。


目次

共有持分で所有していた貸家の敷地に供されていた宅地を共有持分で取得した場合の評価及び小規模宅地等の計算の特例の適用の可否

                                                                                                                                              • -

2.質問事項

被相続人が共有持分で所有していた貸家の敷地に供されていた宅地を、相続人が
共有持分で取得しました。その状況は、次の事実関係及び添付画像に示す通りで
す。
この場合において、

1.相続人Aが所有する貸家に対応する部分の宅地(図の左半分)は、自用地評
価となりますか?貸家建付地評価となりますか?

2.相続人Aが取得した宅地のうち、被相続人の貸付事業の用に供されていた部
分に対応する部分(図の右上部分)について、貸付事業用宅地等に該当しますか

3.相続人Bが取得した宅地のうち、被相続人の貸付事業の用に供されていた部
分に対応する部分(図の右下部分)について、貸付事業用宅地等に該当しますか
?貸付事業用宅地等に該当する場合の評価及び小規模宅地等の特例の適用がある
宅地の地積はどのようになりますか?

4.仮に相続人Aが被相続人と生計一であった場合には、相続人Aの取得した宅地
のうち、相続人Aの貸付事業の用に供されていた部分に対応する部分(図の左上
部分)は貸付事業用宅地等に該当しますか?

                                                                                                                                              • -

3.事実関係

1.貸家建物は、被相続人と相続人A(被相続人と生計は別であった。)が共有
持分で2分の1ずつ所有していた。
2.貸家は4室あり、各部屋の面積は均等である。4室のうち2室を第三者に賃貸
しており、1室を相続人B(被相続人と生計を一にしていた。)に賃貸していた。
1室は長期間空室であった。
3.宅地は被相続人が所有していた。
4.被相続人の相続開始により、建物の持分は相続人Bが、宅地は相続人Aと相続
人Bが共有持分で2分の1ずつ取得することとなった。
5.宅地を取得した相続人A及び相続人Bは、その貸付事業を申告期限まで継続し
ている。

                                                                                                                                              • -

4.問題点

                                                                                                                                              • -

5.関連法令

財産評価基本通達26
租税特別措置法第69条の4

                                                                                                                                              • -

6.当方の見解

共有持分権者のその土地に有する権利は、その土地の全てに均等に及ぶことから*1、共有持分で所有していた貸家の敷地に供されていた宅地を共有持分で取得した
場合には、図のように宅地を4つに区分して考えることとなる。


1.相続人Aが所有する貸家に対応する部分の宅地(図の左半分)は、被相続人
からAに使用貸借された上で、Aの貸付事業の用に供されていたものである。Aが
被相続人から使用貸借により土地を借り受け、自ら建物を建てて貸家業を始めた
場合にはその宅地は自用地評価となるが、Aが建物の持分を取得した時において
既に貸家業が行われていた場合には、借家人の敷地利用権を考慮することとなる
ため、貸家建付地として評価する。

2.相続人Aが取得した宅地のうち、被相続人の貸付事業の用に供されていた部
分に対応する部分(図の右上部分)については、宅地を取得したAから相続人Bに
使用貸借された上、Bが行う貸付事業の用に供されることとなるため、Aは貸付事
業を継続しないこととなり、貸付事業用宅地等には該当しない。

3.相続人Bが取得した宅地のうち、被相続人の貸付事業の用に供されていた部
分に対応する部分(図の右下部分)については、貸付事業用宅地等に該当する。
評価は、自用地としての評価額×(1-借地権×借家権×賃貸割合3/4)×1/2×1/
2となる。
小規模宅地等の特例の適用がある宅地の地積は、貸家のBが賃借していた部分に
ついては相続により自らへ貸し付けることとなり賃貸契約が終了するので、賃貸
割合に含めないで考える。従って、宅地全体の地積の1/2×1/2×2/4について適
用がある。

4.仮に相続人Aが被相続人と生計一であった場合には、相続人Aの取得した宅地
のうち、相続人Aの貸付事業の用に供されていた部分に対応する部分(図の左上
部分)は貸付事業用宅地等に該当する。


f:id:mark_temper:20170922174934p:plain