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税理士試験の受験料は安すぎる

先日、twitterに書いてそれなりに反響がありましたので同意をもらったと思っているのですが、あらためて。税理士試験の受験料は安すぎます。



目次

税理士試験の受験料は飛び抜けて安い

他の試験と比較してみると、それは明らかです。税理士試験は1科目の場合で3,500円、司法試験の8分の1です。そんな人はいないと思いますが5科目一度に受けても7,500円と、民間の検定試験である英検1級よりも安い。こうして見ると、全問マークシートで採点のコストは安いはずの、センター試験が高すぎるような気もしますが、全国津々浦々の大学に払う会場使用料や、統一基準で厳格に実施するための物凄い量のマニュアル作成・徹底、予備日の設定などコストがかかる要因があるからでしょうか。

  • 各試験の受験料
    • 会計士19,500円
    • 司法試験28,000円
    • 医師国家試験15,300円
    • 土地家屋調査士8,300円
    • 日商簿記1級7,710円
    • 英検1級8,400円
    • センター試験18,000円

安価で受験しやすいこと < 公正、厳格、良質な試験が実施されること

安くて何の不満があるのかと思われるかもしれません。しかし、受験者にとっての優先順位は、「安価で受験しやすいこと」よりも「公正、厳格、良質な試験が実施されること」であるはずです。この受験料で試験が適正に実施されていれば何の文句もありませんが、現実の税理士試験は問題だらけ。要因の一つに、試験の実施にコストがかけられないことがあるのではないでしょうか。

shikaku-hack.hatenablog.com



例えば、問題作成にコストがかけられないから、単純なミスや不備が多数含まれた問題が本番の試験でそのまま出題されてしまう。試験委員経験者とも親交がある大阪で税理士をしているモン太さんのblogに、このような記述がありました。

試験委員としての報酬は雀の涙程度のものらしいです。
モン太の知り合いの試験委員の先生は「もうちょっと貰われへんのん?」って訊いたらしいです。


報酬が少ないから問題の作成が杜撰である、等という責任感のないことはあって欲しくはないですが、少なくとも複数の試験委員で問題をチェックする体制がとれるだけの十分な数の試験委員を配置するのに必要なコストは出して欲しいと思います。司法試験や会計士試験では、当然行っています。


まあ、某近畿税理士会の作成した昨年の問題が不備だらけであったことを考えると、任命された試験委員の方にはもうちょっとしっかりしてもらいたいと思うところです。聞くところによると、昔は試験委員の構成は課税庁の役人一辺倒だったところ、近年、実務家の税理士が入るようになったという流れがあるらしいので、せっかくの流れに、このようなことが続くと民間出身の試験委員には任せておけん、となり兼ねません。

ある偉い先生に聞いた話ですが、税理士試験の税法4科目の計算問題の試験委員は科目ごとに東京・名古屋・近畿税理士会が担当しているらしいです。

所得税・・・東京税理士会
法人税、消費税・・・近畿税理士会
相続税・・・名古屋税理士会

これはよっぽどのことがないと変わらないそうです。



例えば、試験の運営にコストがかけられないから、トラブル等への対処が十分に想定された運営マニュアルが作成されていない、教育が不十分な人材派遣会社のアルバイトが会場に配置されてしまう、解答作成に不適当なほど狭い机の会場を充てがってしまう、等。下記の記事にも書きましたが、試験で不正を目撃したがアルバイトの試験監督や報告を受けた管理者と思しき者が何も対処しなかったという報告例があります。

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上記記事に書いていますが、財務省の平成25年度予算執行調査で、試験の運営が赤字になっているので「受験手数料について、税理士法第9条の「受験手数料は、実費を勘案して定める」に基づき改正の検討を行うべきである。」と勧告されたにもかかわらず、結局、受験料を値上げするのではなく、運営コストを削るという選択をしたようです。


無駄な費用をかけないように努めるという行政の姿勢は評価すべきですが、目的に見合った必要なコストまで削って安くして欲しいとは思いません。受験者の願いとしては、値上げしてもいいから適正な試験を行って欲しい、ということに尽きると思います。


国税庁には適正な試験を実施するインセンティブがないのでは

他にも、国税庁の試験担当事務局の職員は2名しかいないということが、開示請求により判明しました。試験の主催者である国税庁・国税審議会の、試験に関する審議は年2回程度、1回数時間程度しか行っていないこともわかっています。


これでは、どういった試験を行うべきかという真剣な議論など行われていないと考えるのが妥当でしょう。そもそも、国税庁にとって税理士試験を適正に実施しようというインセンティブがないのではないでしょうか。国税庁にとって、税理士とは、職員OBが無試験で資格を与えられてなるものという認識があると思われます。上記の記事では、国税庁長官が、国税OBが無試験で税理士になれることは職員が一生プロとしてやれるということ、言わば生活保障として必要なことだとする答弁を引用しています。「第6回税理士実態調査報告書」によれば、前職が税務職員(国税)である者が税理士の30.0%を占めています。*1試験は、おまけで民間にも門戸を開いてやっている、くらいの認識かもしれません。こうなってくると、試験の根本的なあり方、試験の実施主体の改革まで含めて議論が必要ではないか、と考えます。

  • 国税庁にとって税理士はOBが天下りでなるものだから試験が杜撰なのか?(執筆中)

*1:日本税理士会連合会, 平成26年,「第6回税理士実態調査報告書」資格取得前の職業