Markの資格Hack (税理士試験)

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大学院に入学しました 税法専攻の大学院について

私、Markは、春から大学院に入学しました。税法を専攻し、2年間で修士論文を書きあげて、税理士試験の科目免除を予定しています。入学式とガイダンス、1週目の講義が終わったところでこの記事を書いています。

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目次

昨年の試験前から準備していました

大学院の受験は昨年の春ごろには考えていました。税理士試験の不透明さに嫌気がさしてきており、勉強を重ねても何年かかるかわからない試験に見切りをつけ、確実性の高い大学院に行こうと考えるのは自然のなりゆきでした。8月の試験が終わってからいくつかの大学院の説明会に参加し、具体的に検討していました。また、租税法の基本書等を読み、入試の準備や、提出する研究計画書を書いていました。9月から12月にかけては、税理士試験の勉強は終わっていましたが、税理士試験適正化活動(開示請求等)、大学院の準備、通信講座で会計士試験の受験勉強*1、法学検定*2(と、仕事も)と、忙しく過ごしていました。

2ちゃんねる(5ちゃんねる)の税理士試験総合スレッドでは、私のことを、あることないこと、憶測をいろいろと書き込んでいる方々がいらっしゃたようですが、特に何も決まっていないことなので否定も肯定もせず放っていました。

目的は税理士試験の科目免除を受けることに留まりません

大学院に行く一番の目的は、お察しの通り、税理士試験の科目免除を受けることですが、単に資格取得目的に留まらず、法学としての税法を本格的に学ぶことに魅力を感じています。また、一つのことを調べ上げる能力、プレゼンやディスカッションのスキルを上げ、税理士の仕事にも生かしていきたいと思っています。大学院に行くことに関しては、ポジティブな気持ちで溢れています。

今のタイミングで大学院に入ったことはベストだと思っています

また、私が税理士試験受験歴5年と会計事務所での実務経験を経て大学院に進むことになったことも、結果的にベストのタイミングだったのではないかと思っています。大学院では、所得税法、法人税法等の実体法について法解釈や実際の紛争事案を学んでいきます。前提として一連の税額計算過程が頭に入っていた方がいいのは言うまでもありません。税理士試験の勉強で理論暗記をひたすら繰り返した経験も、私にとっては税法に親しむ機会を与えてもらったということで今後役に立つことでしょう。実務での経験やそこで感じた問題意識もあるとないとでは、学問が身につく度合いが変わってくるでしょう。

大学院の同級生の中には、学部から上がってきた若い方々もおられます。若いうちから進路が決まっているのはうらやましくも思いますが、今までに実務や勉強で税法に触れたことがない、申告書を見たこともない、という背景では、講義についていくのが大変なのではないかと老婆心ながら心配しています。

大学院も大変そうです

大学院の講義は基本的に休むことは許されません。予備校の講義のように振替やネット講義などありませんから、何としても仕事の都合をつけて出席する必要があります。また、ただ講義に出ていればいいのではなく、事前に分厚い本を読み込み資料を作成したり、発表したり、講義でも発言が求められる等、能動的に学ぶ姿勢がなければついていけませんし、講義以外での学習にも時間を取られます。つい先程卒業した先輩に聞いたところによると、講義の前日に徹夜でレポートを仕上げることもしばしばあったと聞きました。もちろん、論文を書く能力も求められます。

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私も2年間で修めることができるのか、不安も大いに感じています。勉強したいという意欲には溢れていますが、ADHDという障害を持っているゆえ、時間管理や長期的な計画を実行することに困難を伴います。大学のときには二次障害でうつ病も患い中退しています。この点は2年半ほど前から通院し、投薬治療を受けることで、日常生活も大分改善してきたので今度はうまくいくと信じていますが。



税理士試験免除目的での大学院を批判的に見る人の中には、「お金を払えば楽して取れる」などと勝手なイメージの元に見ている人がいると思われ、実際には大学院も楽ではありません。高くない授業料を払って大学院に入っても2年で卒業できないという人もちらほらいると聞きます。業界には、「税理士試験で国税3法に合格した者でないと税理士として認めない」などと豪語する古い考えの方もいるようですが、試験合格が税理士としての優秀さを担保するものになっていないことは試験問題を見れば明らかですし、全くナンセンスだと思います。私は、大学院修士号免除で税理士になることについて、引け目は全く感じていません。

税理士試験と大学院の勉強は全く別物

前述したように、大学院でも所得税法や法人税法といった税法の講義がありますが、大学院での勉強と、税理士試験対策の予備校の勉強では、全くアプローチが違います。

予備校での勉強では、税法や通達の規定を網羅的に学習し、申告書の作成や会計事務所の実務で必要な知識が身につきます。私の考えるところでは現状、大手予備校の教材に勝る効率的で網羅的な税法の学習方法は存在しないと思います。この点は、私も予備校を評価していますし、大学院で免除を受けて税理士資格を得た者が受験していない科目を予備校に勉強に行くというのもよく聞く話です。

一方、大学院での勉強は、もっと大局的な物の見方、法解釈、法的思考力、というものを学びます。ただ、通達を所与のものとして覚えるのではなく、なぜその結論が導かれるのか、法的に論理的に突き詰めて考えていくわけです。実務上争いが生じる論点は何か、通達は課税庁の一つの解釈に過ぎないので裁判でひっくり返ることもある、ということを学んでいきます。税法の規定の設けられた背景を考えることで、適用の微妙な場面での判断力が身につきます。(と、現段階で思っています。)

ですから税理士として一線で活躍する人になろうと思ったら、大学院での勉強と予備校での勉強と両方が必要なのではないかと思います。理想を言えば、予備校講義で国税4法+国徴を一周しておいた上で、大学院に進めば一番いいのではないかと思います。実際には時間的・金銭的制約もあるでしょうし、早く資格を取りたいという要請が高いでしょう。私も法人や消費は実務以外で未習の状態ですし、自学が必要だと思っています。


税理士試験の勉強は無駄が多い

私は、税理士試験の適正化を求めて活動していますが、税理士として求められる能力と試験との間に乖離があることも、その理由の一つです。つい最近もツイッターに書きましたが、税理士試験の問題は適正とは言えません。税理士実務に必要な税知識を「知る」「わかる」「使える」ようになるまでに必要な労力が100だとすれば、そこからさらに感覚として200から300の労力を注ぎ込んで「覚える」「速く」さらに「運」がないと試験には受かりません。確実に受かるために必要なこの100から上の部分は、税理士試験以外に使い道のない無駄な努力と言ってよく、その労力を私は他のことに使いたいと思うのです。*3詳しくは、また記事を改めて書きます。







大学院の講義や学修の様子、入試のこと等についてもおいおい、記事にしていきたいと思います。試験免除制度についても、別の記事で詳しく解説する予定です。それでは、今日はこれまで。ごきげんよう。

*1:会計士試験の勉強は時間がないので中断することにし、払い戻しの手続きをしました。

*2:ほとんど勉強できませんでしたが、ベーシックには受かりました。

*3:税理士試験に受かることが目的であれば無駄ではないのでしょうが、私の目的は税理士資格を得ることであり、さらにその先に目標があります。