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審査会答申に異例の付言「不存在の理由を付記せよ」:開示請求No.2「第66回税理士試験採点前答案」

開示請求No.2「第66回税理士試験採点前答案」の結果です。今回は不存在を理由とした不開示決定でしたから、結論(処分妥当)はわかりきっていました。ただし、この審査請求により判明した事実もあります。私は、答案用紙の他にバックアップとして答案のスキャン画像データがあるのではないかと推測し、それを出すよう求めていました。読み通り、画像データが存在したことが国税庁の理由説明書において明らかになりましたが、開示請求の時点で既に廃棄したとの説明でした。

また、国税庁の不開示決定通知書の文言では、理由の説明が不十分である、と私が主張していた点が認められ、答申において、処分庁(国税庁)の原処分は不適切である主旨の付言が付されました。答申にこのような付言が盛り込まれるのは異例のことです。
 

目次

税理士試験開示請求No.2「第66回税理士試験採点前答案」これまでの経緯

「第66回税理士試験(平成28年8月実施)採点前答案」の開示請求は、平成29年1月16日に行いました。2月15日に不存在を理由にした不開示の決定が出ましたが、詳細な経緯の説明がありませんでした。そのため、理由を明らかにすることを目的として、5月8日、審査請求を行いました。国税庁が理由説明書を提出したのが8月2日、12月6日と14日に審査会で審議が行われ、12月18日、答申が出ました。

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答申本文

答申の全文は、総務省、情報公開・個人情報保護審査会のサイトで公開されています。リンク先でご覧ください。答申番号は「平成29年度(行個)164」です。

第1 審査会の結論
「平成28年度第66回税理士試験(相続税法)における本人の 採点前答案用紙」に記録された保有個人情報(以下「本件対象保有個人情報」という。)につき,これを保有していないとして不開示とした決定は,妥当である。

異例の付言が付された

私が意見書で「この程度のことは不開示の決定通知書に最初から書いておいてもらいたい。」と書いた点を汲んでか、以下のような付言が盛り込まれました。

4 付言
本件不開示決定通知書には,不開示とした理由について,「開示請求に係る保有個人情報を保有していないため」と記載されているところ,一般に,保有個人情報の不存在を理由とする不開示決定に際しては,単に保有個人情報を保有していないという事実を示すだけでは足りず,保有個人情報が記録された行政文書を作成又は取得していないのか,あるいは作成又は取得した後に廃棄又は亡失したのかなど,なぜ当該保有個人情報が存在しないかについても理由として付記することが求められる。
したがって,原処分における理由付記は,行政手続法8条の趣旨に照らし,適切さを欠くものであり処分庁においては,今後の対応において,上記の点に留意すべきである。


「いつ、誰の判断で廃棄を行ったのか。1年未満の短期間で重要な情報の保存されたDVDの廃棄を行うのは妥当であるのか、有識者の判断を仰がれたい。」と書いた点については、その他の主張として審議の対象とされなかった模様です。即廃棄してしまうのは問題だと思いますが、審査請求の制度で争うのは限界のようです。

雑感

本件については、こんなところでしょう。その後の開示請求への影響も含め、一定の効果はあったと思います。


なお、開示請求No.4「第67回税理士試験・採点前答案用紙」は、現在、審査請求が進行中です。