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Markの資格Hack

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特定口座の株の申告で経費は引けないと思っていませんか?税理士や税務署員も知らない税制

所得税

1ヶ月ぶりの更新となりました。確定申告時期は深夜まで残業することもあり、全く余裕がありませんでした。記事のストックは溜まる一方。書かずに頭から消えていくことも多くあり、早く書きたいのですが、試験勉強の方も溜まっておりますので、しばらくは更新頻度が落ちます。ご了承ください。


さて、この間に税務実務で新たな知見を得たことも多々ありましたので、今日はそのうちの一つをまとめておこうと思います。今やネットで株取引などをやっておられる方も多くいらっしゃると思います。普通は特定口座を使っていると思いますので申告も不要ですが、譲渡損の繰越控除をするのに確定申告をされた方はいらっしゃるでしょうか。

そんな日常的に株取引をしているあなたに、今まで知らずに損していた、という話をします。株に関する書籍購入費、セミナー代や通信費などを経費として控除できないかと考えたことはありませんか?それともそんな発想、端からありませんでしたか?実はそれ、できるんです。


この記事は12,000文字以上ありますので、結論だけ読みたい人は中程からどうぞ。

目次

本題に入る前に

所得税額計算の仕組み

ご存知のように、所得税の計算では、収入を源泉に応じて10の所得に区分して、それぞれに異なる計算方法を用いて税額を求めます。

1 利子所得
2 配当所得
3 不動産所得
4 事業所得
5 給与所得
6 退職所得
7 山林所得
8 譲渡所得
9 一時所得
10 雑所得

総合課税と分離課税

それぞれの所得は、総合課税のものと、分離課税のものに分けられます。総合課税のものは全部合わせて一つにした上で、5~45%の超過累進税率を掛けます。分離課税のものは、分けた上でそれぞれに税率が定められています。こちらの図をご覧ください。

所得税計算流れ図

所得税の計算方法 | やさしい税の話 | 一般の方へ | 東京税理士会 | 公式サイトから引用


10に分けると言いましたが、もう少し種類がありますね。土地等の譲渡と株式等の譲渡は他の譲渡所得とは別れて分離課税になっています。本来(所得税法本法では)分離課税は、山林と退職だけなのですが、様々な理由でもう少し細かくなっています。上の図は簡略化したものでこの他にもあります。

株の譲渡=譲渡所得ではない

ここで普通に考えれば、株の譲渡は、譲渡所得なんだと思いますよね。上の図を見てもそう見えます。でもこれ、正確ではないです。正式な表記は、「株式等に係る譲渡所得等」と言い、「等」の部分に注目です。税法で「等」とついたら必ず意味があります。


最初の、株式「等」は、

  ① 株式(投資口を含みます。)、株主又は投資主となる権利、株式の割当てを受ける権利、新株予約権(新投資口予約権を含みます。)及び新株予約権の割当てを受ける権利
  ② 特別の法律により設立された法人の出資者の持分、合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員又は会員の持分その他法人の出資者の持分(出資者、社員、組合員又は会員となる権利及び出資の割当てを受ける権利を含み、③に掲げるものを除きます。)
  ③ 協同組織金融機関の優先出資に関する法律に規定する優先出資(優先出資者となる権利及び優先出資の割当てを受ける権利を含みます。)及び資産の流動化に関する法律に規定する優先出資(優先出資社員となる権利及び同法に規定する引受権を含みます。)
  ④ 投資信託の受益権
  ⑤ 特定受益証券発行信託の受益権
  ⑥ 社債的受益権
  ⑦ 公社債(預金保険法に規定する長期信用銀行債等並びに農水産業協同組合貯金保険法に規定する農林債及び償還差益について発行時に源泉徴収された割引債を除きます。)

と、まあ、一応全部引用しておきましたが、要は、株以外の株的ないろいろなものを含みますよ、ということです。平成28年から改正で、「株式等」は「上場株式等」と「一般株式等」に分かれましたが、ここでは関係ないので触れません。


さて、後ろの譲渡所得「等」の方ですが、これは、「譲渡所得」と「事業所得」「雑所得」のことを言います。つまり、

株の譲渡≠譲渡所得
株の譲渡=「譲渡所得」「事業所得」「雑所得」のどれか

ということになります。


株の譲渡は、「譲渡所得」「事業所得」「雑所得」のどれにもなる可能性があるのですが、ではどうやって決めるのかというと、これは通達が出ています。さらにこの通達の趣旨説明情報も出ています。一応当該部分を引用しておきますが、先に書いておきますが、後でまとめるので読み飛ばしていいです。

(株式等の譲渡に係る所得区分)

37の10・37の11共-2 株式等の譲渡(措置法第37条の10第4項各号又は第37条の11第4項各号に規定する事由に基づき一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる場合を含む。以下この項において同じ。)による所得が事業所得若しくは雑所得に該当するか又は譲渡所得に該当するかは、当該株式等の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定するのであるが、その者の一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、次に掲げる株式等の譲渡による部分の所得については、譲渡所得として取り扱って差し支えない。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(1) 上場株式等で所有期間が1年を超えるものの譲渡による所得
(2) 一般株式等の譲渡による所得
(注) この場合において、その者の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、信用取引等の方法による上場株式等の譲渡による所得など上記(1)に掲げる所得以外の上場株式等の譲渡による所得がある場合には、当該部分は事業所得又は雑所得として取り扱って差し支えない。

措置法第37条の10《一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》・第37条の11《上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》共通関係|所得税関係 措置法通達目次|国税庁

株式等の譲渡に係る所得区分は、従来から、当該株式等の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定することが原則とされていたが、平成15年からの株式等譲渡益課税の申告分離課税への一本化に際し、課税庁と納税者側の両者からみた簡便な所得区分の基準を明らかにする必要があるとの理由から、実質基準を原則としつつも、次のとおり取り扱って差し支えないこととしている。

1.所有期間1年超の上場株式等及び非上場株式等の譲渡による所得は、譲渡所得とする。
2.信用取引等の方法による上場株式等の譲渡など所有期間1年以下の上場株式等の譲渡による所得は、事業所得又は雑所得とする。

措置法第37の10《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》関係|譲渡・山林所得関係目次|国税庁

上の通達をまとめると、こうなります。

<原則>
営利を目的として継続的に行われている株式等の譲渡 → 事業所得・雑所得
それ以外の株式等の譲渡 → 譲渡所得


<簡便的な分類>

1.上場株式等で所有期間が1年を超えるものの譲渡による所得
2.一般株式等の譲渡による所得
→ 譲渡所得


信用取引等(例示)の所有期間1年以下の上場株式等の譲渡による所得
→ 事業所得・雑所得

簡便的な分類で、上場株の所有期間が1年以下か否かなんて持ち出しているのでややこしくなっていますが、要はこれ、どっちでも好きな方にしていいという規定だと考えます。上場株の売り時を見計らっていて結果的に所有期間が1年超になっても、原則を持ち出して、営利を目的として継続的に行っている、と主張すれば事業・雑になりますから。


事業所得か雑所得かはどう判断するかというと、その行為が「事業的規模で行われているか否か」ということになります。事業的規模とは何か、ということを突き詰めると、それだけで論文が一本書けるテーマになるので、やはりここでは触れません。



では、ここまで読んで、株の譲渡を、事業・雑所得にしたら総合課税、譲渡所得にしたら分離課税を選べるのかな、と思われた方。残念、違います。

結局、株の譲渡は分離課税

株式等の譲渡は、「譲渡所得」「事業所得」「雑所得」になる可能性があるのですが、結局のところ、全部分離課税になります。総合課税は選択できません。それを定めたのが租税特別措置法37の10です。下線を引いたので、下線部のみを繋げて読んでください。

(一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)
第三十七条の十  居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、平成二十八年一月一日以後に一般株式等(株式等のうち次条第二項に規定する上場株式等以外のものをいう。以下この条において同じ。)の譲渡(金融商品取引法第二十八条第八項第三号 イに掲げる取引(第三十七条の十一の二第二項において「有価証券先物取引」という。)の方法により行うもの並びに法人の自己の株式又は出資の第三項第四号 に規定する取得及び公社債の買入れの方法による償還に係るものを除く。以下この項及び次条第一項において同じ。)をした場合には、当該一般株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(所得税法第四十一条の二 の規定に該当する事業所得及び雑所得並びに第三十二条第二項 の規定に該当する譲渡所得を除く。第三項及び第四項において「一般株式等に係る譲渡所得等」という。)については、同法第二十二条 及び第八十九条 並びに第百六十五条 の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該一般株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)に対し、一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額(一般株式等に係る譲渡所得等の金額(第六項第五号の規定により読み替えられた同法第七十二条 から第八十七条 までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)をいう。)の百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、一般株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法 その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。


http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO026.html#1000000000002000000004000000009000000000000000000000000000000000000000000000000

事業・譲渡・雑のどの所得にしても、分離課税で15%の所得税をかける、という規定です。ちなみに上場株式等については、ほぼ同じ文章で措法37の11にあります。


前述の通り、上記は法律が改正された平成28年以降に適用となる条文ですが、改正前の条文があったので参考に引用しておきます。

租税特別措置法第三十七条の十(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)では、

居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成十六年一月一日以後に株式等の譲渡(証券取引法第二条第二十項に規定する有価証券先物取引の方法により行うものを除く。以下この項、次条から第三十七条の十一の二まで及び第三十七条の十二の二において同じ。)をした場合には、当該株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(第三十二条第二項の規定に該当する譲渡所得を除く。第三項及び第四項において「株式等に係る譲渡所得等」という。)については、所得税法第二十二条(iso注:「課税標準」)及び第八十九条(iso注:「税率」)並びに第百六十五条(iso注:「総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算」)の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この条及び第三十七条の十一において「株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)に対し、株式等に係る課税譲渡所得等の金額(株式等に係る譲渡所得等の金額(第六項第五号の規定により読み替えられた同法第七十二条から第八十七条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)をいう。)の百分の十五(iso注:租税特別措置法第三十七条の十一(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)で上場株式等については7%[+地方税3%=10%]。平成十九年十二月三十一日まで。)に相当する金額に相当する所得税を課する。


「無職」はキャピタルゲインが事業所得になるのを避けるためか? | isologue

事業所得・雑所得は必要経費を算入できるが、譲渡所得はできない

長くなってきましたが、ここからが本題に入ります。ここまで前置きでした。結局、何所得だろうと、15%の分離課税になるのだから一緒じゃないか、と思われるでしょうか。


事業・雑所得と譲渡所得では、扱いが違うものがあります。それは、経費として収入から差し引くことができるものの範囲です。事業所得又は雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算します。一方、譲渡所得は、総収入金額(譲渡価額)から取得費と譲渡費用だけを引いて所得(譲渡益)を求めます。間接的な費用を引けるのは事業・雑所得だけで、譲渡所得は引けるものが限られているのです。

(事業所得)
第二十七条
2  事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。


(譲渡所得)
第三十三条
3  譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。


(雑所得)
第三十五条
2  雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。
二  その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額

所得税法


これは、所得としての性質の違いからこのようになっています。事業・雑所得では、営利を目的として継続的に行ってきた行為の結果生まれた所得ですから、その間にかかった間接的な費用、いわゆる一般管理費も、収入を生むために費やされたものとして経費として認める考え方をとっています。他方で譲渡所得の場合は、あくまで臨時・偶発的に生じた要素が強いものと考え、購入価額と譲渡のために直接要した費用のみを引くこととし、残りの部分を譲渡益として課税する考え方をとっているのです。

たまたま買って持っていたものを売ったらたまたま利益が出ていた、というのが譲渡所得です。譲渡益を得ることを目的として定めて、リスクやリターンを勘案してポートフォリオを組んで、戦略的に売り買いを繰り返しているとなれば、立派に営利・継続の要件を満たし、事業・雑所得になることは疑いないでしょう。

株式等にかかる譲渡所得等の計算

平成28年分株式等の譲渡所得等の申告のしかた(記載例)|確定申告に関する手引き等|国税庁  p.45より

図中に示された通り「管理費」は、事業所得・雑所得の場合のみ引けます。

ですから、株に関する書籍購入費、セミナー代や通信費などを経費として引くためには、この株の譲渡が譲渡所得ではなく、事業・雑所得だと主張する必要があります。

申告書にどうやって記載するか

では雑所得にして、これらを必要経費として引くとして、申告書にどう記載すればいいのでしょうか?それは、申告書に添付する「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」にちゃんと記入する欄があります。と言っても、この明細書を見慣れている人でも、そんなところあったっけ?と思われるかもしれません。

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平成28年分株式等の譲渡所得等の申告のしかた(記載例)|確定申告に関する手引き等|国税庁  p.12より

この明細書には、証券会社が発行する「特定口座年間取引報告書」から「譲渡の対価の額(収入金額)」と「取得費及び譲渡に要した費用の額等」の数字を転記することは、皆様ご存知のことと思います。通常、この差引金額に対し、20.315%が源泉徴収されていますね。


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明細書1面にこれらの数字を転記した後、「譲渡のための委託手数料」の次の行を見るとぽっかり白く空いています。(⑥の行)税務署の記入方法の手引きでも説明がなく、まるで触れてほしくないかの如く華麗にスルーされていますが、ここです。ここに自分で項目を作って金額を入れてください。例えば「参考図書費等」とか。

そうすると、必要経費の分、差し引くものが増えますから、⑦の小計も増えて、所得金額が減るはずです。これでO.K.です。


この⑥の行はこうやって使うために空いていたのですね。確かに最初から明細書にあることはありましたが、「できれば存在に気づかないで欲しい」という国税庁のメッセージが聞こえてくるように感じるのは気のせいでしょうか。

「確定申告書等作成コーナー」での入力場所

この記載方法は、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」でも対応しています。


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特定口座の数字を入力する画面に、「特定口座年間取引報告書に記載されたもの以外の費用」の入力、とはっきり書いてあるので紙の手引きより親切ですね。


Q&Aにも書いてあります。

特定口座の申告に際し費用を追加計上できる場合

 特定口座での株式売買に関し、特定口座での譲渡損益計算上考慮されていない費用の支払いがある場合には、特定口座での譲渡損益を申告することを前提として、確定申告で費用計上することができます。
 このような費用としては、例えば、株式売買を内容とする投資一任契約に基づいて支払う固定報酬及び成功報酬(ただし、支払いの効果が年をまたぐなどの場合は、個々の契約内容に基づいて、費用計上の時期を判断する必要があります。)が考えられます。

【確定申告書等作成コーナー】-特定口座の申告に際し費用を追加計上できる場合


ちなみに、「確定申告書等作成コーナー」は結構毎年あちこち改良されて使いやすくなっているのですが、平成26年分では、この入力欄にたどり着くために余分にチェックを入れる必要があり、今よりもわかりにくくなっていました。

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【確定申告書等作成コーナー】-特定口座を申告する際に追加費用がある場合の入力方法

しっかり申告して節税に活かそう

株取引の経費として使えそうなものとしては、取引に使うネット回線のプロバイダ料、スマホ代(通信費)、株に関する書籍購入費(新聞図書費)、有料メルマガ・投資セミナーの費用、などが考えられます。通信費などは、株取引以外の目的に使う部分もあるでしょうから、家事按分の要領で使用時間等の基準に応じて3割とかを経費算入しておきましょう。

(株式等の購入費用)

37の10・37の11共-10 所得税法令第109条第1項第5号に規定する「購入のために要した費用」とは、株式等を購入するに当たって支出した買委託手数料(当該委託手数料に係る消費税及び地方消費税を含む。)、交通費、通信費、名義書換料等をいう。
 なお、利付公社債(既発債)を購入する場合に、直前の利払期からその購入の時までの期間に応じた経過利子に相当する額として、売買価額に含めて譲渡者に対して支払われる金額については、その利付公社債の取得価額に含まれることに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

上記は、必要経費の定義ではなく、株式の購入費用の定義に関しての通達なのですが、交通費、通信費も含まれるとあります。株譲渡の経費として認められるためには、株取引との関連性を合理的に示す必要があります。株譲渡で利益を得ることがその費用の支出の動機であり、利益を得られると期待していなかったら支出していなかったとなれば、それは株取引のための経費としての根拠は十分でしょう。


これらの経費は、申告しなければ消えていってしまうもので、申告書に書いたもの勝ちのようなところがあります。申告納税制度とはそういう性質のものなので、しっかり使った費用を申告して節税に活かしてみてください。

税理士や税務署員でも知らない者がいる

株に関する書籍購入費、セミナー代や通信費などを、株取引の必要経費として入れていいことははっきりしたと思いますが、では今ここで説明したようなことを税務署に聞くと、ちゃんと答えてくれるかというと、残念ながらそうではありません。

株取引で発生した間接費用は確定申告できない?

税務署に電話で質問したのですが、株取引で確定申告する場合、株の売買の手数料は直接費用として経費に計上できるが、セミナー代や株の書籍、通信費などの間接的な費用は一切経費として認めないといわれました。名古屋の中川税務署です。

この「通達」と「本人の交渉力」があれば、「これまでの法令解釈」で指導を行っている職員さんに「事業所得」としての申告を認めてもらうことは可能かと思います。


ちなみに、「対応する税務署」「対応する職員さん」でも、見解は大きく異なりますので、「一人の職員さんの回答」=「国(税務署)の法令解釈」とは考えないほうが良いです。

株取引で発生した間接費用は確定申告できない? - 確定申告 解決済 | 教えて!goo

個々の税務署職員によって返答が違うということもありますし、管轄する国税局単位で一つの税務処理についての運営方針が違うということもあります。本当は国税である以上全国で統一的な判断がなされなければ、全くおかしな話なのですが、現実にあります。

通信費と書いてあるので電話代やネットの接続料が経費にできるのでは?と思って税務署に問い合わせてみたのですが、事業としてやっているのでなければ認められないというつれないお答え。

一般的には手数料のみが経費と認められるようです。

しかし、それで納得してはつまらないので「事業としてというのはどういう基準なのですか?」と聞いたところ、そこには明確な基準はないみたいで、申告者本人の思うところで申告して良いとの回答でした。

株&投資信託の確定申告における経費は? : インデックス投資でラクラク投資信託生活

おそらくこの件については、即答できる人の方が少ないです。残念ながらそれは税理士においても。

税理士の業務無償独占の裏返しとして、税理士は確定申告の無料相談などといった税務支援への参加を義務づけられているわけですが、もう本当にそろそろこの縛りを見直さざるを得ない状況になってきているような気がしますね。

 その理由は、何度もブログに書いていますように、「税務支援を行う税理士のレベルの差がひどすぎる」ことですね。無料で少額所得者や少額事業者などの税務や決算の相談に乗ってあげること自体は、税理士の社会貢献としてとても素晴らしいことだと思います。しかし税理士の無償独占権を維持することだけが目的化されて、ただ全ての税理士に税務支援を義務づければよい、と考えるのは間違っていると思います。
 今年の個人確定申告の税務支援の成果をいろんな税理士さんから洩れ伝え聞くところによりますと、ベテラン税理士達が更に高齢化したこともあるからか、かなりひどい申告内容になっているようです。今年の申告から変わった扶養控除を間違えているなんて、ザラ。

「税理士」というお店にはちゃんとした商品を並べなあかんやろ 税理士もりりのひとりごと

税務署の行う確定申告無料相談会などで指導役に出ている人には、税務署の職員や税理士、ただのバイトの人などが入っているようですが、いい加減なことを教えられたケースもあると聞いていますので、あまり信用し過ぎない方がいいでしょう。指導に従った結果間違っていて損害を被っても誰も責任を取ってくれません。あくまで自分で申告納税したことになります。極一般的な申告内容ならいざ知れず、特殊なケースで申告をやろうという方はまともな税理士に報酬を払って依頼するべきです。

以下は、以前に書いた記事からの孫引きです。

「税金に関しては、税務署の言うことは絶対に正しい」と思っていることが多いでしょう。
しかし、これが実は大きな間違いなのです。
特に経理処理においては、税務署は間違いを犯すことが多々あるのです。

また税務署の調査官に、税金の申告書を書かせた場合、すべて間違いなく書ける人なんてほとんどいないといっていいでしょう。個人課税部門の人は、まず法人の申告書は書けないはずです。法人課税部門の人も、相続税の申告書は書けないでしょう。

que-sais-je.hatenablog.com


税金のことを税務署や税理士に聞いて間違ったことを言われるなんて、じゃあ素人はどうすればいいんだ、と読者の方は思われるでしょう。残念ながら、これが現状です。特に証券税制など複雑でよく変わる上、証券に関わる申告自体をあまりやったことがない税理士も多くいるようです。その分野に詳しい税理士を探して聞いてください、としか申し上げられません。世の中にはいい加減な情報も多いですから、その辺のブロガーが調べてみた程度の知識で書いたもの等も間違いだらけですから特にお気をつけください。


経費を申告するリスクも

この記事で紹介したように株式等の譲渡所得等から経費を引いた申告書は少数だと思われますので、目立つことは確かです。あまり無茶な申告をすれば税務調査が入るでしょう。計算根拠の提出を求められ、否認されれば追徴や加算税といった処分も考えらえれます。その際には、税務署員に対し税法を根拠に理路整然と説明できるか否かにかかっています。

上にも書いたように、税務署員ですら不確かな知識で平気で間違った指導をしてくる可能性がありますから、税務署員とやり合う自信がない方にはお勧めできません。



もし税務当局がこの記事を見て「こんな経費は認められない。ネットでこのような指南をすることはけしからん。」と考えるのであれば、今回申告した私のところに調査が入るでしょう。現在国税庁長官に対して審査請求(不服申し立て)を行っている私に圧力をかけるならば、これを使わない手はないと思います。その際はまたここで報告しようと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

税理士試験の現実 こんな試験で本当にいいのか

ここがオカシイ!税理士試験

「ここがオカシイ!税理士試験」シリーズ02
今回は、いつもこのblogをご覧頂いている方にはさほど目新しい情報はありません。これまでの調査・活動の内容をまとめ、初めて見る方向けのプレゼン資料として作成しました。

これから税理士試験に挑もうという方には、是非知っておいて頂きたい内容。税理士試験は、ほんとんどの人にとって長く苦しい闘いとなります。予備校等の聞こえのいい宣伝だけを鵜呑みにして、軽い気持ちで始めると後悔することになるかもしれません。税理士という職業を悪く言うつもりは決してありませんが、私は税理士試験の有り様には大いに疑問を持っています。今後はこちらのblogで、試験勉強に役立つ情報や、税理士資格を得るための有益な情報も提供していく予定ですので、twitterや読者登録してご覧ください。



1 税理士試験の現実 こんな試験で本当にいいのか

2 試験の概要

3 試験の解答方法

4 理論問題

5 合格基準

6 5科目合格までの平均年数

※このレポートの現物をお持ちの方はご連絡ください。
「税理士試験適正化要望」に関し次の情報をお持ちの方を募集しています - Markの資格Hack

7 受験者の一年

8 でも、

9 税理士試験の採点は不透明

10 不適切な問題

11 国税庁は一切沈黙

12 作問・採点をする試験委員

13 作問・採点をする試験委員

  • 不適切問題の温床は国税審議会・試験委員にあり(執筆中)

14 合格するか否かは運

15 受験者からの批判の声

16 開示請求をしてみた結果

17 国税庁は隠蔽体質


18 こんな試験で本当にいいの?

19 税理士試験適正化要望

社労士試験では開示請求や訴訟の結果、合格基準などの公開が始まりました

税理士試験適正化 開示請求

社会保険労務士試験は、税理士試験と同様難関の国家試験だと聞いております。私は税理士試験の問題点をここで訴え始めて、読者の方から情報を頂くまで知らなかったのですが、社労士試験でも合格基準の恣意的な運用等の問題があるようです。それに対し受験者の方による情報公開請求や、複数の方による不合格取消訴訟が行われました。2012年頃から始められたようですが、試験を実施する厚労省も渋々ながら対応し、以前に比べ情報開示が進んだ、と認識しております。

社労士試験の情報開示を求める闘いとその成果

複数の方による訴訟の報告や、開示された試験結果のデータを詳細に分析した大量の資料がネット上に公開されています。大変興味深く参考になる部分も多くあると思うのですが、申し訳ないのですがblogのデザインが見にくいのもあって、大量の資料が雑然としており私は見切れておりません。全容を把握しておりませんが、主要なところを紹介します。

社労士試験 不合格取消請求訴訟

 このような訴訟(裁量権の逸脱・濫用、手続き瑕疵)が、全国複数エリアで同時に行われたのは、国家試験史上前代未聞の出来事です。(労災・国年不合格取消)
また、このような裁判で原告側から多くの証拠(開示資料等)が提出されたのも稀有なことかもしれません。
 原告の皆さんは、弁護士に一切頼ることなく、自ら、法令・判例を調べ、力を合わせて、「本人訴訟」でこの戦いに挑まれています。

社労士試験 不合格取消請求訴訟 (平成28年10月30日概況) ( 法律、行政 ) - 社労士試験 合格基準について(記録) - Yahoo!ブログ

平成28年度 社労士試験

本年度より、「合格基準の考え方」と「得点分布データ」等が厚労省ホームページにて、一般公開されましたので、このブログはこれにて完全終了といたします。

来年度からは、一般公開以外のデータは資格学校で取得し、全受験生に開示していただければ幸いです。TKTK


平成28年度 社労士試験 厚労省一般公開以外のデータ検証結果|社労士試験の合格基準(厚労省開示資料)書庫



ご覧のように、当事者の方の長い時間と大変な労力をかけた活動の成果として、試験が改善されたようです。翻ってみると税理士試験では、合格基準(公称の「60%」などという誰も信じていない基準ではない本当の基準)はおろか、模範解答(正答)や配点、受験者の点数、明らかな問題の誤り、すら公表されていないのですから、情報開示のレベルは訴訟になった社労士試験を遥かに下回ります。今行っている情報開示請求に国税庁が真摯に応じて頂けなければ訴訟は不可避と思っております。

情報公開・個人情報保護審査会 答申

以下は、審査会答申から要点のみを筆者が抜粋・強調表示。

答申日 : 平成27年3月6日(平成26年度(行情)答申第526号)
事件名 : 「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」等の一部開示決定に関する件

答申書

第1 審査会の結論

別紙1に掲げる文書(以下「本件請求文書」という。)の開示請求に対し,別紙2に掲げる文書(以下「本件対象文書1」という。)及び別紙3に掲げる文書(以下「本件対象文書2」といい,本件対象文書1と併せて「本件対象文書」という。)を特定し,本件対象文書1を保有していないとして不開示とし,本件対象文書2の一部を不開示とした決定については,本件対象文書を特定したことは妥当であり,

本件対象文書1のうち異議申立人が開示すべきとする別紙2の2ないし13に掲げる文書を保有していないとして不開示としたことは妥当であるが,
本件対象文書2の不開示とされた部分を開示すべきである。

別紙1
本件請求文書

1 第44回・第43回・第41回・第39回社会保険労務士試験合格基準の考え方
2 第44回・第43回・第41回・第39回社会保険労務士試験総得点乖離状況
3 第44回・第43回・第41回・第39回合否判定委員会で使用された「科目得点状況表選択式/択一式」以外の文書(データ)
4 第44回・第43回・第41回・第39回社会保険労務士試験免除者の科目別得点状況表(選択・択一・総合点等)及び相当の文書
5 第44回・第43回・第41回・第39回社会保険労務士試験合否判定委員会の議事録(実施日・出席者が記載された)及び相当の文書

別紙2
本件対象文書1

1 第39回(平成19年度)社会保険労務士試験総得点乖離状況
2 第44回(平成24年度)社会保険労務士試験科目免除者科目別得点状況表(選択式)
13 第39回(平成19年度)社会保険労務士試験合否判定委員会の議事録

別紙3
本件対象文書2
1 社会保険労務士試験の合格基準の考え方について(第44回社会保険労務士試験合否判定委員会使用分)
5 第44回(平成24年度)社会保険労務士試験総得点乖離状況
8 第44回(平成24年度)社会保険労務士試験の合格基準について
12 第44回(平成24年度)社会保険労務士試験概要
16 第44回(平成24年度)社会保険労務士試験合否判定委員会要領
20 第32~43回(平成12~23年度)の合格基準及び合格者について


http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9929094/www8.cao.go.jp/jyouhou/tousin/h26-11/526.pdf

<答申抜粋>
(別紙1の3) 第44回・第43回・第41回・第39回合否判定委員会で使用された「科目得点状況表選択式/択一式」以外の文書(データ)
・・・・・別紙1の3に掲げる文書については,連合会試験センターが試験事務としてデータの集計・処理を行っているので,厚生労働省は保有していない。

しかし、以前、連合会に確認をしたところ、全てのデータは厚労省が集計・保有していると発言していましたので、どちらかが嘘?をついていることになります。


「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」が、すべて開示すべきと判断されました。 ( 法律、行政 ) - 社労士試験 合格基準について(記録) - Yahoo!ブログ

「税理士試験適正化要望」について

私の呼びかけで行っている「税理士試験適正化要望」活動(キャンペーン)については、こちらの署名サイト(Change.org)をポータルと考えています。

www.change.org


この活動に興味を持って頂いた方には、まず上記の署名サイトを見て頂きたいと思います。そうすれば、税理士試験にはどのような問題点があるのか、具体的に何を要望しているか、要望を反映させれば試験がどう変わるか、1ページでわかるようにまとめ、随時更新しています。署名サイトは、問題提起の場であり、賛同者を募る場であり、情報伝達のインフラです。最新の情報はこちらのblogで更新しつつ、重要な更新があった際には、署名サイトに登録していただいた方にもメールでお知らせしています。

国が60年制度としてやってきたことに私一人で異議を唱えたところで無視されるのが落ちですから、多くの方の関心を得ることが重要だと思っています。最近はちらほらと税理士の方からもコメントやメールを頂くようになりました。税理士試験の問題点を受験生だけでなく、なるべく多くの方、一般の方にも知って頂くことがこの活動が成功するか否かの鍵となると思います。ですので、このblogをチェックされている方でまだ署名をされていない方は是非賛同をお願いします。そして周りの方にも広げて頂ければと思います。

shikaku-hack.hatenablog.com


このblogの右上のところにblogランキングのバナーを追加しました。アクセス数稼ぎの目的でクリックを求めるのは私はあまり好まないのですが、上位に位置すればより多くの方の目に触れることともなりますのでどうかご協力をお願いします。

これが3科目合格者の答案(でものり弁)平成28年度税理士試験・簿記論/財務諸表論/消費税法の採点済み答案用紙

開示請求 税理士試験適正化

簿・財・消の各科目の開示結果をSKYさんのblogで公開しています。(リンクはページ下部に)SKYさんは28年度の試験でこの3科目を一挙に合格。2年官報合格の偉業を目指して勉強されています。合格者の答案にあやかろう!と言ってもこんな「のり弁」開示では、何もわかりませんね。このような情報のほとんどない中でも細部を観察して何かの手がかりになることがわかれば、国税庁の怠慢を追及していく材料として、生かしていきたいと思います。

存在するはずの成績ファイルを求めて

開示請求は、現在も「採点前答案」の他、存在するはずの「受験者の成績(点数及び順位)の記録されたファイル(本人部分)」の請求が進行中です。

税理士試験の実施後、合格発表までは、次のような手順で行われていると思われます。1.回収された答案用紙は封がされ問題を作成した試験委員の元へ。2.試験委員が答案用紙に採点を行い評点を記入した後、国税庁人事課に答案が渡される。3.国税庁で受験者の点数や順位を管理、複数の試験結果を受験票の個人情報と照らし合わせて合格者の決定や通知を行う。

であるならば、受験者の点数や順位などを記録したファイルが国税庁の内部では必ず作成されているはずです。そうでなければ、合格やABCDの判定・システムへの入力・通知書への印刷もできるはずがありません。まさかここで「存在しない」という理由付けは不可能でしょう。そして今私は、そのファイルの開示を請求しました。国税庁は、開示しなくても済む法律上の理由を必死になって探しているはずです。なぜか。何の落ち度もなく採点や合否判定を行っているのであればそれらを公開したって何も支障がないはずです。ですが国税庁にはそれができない理由があります。その理由は、、、また次の記事で書きましょう。


私が目的としているところは、税理士試験を他の試験と同じように、合格基準が公開され外部からも検証が可能な試験になるようにすることです。今の試験は、まるでお上のご機嫌を伺わないと税理士にさせてもらえないような国の制度を象徴しています。「正解は試験委員の心の中のみにある」、そんな試験はもう終わりにしましょう。


平成28年度税理士試験 簿記論/財務諸表論/消費税法の採点済み答案用紙

リンクをクリックするとSKYさんのblogにジャンプします。

blog.livedoor.jp
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法人は「ご飯多め」の「のり弁」平成28年度税理士試験・法人税法の採点済み答案用紙

税理士試験適正化 開示請求

国税庁から開示された平成28年度税理士試験・法人税法の答案用紙を公開します。前回の相続税法と同じく「のり弁」になっていますが、それと比べると「ご飯」つまり白地の部分が多めです。これは、元々の答案用紙の余白部分が多かったためで、「のりが少ない」といよりは「ご飯が多い」という表現にさせて頂きました。

疑惑;採点が適切にされたのか

それよりも注目すべきは、相続、そして簿財の科目においても、開示では解答欄右側の余白部分にも墨塗りの部分があるのに対し、法人税法と消費税法では墨塗りがありませんでした。解答欄右側の余白部分には、採点上のメモがされていると推測されますが、法人・消費にはそれがなかったと明らかになりました。そしてその2科目は、28年度税理士試験において、受験者の間で採点と合否判定に疑問の声が多く上がっている2科目なのです。墨塗りの部分に何が書かれているかわからない以上、断定はできませんが、採点がいい加減にされたのではないか、と状況証拠的には言えそうです。

他の科目の開示を行った方は是非情報を寄せてください!

開示された「平成28年度税理士試験・法人税法 採点済み答案用紙」

投稿頂いたSさんの希望により「受験地/受験番号」欄は当方でマスク処理いたしました。

1~3枚目 第一問(理論)答案用紙

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4~8枚目 第二問(計算)答案用紙

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試験問題の審議はこんなもの 第5回国税審議会(平成16年)議事録から興味深い議事を

税理士制度

国税審議会とは

国税庁内に国税審議会というものがあります。委員は20名ほどおり、大学教授、ジャーナリスト、財界人などの有識者で構成されており、日税連の役員も2名入っています。国税審議会の中にはさらに、国税審査分科会、酒類分科会、税理士分科会があります。国税庁サイト内に議事録が公開されていますが、各分科会からの報告が大体年一度、春頃に開かれているようです。この国税審議会では、委員の他、国税庁から長官以下、次長、審議官、部長、課長、国税不服審判所所長が出席して報告を行います。

目次


ご存知のように税理士試験を実施するのはこの国税審議会で、税理士受験者には合格通知の発送元としてもお馴染みです。国税審議会の中の税理士分科会、こちらは通例年5回ほど開かれており、税理士試験試験問題の審議、結果報告、試験免除の認定、その他税理士の懲戒処分の審議も行っています。


第5回国税審議会(平成16年)議事録

議事録を見ておりましたらその中で、古いですが、平成16年に行われた第5回国税審議会議事録に税理士試験に関する興味深い記述を見つけましたのでメモとして残しておきます。

辻山委員
 辻山でございます。税理士分科会は昨年1年間で計4回会議を開催いたしました。お手もとの資料の2の、同じく税理士分科会というところを御覧いただきたいと思いますけれども、まず、昨年6月4日の分科会におきまして、分科会長の互選をさせていただき、引き続き私が分科会長をお引き受けさせていただくことになりました。また、分科会長代理には小川是委員、本日御出席でございますけれども、指名いたしました。
 次に、昨年の分科会における審議事項につきましてでございますが、第6回から第9回というところでございます。このうち、まず税理士試験関係でございますが、6月4日の分科会におきまして、8月初旬に実施いたしました平成15年度の税理士試験の試験問題の審議をいたしました。それから、試験の実施について検討をいたしました。
 12月12日の分科会におきましては、平成15年度の税理士試験の実施結果につきまして審議いたしました。そして平成14年度の指定研修の実施結果、平成16年度の税理士試験の実施に向けての試験委員の人選、日程、それから税理士試験の免除申請について審議をいたしました。なお、税理士試験の合格者は、合格発表日であります昨年12月16日に官報公告をしております。

第5回 国税審議会 議事録(2)|審議会・研究会等|国税庁

税理士試験の試験問題の審議はこんなもの

この平成15年6月4日に開催された第6回税理士分科会ですが、その内容がこちら。

14時~16時40分

1 分科会長の互選

2 平成15年度(第53回)税理士試験の試験問題の審議

3 税理士法第7条第2項又は第3項に規定する認定

各分科会の活動状況の報告|第5回 国税審議会 説明資料 目次|国税庁

2時間40分の中のその一部で、11科目の試験問題の審議もやっています。会長の選出があって、たぶん適当に挨拶などもあるんでしょう。3番目の「税理士法第7条第2項又は第3項に規定する認定」はいわゆる院免除のことです。これに出席しているのは税理士分科会の委員が5名と、国税庁人事課の職員です。この委員というのは試験委員でなく、国税審議会の委員ですから、問題の内容についておそらく詳細を理解できるとも思えません。内容に関する質疑応答が活発に行われているとは期待できません。パラパラめくって「ふーん、こんな感じなのね」といったところじゃないでしょうか。国税審議会で行われる試験問題の審議はこれが唯一です。

各年見ても毎年こんなものです。決まり切った「各議題について審議がなされ、原案どおり決定が行われた。」の文句で締められています。審議会に出された時には試験委員の手を離れていて、ここで承認されて、そのまま印刷に回されるのでしょう。私が署名の要望で言っている、「試験委員の作成した問題がノーチェックで試験に出題されている」ということの根拠はこれです。

これについては、また別の記事で掘り下げます。今日は別のポイントに注目。


試験の合格率について

平成15年の簿財の合格率が20%越えだったことについて突っ込んだ質問がありました。

森委員
 今、この時点で質問させていただくのが適当かどうか分かりませんけれども、実は税理士試験の結果ですけれど、あちこちで私はよく聞くのですけれども、聞かれるのですけれども、今年の15年度の税理士試験ですけれども、科目別の合格率の問題ですけれど、簿記と財表がものすごい高いのですね、従来にない。ほかの税法については、従来どおりの合格率なのですけれども、簿記、財表に対しては20%を超えているということですね。これは非常に今までかつてないことなのですね。私は覚えていますけれども、私が受けたときですけれども、確か財務諸表が、これは昭和33年ぐらいですけれど、25%ぐらいいったのですね。これは驚異的な数字だったのですけれども。恐らくそれまでずっとなかったのですけれど、今年が簿記、財表とも20%を超えたということは、ちょっと今まで例がないわけなのですけれども、この辺について何か背景があったのかどうかということなのです。この辺がよく聞かれますので、偶然かどうか知りませんけれども、何か意図があるのかないのか。ちょっとあればお伺いしたいと思います。


森委員からの質問です。この方は、日税連(税理士会)から任命された委員のようです。

辻山委員
 後で人事課長の方から御説明いただきたいと思いますけれども、私の承知しているところでは、一応60点という基準を満たすということが合格ラインになっておりまして、人数について、あるいは合格率について、特段の配慮をしたということはないというふうに承知しております。
 ただ、試験問題が、従来非常に分量が多い、あるいは内容が非常に高度だということがありましたので、少しそれを普通の勉強をしていれば受かりやすいような、そういう改良というか配慮をしてきたということはありますけれども、特に人数や合格率について特段の配慮があって、そういう結果になったというふうには理解しておりませんけれども。ちょっと補足して人事課長からお願いできませんか。

会長
 人事課長どうぞ。

人事課長
 今、辻山先生から御説明のあったとおりでございまして、試験でございますので、基本的には受ける人とか、問題の相性とかで、合格率は変わると思います。ただし傾向としては、簿記、財表は必ず受からなければいけない会計科目でございまして、税法の方は、数ある税法の中から3科目合格すればいいということで、本人のある意味で得意科目を選択できるという意味がございまして、簿記、財表について余りに難し過ぎると、税理士になりたい方が、なかなかなれないということもありますので、余りに問題数が多いのではないかと。それこそ専門学校に何年も通わないと受からないのではないかといったような意見が、受験生等から我々の方に上がってきたものですから、そこは十分に税理士の能力が判断できる適正な問題量にしようというようなことは、試験委員の先生方にお願いしてまいりました。そういうことの結果で、従来に比べると多少60点の基準を超える人が結果的に多かったかと思いますけれども、特にそれで、わざわざ適正な能力のない人をどんどん合格させようというようなことは、当然のことながらございません。

税理士試験の入り口となりやすい簿財に関しては、税法科目よりも敷居を下げようという方向で試験委員に発注したと認めています。逆に言うと、税法科目については「十分に税理士の能力が判断できる適正な問題量にしようと」はしていないということになりますね。

科目の見直しについて

森委員
 ありがとうございました。
 もう1点は要望なのですけれども、これは私が発言すると税理士会の要望かと言われるかも分かりませんが、私の個人的要望なのですけれど、税理士の試験科目というのを若干見直してもらったらどうかという気がするのですよ。ということは従来、簿記、財表、税法ですけれども、大体簿記というのは最近、余りやっていないというのが多いのですね。全部コンピューターでやってしまうという傾向があるわけですから。基本的なものは当然必要ですけれども、実務的には余りやっていないのではないかなという気がするのです。その辺も含めて、やはり簿記会計の簿記と財表については、やはりひっくるめて考えてもらうような方法。
 それから税法については、国税基幹法はいいのですけれども、地方税に至ってはたくさんあるわけですね、選択ですけれど。そこまで必要なのかどうかという問題を感じているわけですよ。それよりももう少しグローバル的なことになっているわけ、時代が。したがって、例えば民法を入れるとか、あるいは会社法制を入れるとか、もう少しグローバル化をして、実際に税理士が実務をできるような法律も入れるべきではないかなと。今、特に税法については、地方税の本当に細かい税法まで入っていますから、そんなの果たして必要なことかと非常に私は疑問を感じているわけですよ。
 したがって、ひとつ、これは時間がかかると思いますけれども、税理士の試験科目について検討をしていただく時期ではないかなというふうに考えますので、要望として申し上げておきます。
 以上でございます。

会長
 今の件、御発言ございませんか。

辻山委員
 御要望として承ったということで検討させていただきます。

次長
 これは士(さむらい)業と試験問題との関係でいろいろあるでしょうし、すぐにお答えをできる問題ではありませんので、また検討させていただきます。

国税OB税理士について

OB税理士が脱税を主導していた件について、立石委員がぶっこみます。

立石委員
 確定申告にかかわって二、三質問したいと思います。いわゆるOB税理士ですけれども、OB税理士の税務調査というのは、どういう方針で行われているのですか。

課税部長
 国税当局では、高額・悪質を重点にして、申告内容や資料情報を分析・検討し、課税上問題があると認められるものについては、的確に税務調査を行っていくことにしております。税理士についてもOB・非OBにかかわらず、問題がある者に対しては的確に調査を行うということでございます。

立石委員
 そこで具体的にお尋ねしたいのですけれども、元札幌国税局長の実刑判決文を読みますと、所得額の85%を申告していなかったというふうな指摘になっておりますけれども、これは4年間麻布税務署が気が付かなかったということは、これはどういうことなのでしょうか。

(以下略)
第5回 国税審議会 議事録(4)|審議会・研究会等|国税庁

立石委員
 続いて、査察部OBの国税税理士との関係についてお尋ねいたしますけれども、最近摘発されましたK-1脱税事件、「週刊現代」と「週刊サンデー」に、東京国税局査察部の元課長と、熊本国税局の元課長のOB税理士が事件に関与したというふうに報道されておりますけれども、私自身調べてみますと、多くの査察OB税理士が査察案件について直接関与されているというケースが多数ありますけれども、この点については、行政はどういう指導をされていらっしゃるのですか。

次長
 今、非常に具体的な御質問をされておられますが、退職者というのは、御案内だと思いますが、単なる民間人、税理士として営業されておられるわけで、既に退職されている民間人の方が営業努力として、どこか顧問先に入るということにつきまして、我々がそれを指導する権限は全くございません。
 恐らくそれを想像するに、査察案件に入っているという御指摘、これは一般論でお答えしたいと思いますが、恐らく一般の税理士の方は、一般というのは非OBという意味で申し上げてもいいのですが、恐らく査察ということについてのノウハウは余りお持ちでないのだと思います。
 たまたまですが、たまたまうちの職員、査察の経験者が、査察事務というのは言ってみれば非常に特定の分野でありますから、そういうことについてのノウハウがあるのだと思います。査察の受け方といっても、なかなか査察を受けた人もたくさんいませんし。そういうことで需要があって、たまたま関与されているのだと思いますから、全く民間人の方が、自由の営業活動の結果として顧問先に入られることについて、当局は一切何も権限はございませんし、指導することもできないと思います。

立石委員
 そうすると告発された事案について、査察部のOB税理士が案件に関与するということについては、一切行政はタッチできないと、そういうことですね。

次長
 OBとおっしゃいますが、その方は単に民間人でありまして、税理士として適法に活動されている以上問題はありませんが、例えば脱税共犯等々になれば、税理士法の処分というのはあると思います。

立石委員
 しかし、今の村上さんの答弁は少しおかしいですね。

(以下略)

立石委員、なおも食い下がります。

立石委員
 記録している方、どなたか、私は言いましたか。話をすりかえないようにしてください。
 私が心配しているのは、国税OBが脱税事案について、顧問税理士になることによって、一般国民が、国税庁国税当局と真ん中にOB税理士が入って、査察その他の税務調査について手心が行われているのではないかという疑問が出ているということなのです。それに対して何らタッチできないというのであれば、それと当然、国税OBが税理士法において、ほとんど無試験で税理士の資格を得ることについて疑問が出てくるのは当たり前のことであります。
 既に新聞の一部は社説で、国税OBのほとんど無試験によって税理士の資格をとることについては廃止しろという主張をしているわけですね。これは国税の現役の職員にとっては大いなる財産なわけですね。今のままでいくと当然この問題について、世論としては、もうやめろと、こういうことが出てくるのではないかと。そうすると、国税庁としても何らかの対策を立てる必要があるのではないかということを指摘して、私の質問を終わります。

会長
 今の御質問に直接お答えするわけではないですが、やはり最近ずっと時系列的に見れば、税理士に関する懲罰は非常に厳しくなりつつあって、その点はそのようなことを反映しているのではないかというふうには思いますがね。
 今の立石委員の御質問は、やはり個別案件の話、札幌国税局長のケースは、前にも確かこの国税審議会でも話題になりまして、その点については確かその時、ちょっと正確には覚えておりませんが、今後、その点については厳正に考えたいという話があったように思います。
 何か、その点で長官。

長官
 直接的なお答えになるかどうか、私は国際会議に出て、各国の長官と公式、非公式にいろいろな話をするのですけれども、

(中略)

 なぜ日本において、職員が長期間、退職まで勤めるのかということについて、私が説明した一つは、勧奨退職をしても、すぐに生活の苦労といいますか、心配することなく、ある程度そういう人については紹介をして、税理士として成り立つようにしているということが、我が国において、職員がきちっと一生プロとしてやれるということなのですよという話をすると、それは大変うらやましいという評価もあるということであります。ただ、そういうことについての問題が、先ほどおっしゃいましたように、ないわけではないと思います。
 この前の事件を契機として、紹介というのは、人事当局者が一元的に行うということで、現場の副署長等が顧問先との接触をすれば、それは国税の組織が何らかの権限ないし職員との関係を疑われる可能性があるので、それはもうやめましょうと。人事当局が一元的に会社のニーズを聞いて、必要があると、税理士のあっせんをしてほしいというような場合に、そこに紹介をするというやり方で来たということであります。
 ただ、立石先生のおっしゃっている中で、我がOB税理士を差別しているかということになりますと、私どもはしていないというふうに明確にお答えをできると思います。現に元札幌国税局長の件も、我々組織においてきちっと摘発をしている。

国税庁長官が、国税OBが無試験で税理士になれることは、一生プロとしてやれるということだと。言わば職員の生活保障として必要なことだ、と答弁しています。それは世界からうらやましいと、評価されていると、そういう認識なようです。


国税OBへの顧問先の斡旋は、以前は公式に制度としてありましたが、批判を受け今は無くなったんでしたでしょうか?今回の一連の「税理士試験適正化要望」の中で私は、国税OBが無試験で税理士になれることの是非までは、収拾がつかなくなるので広げるつもりはありません。ただ周辺事情として、こういう議論が国税審議会であったということは興味深いことでしたのでメモとして残しておきます。以上です。

税理士試験不適切問題集 平成28年度(第66回) 法人税法

税理士試験不適切問題集

去年の試験から大変時間が開いてしまいましたが、法人税法の「税理士試験不適切問題集」をアップします。

改めて見てみても酷いですね。杜撰な問題作成にふつふつと怒りの感情すら沸き起こってきます。

受験生の皆様は今年の試験の勉強で忙しく、去年のことはもう記憶から薄れつつあるかもしれません。しかし、こうして風化していくのを許してしまえば、不適切問題は公式にはなかったことにされてしまいます。税理士試験の不適切性を指摘する根幹となる部分だと認識しておりますので、この件に国税庁が何らかのコメントを出すまでしつこく追及していく必要があると考えます。悲劇を再び繰り返さないためにも。


私自身は法人税法を受験していないため、理解の足りない部分もあるかと思います。補足する点などお気づきのことがありましたら、どなたでもコメント、メールでお寄せください。


元の原稿を送っていただいてから私がアップするのに4か月も開くこととなってしまい、大変申し訳ございませんでした。12月10日にメールをお送りしているのですが、これを見ていらっしゃったらお返事頂けないでしょうか?


この記事は、Tsugu さんの投稿を基にMarkが編集しました。

目次

平成28年度(第66回) 法人税法 試験問題

全体の特徴・総評

計算問題にあまりに不備が多く、税理士試験史上に残る悪問。その原因は、解釈が分かれる微妙な論点を出題した等によるものではなく、作問者が一度見直しをしていれば気づくような問題作成上の単純なミスを直さなかったことによると思われる。予備校作成の模範解答においても、別解多数、「解答不能」とのコメントあり。仮に全ての論点について間違いであると採点をされれば、満点をとれた受験者でも不合格レベルになり、合否が大幅に入れ替わっている可能性が高い。

第一問(理論)

問1

不適切カテゴリ:(解答欄不適切)

<不適切な点>
想定される解答に対し解答欄が狭すぎる。他の問題の分量を考慮しても今回の解答用紙は余白部分が非常に多く、あえて解答欄を狭くする必要性はない。

第二問(計算)

1.租税公課

不適切カテゴリ:(矛盾資料あり)


<不適切な点>
下記2点の資料不備がある。
A:市区町村民税の計に記載されるべき2,300,000 円が事業税の欄に記載されている。
B:前期末事業税の記載すべき欄が②欄でなく①欄になっている。


A・B 共に解答上影響はないが、通常与えられる資料と状況が異なることから、特にBについて前期の処理が違うことによる通常の処理以外の処理を検討した受験生がいた可能性は否定できない。

(D4 ページ 1.甲社の別表五(二)抜粋)
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2.減価償却

不適切カテゴリ:(矛盾資料あり)

<問題指示>

(D5 ページ 【資料4】2.A社との取引(1)中古機械装置の取得)
甲社は、(中略)残額の3,000,000 円部分について耐用年数を5 年として、定率法による減価償却を行った。

(D8 ページ 6(2)中古機械の取得)
甲社では、上記【資料4】2.(1)に係るA社から購入した機械装置をA社への支払額5,000,000 円を取得価額として、耐用年数を4 年と適正に見積もり減価償却費の計算を行っている。(以下略)

<不適切な点>
会計上の減価償却費を推定させる問題で、異なる取得価額と耐用年数がそれぞれ2つずつ与えられている。そのため会社が計上した減価償却費が算定できないため、解答要求事項の減価償却超過額につき一意の解答を導き出すことが出来ない。


<大手予備校の模範解答>
大原:各2つずつ与えられている取得価額と耐用年数から計算できる全4パターンの別解を掲載。解答解説の動画では「解答不能に近い」と解説している。
TAC:与えられている金額、処理方法が問題文の前後で違うことから「解答不能」としている。


3.K社株式の帳簿価額

不適切カテゴリ:(資料不足)(矛盾資料あり)

<問題指示>

(D7 ページ 4(1)配当(注2))
K社株式は、甲社が以前より所有している非支配目的株式等であり、K社株式の異動はなかった。なお、K社株式の期末帳簿価額は、32,000,000 円であり、期末時価は、29,000,000 円である。

(D7 ページ 4(2)②前期末・当期末の会社計算上の総資産の帳簿価額等)
(抜粋)K社株式の前期末帳簿価額32,000,000 円、当期末帳簿価額29,000,000 円

<不適切な点>
上記の資料からは①K社株式の期末帳簿価額が2つ与えられている。②K社株式が売買目的有価証券か売買目的外有価証券かが与えられていない。
K社株式が売買目的有価証券で会社が評価損を計上していない場合と、K社株式が売買目的外有価証券で会社が評価損を計上している場合には調整が必要になるが、問題文からそれを読み取ることができないためK社に関する調整については一意の解答を導き出すことができない。


<大手予備校の模範解答>
大原:当期末帳簿価額を29,000,000 円と推定して「K社株式評価損損金不算入額3,000,000 円」としている。
TAC:当期末帳簿価額を32,000,000 円と推定して「処理なし」としている。


4.受取配当等の益金不算入額

不適切カテゴリ:(資料不足)

<問題指示>

(D7 ページ 4(2)②前期末・当期末の会社計算上の総資産の帳簿価額等)

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<不適切な点>
受取配当等の益金不算入の金額の計算上、総資産簿価を算出する際に貸倒引当金が貸方表示の際は調整をせず、借方表示の場合は総資産簿価に貸倒引当金の金額を加算するが、上記問題資料からは貸倒引当金の表示方法が借方表示か貸方表示か注記かを特定できないため、解答要求事項の受取配当等の益金不算入額について一意の解答を導き出すことができない。


<大手予備校の模範解答>
大原・TAC:貸倒引当金の表示方法は不明確であり、借方表示、貸方表示双方のパターンを解答として掲載。

5.貸倒引当金

不適切カテゴリ:(資料不足)

<問題指示>

(D7 ページ 5.貸倒引当金)
甲社の決算手続き中に取引先S社から破産手続開始の申立てを行った旨の通知が届き、甲社でS社に係る債権を調べたところ売掛金残高が10,000,000 円であった。甲社では、当該売掛金について個別評価により貸倒引当金を計上することとした。前期以前に個別評価の対象となるものはなかった。

<不適切な点>
上記問題指示からは、個別貸倒引当金の計上要件である破産手続開始の申立てが当事業年度中に行われたのかが読み取ることができないため、個別貸倒引当金及び一括貸倒引当金に関して一意の解答を導き出すことができない。


<大手予備校の模範解答>
大原・TAC:「破産手続開始の申立がいつ行われたのか不明であるため」とし、当期中に行われた場合と翌期に行われた場合の2パターンの解答を個別貸倒引当金・一括貸倒引当金それぞれで掲載。

6.デリバティブ取引

不適切カテゴリ:(資料不足)


<問題指示>

(D9 ページ 8デリバティブ取引)
(前略)当該デリバティブ取引は、当期から開始し、甲社が所有する売買目的外有価証券の価額の変動により生じる可能性のある損失の額を減少させるために取得したてものである。当期末までに売買目的外有価証券の譲渡はなく、かつ、当該デリバティブ取引がヘッジとして有効であると認められる状態にある。
当期末における売買目的外有価証券の時価と帳簿価額との差額について、3,000,000 円の損失があり、デリバティブ取引による利益額は、3,200,000 円であった。

<不適切な点>
上記の資料からは当該デリバティブ取引が時価ヘッジか繰延ヘッジかの指示がないため、ヘッジ対象及びヘッジ手段の損益を認識すべきかどうかが判断できない。そのため当該デリバティブ関係に関しては一意の解答を導き出すことができない。


<大手予備校の模範解答>
大原:時価ヘッジと考え、「先物利益計上もれ3,200,000 円」と「時価ヘッジに伴う損金算入額3,000,000円」を解答として掲載。ただし「繰延ヘッジの処理も考えられる」とも記載している。
TAC:繰延ヘッジと考え「調整なし」としつつも「時価ヘッジか繰延ヘッジかを読み取ることができない」としている。


7.寄附金の損金不算入額

不適切カテゴリ:(解答欄不適切)

<不適切な点>
寄附金の損金不算入額の計算過程欄は正確に記載すると6行程度のスペースが必要になるが、解答用紙には3行分ほどのスペースしかなく、計算過程を書くことがほとんど不可能である。

8.C社所有土地の帳簿価額

不適切カテゴリ:(別解あり)


<問題指示>

(D3 ページ 冒頭問題文)
(問2)C社が当期末において所有している土地の帳簿価額を求めなさい。

<不適切な点>
法人税法の試験問題であることも踏まえるとC社の「税務上の簿価」を解答要求事項としていると思われるが、問題指示は「帳簿価額」となっており、決算書(会計上)の帳簿価額と読むことができる。そのため解答要求事項である土地の帳簿価額につき一意の解答を導き出すことができない


参考

問題に対する議論

0025 一般に公正妥当と認められた名無しさん 2016/08/28 00:32:58
これだよ
税理士 永橋利志先生の作った平成28年の問題のミス

・受配の控除負債利子の貸引の取り扱い → 借方?貸方? 不明で答えが2つ考えられるため永橋にシンクロするか運に任せるしかない。

・個別一括貸引の金銭債権区分 → 事実が生じたのはいつ? 不明で2つ考えられるため永橋にシンクロするか運に任せるしかない。

・別表5(二)の前期確定事業税は本来?欄なのに?欄に記入されている。 → 予備校で最初に習う事だが試験委員がミス

・別表5(二)の市町村民税?欄の合計額が一段下にズレている。

・中古機械装置の取得価額と耐用年数の資料が別の数字で2つずつある。→ TACが解答不能と解答

・寄付金の計算欄が狭すぎ。そのくせ無駄な解答欄が多量に印字されていてスペースも寄付金より広いという始末
  →大原が限度額の計算をカットする事態発生

・問題を事前にチェックしていない事が判明 → 1回でもチェックしてれば間違いにすぐ気付くレベル


id:eScM/8d40(1/11)
0026 一般に公正妥当と認められた名無しさん 2016/08/28 00:41:39
機械装置の取得は28年8月10日じゃなくて27年8月10日だった説好き

0233 一般に公正妥当と認められた名無しさん 2016/09/13 01:06:51
近畿税理士会 永橋利志先生の作った平成28年の税理士試験の作問ミスのまとめ
(改訂版)

・受配の控除負債利子の貸引の取り扱い → 借方?貸方? 不明で解けない。
・個別一括貸引の金銭債権区分 → 事実が生じたのはいつ? 不明で解けない。
・別表5(二)の前期確定事業税は本来?欄なのに?欄に記入されている。
・別表5(二)の市町村民税?欄の合計額が一段下にズレている。
・中古機械装置の取得価額と耐用年数の資料が別の数字で2つずつある。
・その他有価証券の評価損:全部純資産直入法か部分純資産直入法かが不明。
・受配:「負債利子は当年度実績」と指示があったが、それは事業年度が
    H27.4.1〜H28.3.31の原則法なら当てはまる指示だが、
    H28.4.1〜H29.3.31は当年度と前年度の実績を使わなければいけ
    ないので、意味不明な指示。指示通り当年度だけで計算したヴェテ
    はどうなるのか?
・寄附金:寄附金が出題されているのに資本金等の額の資料がない。
・デリバティブ:繰延ヘッジと時価ヘッジが両方可能な資料であるにも係らず
    いずれかの指示がないため解けない→有利な方法だと繰延ヘッジ?
・その他:解答欄が狭すぎたり大きすぎたりする←おそらく想定している解答が
     間違っている。
id:BRK+9v1T0


永橋先生ファンクラブ

0841 一般に公正妥当と認められた名無しさん 2016/09/17 22:08:52
>>826
永橋が機械取得年度一年間違えてる説が有力。
そうすると最初と最後の矛盾した問題文も説明がつく。
寄付金は去年だからその他寄付金はないので狭い欄でもOK。
逆に認容が出てくるので広い欄じゃないと書ききれない。
こんなにスッキリ全ての疑問に説明つくから俺はこの説信じてる。

国税庁「出題のポイント」

国税庁が発表した計算問題に関する「出題のポイント」はわずか3文で、自己採点の参考にしようにも何の役にも立たない。問題の不備により別解が生じる点ばかりがポイントとして挙がっているにもかかわらず、作問者がどのような処理を求めたのかはわからない。作問者が「法人税実務において頻出する基本的な処理」を正確に理解できているのか疑わざるを得ない。

〔第二問〕

 本問は、近時の改正項目を含めた法人税実務において頻出する基本的な処理を問うものである。
 諸税の納付状況の別表からの読み取り、中古資産に係る修繕費の取扱い、貸倒引当金の個別評価と一括評価のそれぞれの損金算入限度額の計算、受取配当金の益金不算入処理等正確な計算処理が求められる。
 また、完全親子会社間の取引についても基本的な処理を求めるものである。


法人税法|平成28年度(第66回)税理士試験出題のポイント|国税庁

試験委員

新井 智男(新任)国税庁課税部法人課税課長
永橋 利志(3年目)日本税理士会連合会理事広報部副部長・近畿税理士会常務理事広報部長・税理士