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審査請求4件目「第67回税理士試験・採点前答案用紙」の審査請求を行いました

税理士試験に関する4件目の審査請求を行いました。今回は第67回税理士試験で私が受験した、国税徴収法と相続税法の採点前答案用紙の開示請求に対するものです。

「採点前答案用紙」については、去年の第66回についても開示請求を行いましたが、下記の記事で報告したように「保有していない」という結果が出ていました。

「「採点前解答用紙」は「保有していない」」という国税庁の返答に対するこちらの対応としては、一つには、簡単です。「保有していない」というならば、確実に「保有している」時期に行えばいい。

というわけで、「今年(平成29年)の本試験を受けたその日に新たな開示請求をします。」そうすれば、「採点前解答用紙」が確実に存在しますので今度は「保有していない」という理由は使えないでしょう。

宣言通り、今年の税理士試験直後の8月14日に開示請求を行い、出てきたのはまたしても、真っ黒な「のり弁」開示でした。

目次

決定通知書(部分開示)

平成29年9月11日付。1,2枚目は省略。

決定通知書(部分開示)

不開示とした理由

①開示された答案の内容と当該答案に与えられた得点との分析や同様の開示請求を行った他の開示請求者との情報交換が行われることなどにより、機械的、断片的知識しか有しない者が高得点を獲得する可能性があり、税理士試験の目的が達せられなくなるおそれがある
②答案の採点について、試験委員及び事務局職員への質問や照会等が増加し、それぞれの有する業務に支障が生じるおそれがある
など、税理士試験事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、当該部分は法第14条第7号柱書きの不開示情報に該当するため、不開示とする。

開示された答案

担当者も真っ黒で何もわからないと思ったのか、丁寧に科目名のふせんを付けて送ってくれました。(Z-67-●の記号でわかりますがね。)見ての通りですので、全頁の掲載は割愛します。

第67回税理士試験・採点前答案用紙

第67回税理士試験・採点前答案用紙

審査請求書

審査請求書は平成29年11月27日に郵送提出しました。1枚目は省略。

請求の理由

 本件審査請求は、審査請求人が「平成29年度第67回税理士試験における本人の採点前答案用紙(相続税法・国税徴収法)」の開示を求めたのに対し、処分庁が部分開示の決定をしたが、答案用紙の解答欄の全てについては不開示という処分を下したものに対するものである。
 処分庁は不開示とした理由として2点挙げ、法第14条第7号柱書きの不開示情報に該当するとしているが、この主張は失当である。審査請求人は、平成29年(行個)諮問第71号「本人に係る平成28年度税理士試験採点済み答案用紙(相続税法)の一部開示決定に関する件」において、採点済み答案用紙についても開示を求めているが、当該の審査請求において提出した意見書中、3-1-3及び3-3において述べた理由と同様の主張をする。よって本件は、当該事件と内容が密接に関連したものであるので、審議を併合して行うことを求めたい。

 上記理由に、本件は採点前答案用紙を対象としたものであることから、以下の理由を付け加える。処分庁は、試験結果(合格又は不合格A/B/C/Dのランク)と開示請求を行った答案を分析することで、機械的、断片的知識しか有しない者が高得点を獲得する可能性がある、つまり、高得点を獲得するための特殊な解答技術が生み出される旨主張している。しかし、仮に受験予備校が全ての受験者の採点前答案を集め、統計的分析を加えたとしても、凡そそのようなことは不可能である。なぜなら、税理士試験の問題は大問2問構成、その中にさらに小問が複数あり、解答箇所は無数にある。解答の記述量は膨大であり、答案用紙も多数(A3版用紙が国税徴収法で6枚、相続税法では18枚。)に及ぶ。それに対して、試験結果として現状、受験者に通知されているのは科目全体に対する評価の合格又は不合格A/B/C/Dの大雑把なランクのみである。また、合格者と上位不合格者の差は非常に僅かな差であると考えられる。これらをどのような技術を駆使して分析しようとも、どのような記述に対してどのような点が与えられたのか、そしてそこから高得点に繋がる解答方法を生み出すという、処分庁が危惧するようなことは起こり得ない。
 現状、複数の予備校が税理士試験の解答作成の方法を指導しているが、それは意図を明快に伝えるための文章作成の基礎的な技術から導き出されるものである。それによって解答の形式がパターン化され一定の範囲に収まるのは極めて自然なことであり、望ましくないこととして特に防止しなければいけないことでもない。また、解答として求められる結論が一つであったとしても、それを表現する形式にはやはりいくつかのパターンが考えられる。解答として絶対唯一の完全体のようなものがあるわけではなく、実際の税理士試験で満点が与えられる解答例にもいくつかのヴァリエーションがあるのではないかと考えられる。そうだとすればなおさら、採点前答案を開示して高得点を得た解答例が判明したとしても、それが唯一絶対の解答ではないのだから、開示することに支障はない。
 他の論述筆記を行う国家試験、例えば、司法書士試験や公認会計士試験では、採点前答案用紙の全部開示が当然に行われている。これらは何年も前から行われており、しかも税理士試験よりも一段と詳しい受験者の点数や偏差値といった成績の開示と共に行われており、それによって試験の実施に何の支障が起きることもなく継続されている。税理士試験もこれらの試験に倣って開示を行うべきであるし、行わないのであれば、これらの試験と税理士試験の間にどのような性質的違いがあるのか、処分庁は合理的な説明を行わなければならないと考えられる。

 受験者が採点前答案の開示を望むのは、合格発表前により精度の高い自己採点を行いたいからである。試験は2時間という切迫した時間と緊張感があるので、試験後に受験者が自己の記憶から正確な解答を復元しようとしても限界があり、本人の意図しない間違いが生じている可能性もある。また、税理士試験の実施から合格発表までは約4ヶ月という、他に類を見ない長期間となっており、それによる受験者の(次年度の受験科目選択に伴う)時間的、経済的負担はかなりのものである。採点前答案の開示が行われれば、その負担をいくらか軽減することができるから、特に支障がないのであれば開示をするべきである。

 処分庁は、一体何を恐れて頑なに税理士試験に関する情報開示を拒否する姿勢を見せているのか。正当な理由と呼べるようなものはないのに、とにかく開示拒否の結論ありきに感じられるが、それはこの法律の趣旨に反するものであるし、税理士試験に対する不信感に繋がっている。昨今、現在の国税庁長官を筆頭に処分庁の隠蔽体質が市井で話題となっているが、本件のような開示が妥当と考えられるものにまで原則不開示の姿勢が徹底しているとすれば、それは改めるべきである。

雑感

審査請求書を書くのも慣れて、目指すところに向けて一直線に書けるようになってきました。書き始めると日頃考えていることが一気にぶわっと降ってきて、最後段落の国税庁批判などは皮肉を込めてノリノリで書いてますね。若干蛇足ではありますが、本筋を外れないように細心の注意を払っています。


このような対応にも慣れたとはいえ、相手も毎回毎回よく言い(書き)ますね。今回は試験委員が採点の丸付け等を書き込む前の、私が提出したままの答案です。私が今までに行った開示請求の中でも、最も全面開示される可能性が高いと考えていました。私の主張は上に書いた通りですが、これを開示したところで国税庁が言うような、「開示された答案の内容~の分析や~情報交換が行われることにより、機械的、断片的知識しか有しない者が高得点を獲得する可能性が~」、あるわけがないじゃないですか。あり得ません!
国税庁の担当者は、不開示理由に記載していあることを、本気でそう思っているのか、それとも開示させじための苦し紛れの言い訳なのか、本心でどう思っているのか聞いてみたいものです。


ところで、採点前答案を(黒塗り)開示したということは、既に採点のために試験委員のところに送られていたのを回収してきてコピーしたのか、試験委員に渡される前だったのか定かではありませんが、厳重に扱うべき答案に前例のない対応をしたということには間違いありません。国税庁は既に私に目を付けているでしょうが、悪目立ちした答案が採点に何らかの影響を与えないことを切に願います。